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九州よりも広いって!所有者不明の土地が増え続けているらしい

日本の土地の1/5は所有者不明!?

近年、所有者不明土地の増加が問題になっています。
所有者不明土地とは、

  • 不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地

  • 所有者が判明しても、その所在が不明で連絡が付かない土地

のことを指します。

2016年度の地籍調査では、登記簿上の所有者が不明な土地が約2割あることが報告されました。
面積でいうと約410万ha 。なんと九州全土を超える広さだそうです。


所有者不明土地の問題とは

国土交通省の試算では、所有者不明土地の経済的損失は、機会損失や管理不全のコストで単年で約1,800億円/年(2016年)。2040年までの累積で約6兆円に相当するそうです。もちろんこれらは税金による負担です。
所有者不明土地は再開発などのへの足かせとなることもあり、地域の治安悪化、魅力の損失につながりかねません。

相続登記の義務化

所有者不明土地が増加している理由のひとつとして、現時点では相続が発生しても相続人が土地の登記を変更する義務を負わない点が挙げられます。つまり土地の名義を亡くなった人のままにしておいても、罰則はないということです。
この状況を打開し、今後の所有者不明土地の発生を予防するため、不動産登記制度が見直されることになりました。

(1) 相続登記の申請義務化(2024年4月1日施行)

相続や遺贈により不動産を取得した相続人は、相続により所有権を取得したことを知った日、または遺産分割協議が成立した日から3年以内に、相続登記の申請をすることが義務づけられます。
なお、正当な理由がないにもかかわらず申請をしなかった場合には、10万円以下の過料が科されることがあります。

※正当な理由の例
(1)相続登記を放置したために相続人が極めて多数に上り、戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に多くの時間を要するケース
(2)遺言の有効性や遺産の範囲等が争われているケース
(3)申請義務を負う相続人自身に重病等の事情があるケース など

(2) 相続人申告登記(2024年4月1日施行)

相続登記をしたくても、期限までに遺産分割協議がまとまらない場合もあります。登記簿上の所有者について相続が開始したことと、自らがその相続人であることを申し出る「相続人申告登記」を行うことで、いったん相続登記の申請義務を果たすことができます。
その後遺産分割協議が成立したら、正式に相続登記の申請を行います。

(3) 相続土地国庫帰属制度(2023年4月27日施行済)

相続や遺贈により土地の所有権を取得した相続人が、土地を手放して国庫に帰属させることを可能にする制度です。国庫に帰属された土地は、普通財産として、国が管理・処分します。


(4) 所有不動産記録証明制度(2026年4月までに施行)

親が所有する不動産がたくさんあって分からない。所有しているかどうかも分からない、という問題解決のため、全国の不動産を検索してもらえる「所有不動産記録証明制度」が開始されます。

(5) 住所等の変更登記の申請義務化(2026年4月までに施行)

相続に至っていなくても、住所や氏名を変更した場合は、2年以内に変更登記をすることが義務付けられます。
違反した場合は5万円以下の過料の対象となります。


前述の6兆円という経済損失も問題ですが、「相続した土地の持分の一部が、見ず知らずの遠戚名義のままになっており、売却も改築もできない」とか「相続人の一人が借金を滞納して、知らぬ間に土地が差し押さえられてしまった」など、私たちの身近にも問題が起こりえます。
相続は突然起こることもありますので、早めに取り組んでおくことが望ましいですね。

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