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人間ぎらいのマーケティング【感想・書評】

人間ぎらいじゃなくても必見!、ネットでの事業のアイディアが満載

私がこの本に興味を持ったのは、前半の人間ぎらいという部分ではなくて、後半のマーケティングという部分でした。ファイナンシャルプランナーとして独立した事をきっかけに、マーケティングという物を考えなおしたいと思ったからです。

私のファイナンシャルプランナーとして仕事は、主に金融にまつわるライティングを依頼される事が多いので、自分から仕事を取りに行くという気持ちが薄く、あまりマーケティングという事を考えていなかった事に気付きました。

そんな中であったのがこの書籍です。「人間ぎらいのマーケティング」とは印象的なタイトルです。マーケティングの素人の私でも、マーケティングと人間ぎらいは噛み合わない事はわかります。

「顧客心理を考えてマーケティングを行う」なんて言いますが。人間好き・社交好きと言わないまでも、人間ぎらいとは、まるでマーケティングと真逆の事なんじゃないかって思いますよね。

そんな本書の第1章は、なんと『「人間ぎらい」とは何か?』です。まるで心理学の本の様です。この著者の方は、人と会うと過度に疲れるので、人と会う事を避けているとの事でした。

人間ぎらいというよりかは、人付き合いが得意ではない、そんな印象をうけました。一方で誠実だなという印象も受けました。誠実という印象は、本書を通じて感じられるものでしたが、この誠実さがインターネットビジネスでは重要なんだなと考えさせられます。

この「人間ぎらい」の著者が、いったいどうやって「ネット家庭教師業」を成功させるか、その具体的な方法が本書では、語られていく訳ですが、私が強く感じたのは、この著者が本書で語っていく方法論が、ネットビジネスにおけるまっとうな成功方法だという事です。

著者は、この本で提供する商品やサービスの作り込みを強調しています。例えば、この人間ぎらいの著者も入試直前には10日間ぐらいの合宿を開き、自ら徹底して生徒に教えたり、とある受注に繋がる広告を、この広告から来た人は合格率が低いという理由で広告の掲載を取り止めたりしています。利益最優先ではないという事が伺えます。

独立・起業した人向けのマーケティング本

本書はかなり中小企業・個人事業主向けのマーケティング本です。そこが、個人で仕事をしている私には、だいぶ助けになりました。その中小・個人でビジネスをしていくには、「無名」な者がどのようにマーケティングをしていくのかという話になります。

また著者は、マーケティングを

  1. お客様の不安 不満を汲み取り

  2. 適切な価格で

  3. 適切な品質の

  4. 解決策

を売ることと定義しています。さらに、「効果のある解決策を、効果のある人に売ること」という考えは、特に目から鱗が落ちる思いでした。

ファイナンシャルプランナーとして、自分自身の仕事に照らし合わせて考えると、お客様への効果ある解決策というのは、なかなか「こう」と決めるのは難しい事です。

株式や保険等の金融商品を正しく選べるようになるというのが、お客様への解決策かもしれませんし、年金やライフプランの正しい知識や考えを提供するという事が、効果のある解決策かもしれません。ここは、自分としても課題の残る個所だなと感じました。

話を本書に戻しまして、作者の方は、大学入試の為の家庭教師ですから、本人がいくら学歴があっても、顧客である生徒を合格させなければいけません。そういう意味で、「効果のある解決策を、効果のある人に売ること」を
すごく実践されてらっしゃるのだなと感じました。

集客についても、とても考えられていると思いました。本書では、集客のためのツールとして、広告、YouTube動画、書籍の出版、SEO、SNS、広報、紹介をあげて、それぞれのメリット・デメリットや、やり方を細かく教えてくれます。

中小企業や個人事業では、大きくお金をかける事ができないので、このような集客方法は、それぞれ一考の余地があると感じます。個人的には、まったく興味のなかったYouTube動画ですが、今後考えていかないといけないと思いました。

また、この本で良かったと思うのは、そもそも売れる商品とは「何か」という所から掘り下げている点です。少し難しく言えば「商品開発」という事になると思いますが、ネットやウェブで商品やサービスを提供する仕事であれば、その商品やサービスは、自らが開発できる事が多いとおもいます。

実際に私が、商品やサービス・仕事としている物は自分発信のものですから、こちらが自由に決める事ができます。相談やコンサルティングのサービスは、提供する内容やジャンルを簡単に変更する事もできます。ですので、工夫次第で売れる商品にする事も可能なはずです。

さらに、「人と会わずに稼げるビジネス」の思いつき方の章では、ビジネス=提供するサービスを、どうやって発想するかという例を交えながら説明してくれています。

また、どうやって「人と会わずに稼げるビジネス」を、考えるかだけではなく、どういったビジネスが利益が見込めるか、そして失敗しやすいか等も細かく説明してくれて、ビジネスを考える上で大いに参考になりました。

「人間ぎらいのマーケティング」のまとめ

後半は他にも、人を雇い入れる時はどうしたら良いかとか、「人間ぎらいのマーケティング」は今後どうなっていくのか、将来の展望等が語られます。人間嫌いという視点から、マーケティングを考えた、この一冊。人間嫌いじゃない方にも、おすすめです。


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