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新NISA、こんなはずじゃなかった・・・とならないために知っておくべきこと

こんにちは
FP-Brickの北村尊(きたむらたかし)です。

2024年1月1日から、
待望の新NISA制度がスタートしました。
何かと評判がよろしくない岸田政権ですが、
この新NISA制度を導入したことは高く評価しています。
(もっと投資枠を増やして欲しいところですが・・・)

これまでのNISA制度では、
一般NISAで5年間、
つみたてNISAで20年間という期限があり
長期投資をしていく上で大きなデメリットでした。

NISA口座で投資をして、
期限を迎える直前に株価が下落してしまい
評価損になっている状態とき、
通常の特定口座などで使える救済措置が使えず
ただ単に資産を減らしてしまうことになります。

新NISAは非課税保有期間が無期限になったため
良い会社の株式をまずまずの価格で買い
安心して10年20年でも
長期で保有することが出来るようになりました。

その間に得られる配当金には
もちろん税金がかかりません。

このような新NISAの特徴やメリットについては、
多くの媒体で取り上げられているので
そちらに譲るとして、

知らずにスタートすると後々泣きを見るかもしれない
とても重要な注意点についてお伝えします。

損失の繰越控除、損益通算が使えない

まず頭に置いておいていただきたいことは
株式投資や投資信託の売買取引は
「高い確率」で「損」をするということです。

にもかかわらず、ほとんどのメディアでは
「儲かっても税金を取られません!」
こればかり強調しています。

株式投資がそんなに儲かるものであれば
利益の20%の税金を取られても
多くの国民がすでに株式投資をしています。

そうではないのは、
株式投資を始めたものの損をしてしまい
すでに辞めてしまった人がかなり多いからです。

長期投資なら安心?
そんなことはありません。
長期的なリターンが期待されているS&P500指数ですら
どの期間で見るかによって
パフォーマンスは大きく変わります。

S&P500の10〜20年間の期待リターンは
8〜10%と言われますが
その中にはもちろんマイナスのリターンの年もあります。
毎年儲かるものではありません。

たまたまそのマイナスの年に、
住宅購入の頭金や子供の大学入学などで
まとまったお金が必要となったとき、

他で準備をしていない場合は
購入した株式や積み立ててきた投資信託を
取り崩し現金化しないといけません。

そんなとき
通常の特定口座や一般口座で保有していた
株式や投資信託なら
最大3年間、損失の繰越控除が使えます。
3年もあれば損失を取り戻す猶予があります。

しかし、NISA口座ではこの制度を使うことが出来ません。

また、複数の証券会社で取引をしたり、
NISA口座以外で取引をし損失が出た場合、
通常の特定口座や一般口座であれば
利益と損失を相殺する損益通算という制度が使えて
相殺後の利益に対して約20%の税金が課税されます。

が、NISA口座ではこの制度を使うことが出来ません。

よって、一つの証券会社でNISA口座の範囲内で取引をし
評価損失が出ている状態では絶対に売らない!

という決意を持って取引をする人以外は
以上のことをご留意していただいた上で
NISAで取引してください。

つみたて投資枠の売却は、「先入先出」方式

老後の資金のために、つみたて投資枠を利用してし
年金の上乗せ分として毎月少しづつ解約し豊かな老後!
と考えている方は少なくないと思います。

そのとき、これまで積み立ててきたお金がどういう順番で
解約されるかご存知でしょうか?

SBI証券や楽天証券など多くの証券会社では
複数年に渡って買い付けてきた投資信託を売却する場合
「先入先出」方式により
購入した投資信託の古い順番から売却されます。

つまり
2024年からスタートし2053年まで積み立てて
2054年に少しづつ解約しようとした場合

自動的に、
2024年に積み立てた投資信託から解約されます。

例えば、
2040年に積み立てた分が大きく利益が出ているので
非課税になるならこれから売りたい!
と思っても出来ません。

プラスになっていようが
マイナスになっていようが
自動的に古い順番から売られるということになります。

もし2024年が今後30年間で
歴史的に株価の高い水準であるとすると・・・
2054年に売るときは損切りをして(救済措置はなし)
積み立ててきた金額より少ない金額を
受け取ることになります。

よって、つみたて投資枠を使って投資はするけど
それ以外にも積立貯金やNISA枠以外で積立投資をし
つみたて投資枠で投資した分はプラスになっていないと
解約しない!

という決意を持って取引をする人以外は
以上のことをご留意していただいた上で
NISAで取引してください。

オルカンまたはS&P500で投資枠を最速に埋める?

せっかく国が準備してくれた非課税枠
当たり前ですが、
どのように使うかで大きく将来が変わります。

つみたて投資枠も成長投資枠もオルカン or S&P500で!
つみたて投資枠はオルカン or S&P500、
そして成長投資枠は高配当銘柄!

といろいろな意見が出ておりますが・・・
何に投資するか、それはもちろん大切だと思います。

しかし、個人的にもっと大切なことは
高値ではなるべく買わない!ということです。

前述しましたとおり、
NISAは損失の繰越控除や損益通算が使えません。
なので、いかに損をしない投資をすることが重要です。

2024年1月の株価が、
ここから数年数十年先の株価と比較して
高いか安いかは、未来人ではないので分かりません。

分かりませんが・・・
歴史を振り返ると〇〇ショック直後のように
みんなが早く逃げたくて仕方がない暴落時ではないと
個人的には考えています。

一部メディアでは、
最速で埋めることを是とする意見を見ることがありますが
あくまで一個人的な意見として、
その方法は現時点での株価はリスクが高いと思います。

非課税投資枠は有限です。
これ以上下がりようないところまで
株価が下がったと判断したときまで
私自身は非課税枠を大切にとっておきます。

評価益がマイナスになっていても耐えられますか?

1960年代前半、
「銀行よさようなら、証券よこんにちは」
という流行語がうまれました。

当時から今日まで、
株式投資ブームが来ては廃れの繰り返しでした。

なぜ廃れたのか?
それは多くの投資家が始めて、損をして、
二度と株なんかやるものか!と
去っていったからです。

株式投資や投資信託を始めるとき、
多くの方が長期で投資しよう!と
思う方は少なくありません。

しかし、いざ買ってみると
資産が増えるどころかドンドン減っていく・・・

見なくてもいいのについつい気になって見てしまい
ストレスが溜まる一方・・・

もう耐えられない!!
と言って辞めてしまった知人、たくさん知っています。

今回の、新NISA制度をきっかけにして
オルカンやS&P500から始められる方
おそらく多いと思います。

もしかすると数年後、米国株式市場の暴落や円高によって
投資した金額が半分になっているかもしれません。
もしかすると1/3になるかもしれません。

NISAなので売却しても
損失の繰越控除や損益通算は出来ません。

それでも耐えて持ち続けられますか?

そうなってしまったときは我慢して
ぜひ持ち続けてください!

その覚悟を持って、
新NISA制度を活用していただきたいと思います。

最後に

新NISA制度は、近年稀に見る良い制度だと考えてます。

ただ何事もそうですが、
表面的に分かった気になるのではなく

いろんなことを想定して制度を理解してください。
道具は使い方を間違えると大怪我をします。

ぜひうまく使いこなして自分のものにしてください。

株式投資は、
長い目でじっくり向き合えば自然と儲かるものです。

なぜなら株式の裏付けとなっている多くの企業は
毎年努力をし収益を上げて
自己資本を高めてくれているからです。

ここ数年、オルカンやS&P500がもてはやされ
日本株はオワコンと言われて久しいですが

そんな日本企業の株式を喜んで買っているのが
海外の投資家達です。

彼らはバカなのでしょうか?
それとも、、、、

日本人は、「日本株はオワコン」と
「誰か」に騙されているのでしょうか?

海外の投資家達は何を見て
日本企業の株式を買っているのか?

ぜひ自分自身の頭で考えて、投資先を選んでくださいね。

新NISA制度スタートをきっかけに
今度こそ、多くの日本人に株式投資の本来の面白さを
実体験してもらいたいなと思います。

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