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#6個人投資家は機関投資家に勝てるのか?

機関投資家は、年金基金や証券会社、保険会社など投資に従事している専門機関で、プロの投資家である。投資信託であれば投資を委託するが、個人で銘柄選びから行うのが株式投資となる。個人投資家は株式投資で儲けることができるのだろうか。

1 自己取引と委託取引

株式に限らず、取引に参加する人は、売買の注文をする際、顧客から委託されたか、自己の資金で行うのかを区別することになっている。自己には証券会社や銀行なども含まれており、大規模な投資で一般の投資家に悪影響を及ぼすのを防ぐためだ。

東証一部における、2018年1月4日から12月28日までの1年間の売買代金ベース[*1]では、自己が16.2%、委託が83.8%と委託取引の割合が高い。

2 委託取引では海外投資家が7割を占める

次に、委託取引の内訳は、法人8.2%、個人17.1%、海外投資家74.1%、証券会社0.6%[*1]となっており、個人の売り買い合計約207兆円に対し、海外投資家は約900兆円[*1]と海外投資家の動向により株価が変動する理由がわかる。

なお海外投資家といっても法人も含まれており、約9割は法人[*1]である。

[*1] 出典:日本取引所グループ「投資部門別売買状況」

3 書籍「敗者のゲーム」より

投資家のバイブルと言えるチャールズ・エリス「敗者のゲーム」では、インデックスファンドは、あらゆるパッシブファンドに勝っていることを明言している。インデックスファンドは日経平均株価などの指標どおりに値動きするよう、機械的に売買を繰り返す投資信託で、パッシブファンドは、そのインデックスファンドを上回る利益を得ることを目的に投資をする。

敗者のゲームとは、実力のない者はいかにミスを減らすかが勝敗を分けるゲームのことで、卓球が苦手な人同士の勝負ではラケットにあたるか、ネットを超えることさえできれば勝つ可能性がある(本書ではテニスを例にしている)。

一方、勝者のゲームは、相手を打ち負かすだけのテクニックがあり、勝つためのスキルを持った者同士が戦うゲームを指す。プロの試合で「一つのミスが致命傷」とよく聞くが、ミスしていたら相手には勝てないハイレベルな戦いである。

これを株式市場に当てはめると、プロが集まるゲームに、アマチュアの個人が参加していることになる。

プロ同士でも勝ち続けるのは難しく、ミスをしないことが重要なアマチュアが勝ち続けるのはさらに難しいだろう。「敗者のゲーム」でプロが勝ち続けるためには、相手のミスに付けこむしかないとしている。

バートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーク」では、株式欄を壁に貼り、ダーツが当たった銘柄に投資をしたとしてもプロに勝つことがあると述べられている。

昔、テクニカル分析とファンダメンタルズ分析について、ひたすら本を読んで勉強したが、これもあまり意味がないらしい。

4 ボーナスが出たら、投資をするか?

世界には著名な投資家がいるが、投資家が多ければ、勝率の高い投資家が現れるのも不思議ではない。いくらその投資家の真似をしても、同じように勝つことはできないだろう。一時的にプロの投資家に勝てる人が現れるが、20年、30年勝ち続けるのは困難だ。

どうしても投資で稼いでいる話を聞くと、自分にもできるのではないかと思ってしまう。

ボーナスでしばらく使い道のない10万円が残ったとする。この10万円を元手に投資をしたいと思ったとき、上手くいけば倍になるのではないかと考えるのではないだろうか。10万円が倍になる可能性があれば、紙くずになる可能性もあることを同時に考えなければならない。

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