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育休中の“学び直し”報道で思ったこと

育休中に学びなおせだと?育休を何だと思ってるんだ!と、主にSNSでボーボー燃えてるのを見ていて、なんだかいろいろ考えた。
今日はそんな話。

私もこのニュースの見出しを見たとき「は?」とまず率直に思った。

その時の見出しはこれ↓
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賃金上昇に向け産休・育休中の“学び直し”を「後押し」岸田総理
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★これは誰の発言?

これだけ見たら、どう見ても産休・育休中に勉強することを推奨するように見える。
そりゃあ、出産育児経験者はとんでもないと憤ると思う。そういう私も反射的に、あの時期の大変さをどう言い表そうか・・・!!と、カッとなり言葉を尽くして語りたくなったほどだ。

ところが、タイトルをクリックしてみるとちょっと様子が違う。

大家議員
「子育てのための産休・育休がなぜ取りにくいのか。この間にリスキリングによって、一定のスキルを身に付けたり、学位を取ったりする方々を支援できれば、逆にキャリアアップが可能になることも考えられます」

という発言がある。それに対して

岸田総理
「育児中など様々な状況にあっても、主体的に学び直しに取り組む方々をしっかりと後押しして参ります」

と書いてある。
育休中にスキルを身に着けると言っているのは議員。
この時点で、見出しはちょっと違わないかと思った。

さらに、文章を読んでみて「なぜ育休が取りにくいのか?」と言っているのにキャリアアップの話になる。ここでハテナが飛ぶ。

普通に考えると「なぜ~か?なぜなら~だからだ」となるほうが自然である。もちろん書き言葉ではないのだから、そんな日本語の正しさはどうでもいい。ただ、話の流れに違和感がある。

★動画すら切り抜き

そこで、記事の本文だけではなく動画も見てみた。質問と回答の様子の映像だ。

これを見て「ん?」とさらに思う。どうやら動画も切り取られている気がする。とても滑らかに編集されているけど、もしかしてこれは「切り抜きでは?」と感じる。

なぜかといえば、自分自身が「確かにその言葉は言ったけれどそこを切り取ると意図が違うよね」ということをメディアにされたことがあるからだ。

★ここは抜いていいところか?

どうしても気になって、国会の代表質問の全文を探した。
見てわかった。やっぱり切り取られている。

実際の発言はこうだ。

子育てのための産休・育休を取りにくい理由の一つが、【一定期間仕事を休むことで昇進・昇給で同期から遅れを取ることだと言われてきました。
しかし、この懸念を乗り越えるために、】産休・育休の期間にリスキリングによって、一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする方々を支援できれば、子育てをしながらもキャリアの停滞を最小限にしたり、逆にキャリアアップが可能になることも考えられます。
大胆なこども政策を検討する中で、たとえば、このような方々への応援として、リスキリングと産休・育休を結び付けて、産休・育休中の親にリスキリング支援を行う企業に対して、国が一定の支援を行うなど、親が元気と勇気をもらい、子育てにも仕事にも前向きになるという、2重・3重にボトルネックを突破できる政策が考えられるのではないでしょうか。
(【太字】は筆者加工)

https://www.jimin.jp/news/policy/205091.html

【 】ここの部分が切り取られている。文章はもちろんのこと映像でも。

これは私の感覚だけれど【 】の部分は、男性の育休産休のことを指しているのではないか?

女性は出産に際しては休むしかない。同期から後れを取るから産休を取らない、という選択肢はないのだから。

この発言が、もし男性に対してだとするなら、報道に対して「産後に勉強できるか!出産育児を何だと思っているんだ!」という多くのお母さんがたの批判は少し違うようなものになる気がする。

もちろん男性の育休は勉強のためにとるものではない!というのは当然として。

★事実か主観か

小5の娘が、国語の授業でちょうど「想像力のスイッチを入れよう」という内容をやっているようだ。

それは、報道でも「事実」と「主観」を混ぜるないようにしよう、というものだ。

例えば
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人が裏口から早足で出ていった
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この行動を一つを取っても「後ろめたそうに、逃げるように」と書いてあったとしても、それはあくまで書いた人が感じたことであり、それが事実とは限らない。
たまたまそちらの入り口が近く別の用件に急いでいたのかもしれない。
それを想像しよう、というが書いてある。

小学生が学ぶことだ。

★反射で批判をしない

私は今の「異次元の子育て政策」とやらも的外れだと思うことが多いし、今の政権や首相を特に支持しているということはない。

ただ、今回のニュースを見て「育休中に勉強だと! 母親を殺す気か!」ぐらいになったとしたら、やはりそれはあまりにも反射的な批判ではないか。

少なくとも、誰かの批判を見て一緒になって批判する前に、元の記事を探しただろうか。タイトルだけではなく本文を見ただろうか。本当にそう言っているか、同じページにある動画ぐらいまでは見ただろうか。

私は、今回はたまたま違和感を感じて全文まで探しに行ったけれど、自分自身はいつもそうできているだろうか。

娘の教科書の音読を聞いて、思わずドキリとした。
そして同時に、報道の切り取り方に、眉間にシワが寄る思いをしている。

★マネーリテラシーとメディアリテラシー

みんなが高めていかないといけない、と私が思っているマネーリテラシー(お金に関する知識や判断力)は、まずは情報収集が大事になる。

多くはメディアからのものだろう。
そうなると、メディア・リテラシーはもっと欠かせない。

なんでも疑って見ろ・信じるな、というのはあまりにも悲しい。
とはいえ、昨今の(そして自分も経験した)『切り抜かれた表現』を思うとそう言いたくもなる。

まずは、物事を「多角的にみる」「複数の情報源を持つ」「自分の頭で一度考える」「反射で拡散させない」この意識を大切にしていこうと思う。

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