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「させて頂く」を多用するのは、自信がない証拠、そして

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丁寧語・尊敬語・謙譲語の乱用は不快を超えて、呆れます。それは、「させて頂く必要ないやろ!」とツッコミたくなくこと、多々。

政府・議員が「させて頂く」こと


令和3年3月12日、菅総理は、総理大臣官邸で政府与党連絡会議に出席した。
総理は、冒頭の挨拶で次のように述べた。
「昨日、東日本大震災から10年の節目を迎えました。天皇皇后両陛下の御臨席の下、犠牲となられた全ての方々に黙とうを捧げ、御冥福をお祈り申し上げますとともに、追悼の言葉を述べさせていただきました。」

菅義偉首相は2021年06月21日午後、新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言が発令された場合、東京五輪・パラリンピックの観客の扱いについて、「安全安心のために無観客というのも辞さない」と明言した。
 首相は、再び感染が拡大し緊急事態宣言を出さなければならない事態を想定。「宣言のときは十分にあり得る。安全安心を最優先にやるのは当然のことだ」と強調した。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長らが無観客開催が望ましいとする提言を公表したことに関しては、「提案はしっかり受け止めさせていただきたい」と語った。

東京2020組織委員会の橋本聖子会長が7月8日、東京都、日本政府、国際オリンピック委員会(IOC)、国際パラリンピック委員会(IPC)との五者協議と関係自治体等連絡協議会を行った後に記者会見を行った。
橋本会長は無観客での開催となったことについては「無観客ということを決定したほうが、より多くの方に開催に向けてのご理解をいただけるのではないかという判断のもとに決定させていただいた」と開催を最優先した結果であることを語った。

「させて頂く」は敬語  : 「させてもらう」の謙譲語

職場や接客の場でよく耳にするのが「させていただく」という表現です。

「させていただく」「させていただきます」「させていただきました」「させていただいております」これらはすべて、「させてもらう」の謙譲語です。「相手の許可を得て行い、そのことで恩恵を受ける」場合に使える謙譲表現です。
ところが、上記の2つにあてはまらなくても、とにかく丁寧な感じ、へりくだった感じを出そうと、不適切に使用しがちなのが「させていただく」です。

“させて頂く”ことがスマートだと思っている。

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ほかにも、

・不祥事を起こして「反省させていただきます」。
・コロナ禍で「マスク着用でない方の入店はお断りさせていただきます」。
・●月●日まで、休業させていただきます。
・本日はお休みをとらさせていただいております。
・後ほどお電話させていただきます。
・これより、報告させていただきます。
・●●さまを、ご紹介させて頂きます。
・スポーツ選手の活躍に「感動させていただきました」。
・私は◯◯大学を卒業させていただきました。

何だこりゃ?!

「~します」「~いたします」で十分。

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「させていただく」は、相手に許しを得て敬意を払うことです。多用するとくどいし、文章が長くなってしまうので、簡潔になるように使うことがスマートではないでしょうか。

基本的には相手に伝われば良いと思いますが、自分の判断・決断を“誰かの許可を得た"かのように発言するのは、奇異に感じます。

自らの意思を表明するには、「~します」「~いたします」と言う必要があり、国のトップが使う言葉ではありません。「させていただく」の乱用は、“あなたの許可が得られるなら”という前提で、多用するほど「責任逃れ」であり、「保身」につながります

・あなたの許可があったので、私はこのような行動をしました。
・どう判断すべきか迷いましたが、あなたの許可あったので、このような結論に至りました。

そう言っているわけです。政治家が「させて頂く人種」であることが、本当に恐ろしい怖いです。

SMAPは2016年夏、解散を発表しました。その時に話題になったのが、「解散させていただきます」という表現です。一方、V6は今年3月、「僕たちV6は、2021年11月1日をもちまして、解散します」という文章を発表しました。

なんか、不自由な世の中ですね(←SMAP)。でも、表現を変えればとってもラクなんですけどね(←V6)。
自分の行動を、誰かの許可なしでは実行できない世の中になっているということ。

だからこそ、政治家の発言が「させて頂く」ことに危機感を憶えます。
国の中枢・トップが「させて頂く」事態は、健全であると同時に「暴走を助長」することは言うまでもありません。

「・・・にさせて頂きます」「・・・に従って頂きます」と国民の同意を得たような発言を連発することは、国家として非常に危険な状態です。

だとすると、なおさら「・・・にします」「・・・いたします」との言い方にしないといけません。

「させていただく」を“変換して”使いこなす

「させていただく」「させていただきます」「させていただきました」「させていただいております」は、どれも、会話やビジネスメールでよく使われる表現です。

「相手の許可を得て行い、そのことで恩恵を受ける」必要がない場合には、
・~にします
・~を予定しております

といった表現を使うべきでしょう。表現に迷った場合は、「いたします」と言い換え、すっきりと意思表示することが大切です。

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結局は。。。自信がないから。

「させていただく」のは、自分がどう思うか・どう考えているかを別として、〇〇さんがこう思うから、それに従って「私が判断せざるを得なかった」状況です。それは、自分の思考云々よりも世間の考えを優先しているからであり、自分を信用していないことを意味します。

自信がない」ということです。

「させて頂く」ひとは、「自信がない」ひとです。
その筆頭が、総理を含めた大臣のみなさん、議員のみなさん。自信がない故に「させて頂く」ことばかりで、そんな与党を面白おかしく批判ばかり「言わせて頂く」野党とのやり取りが、堪らなくお粗末です。


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