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企画書は隙だらけぐらいのほうが、むしろいいのだよ

編集者のみならず、ライターさんもディレクターさんも企画書を書く機会は多いですよね。
わたしもお仕事の内容に応じて企画書を作成したり、逆に出された企画書を吟味したりすることがありますが、考えてみれば人の数だけスタイルがあるもんだと気づかされます。

ひと昔前くらいからでしょうか。ある程度、書き方のフォーマットが浸透したのか、はたまたペーパーレス化が影響してか、シンプルで、要点がわかりやすい企画書が当たり前になってきたように思います。しかし、それ以前のものはヒドイのがいっぱいありました。
ダラダラ長く、分厚いのが大正義で、1ページにドーンっと一行だけとか。
よくわかない円グラフや棒グラフが入っていて、それが適材適所ならまだ許せるんですが、ただの飾り、スペースを埋めるデザインパーツか何かかよ、というくらい多用されているとか。

もちろん、これは大事なことだからと尺を取っているんでしょうが、その大事なことが以降何度も出てくるもんですから、どこがこの提案の「山場」なのかがホントにわかりにくい。大仰なわりに中身の薄っぺらな企画書づくりが横行していました。

わたしは、言いたいことを見出しと数行程度のボディコピーでまとめて、見た目も超シンプルにしちゃっています。

代理店の営業さんなどから「もうちょっとカッコつけませんか?」と云われることもありますが、よくあるパワポのテンプレートやデザイン機能の類いは一切使いません。シンプルな方が、お伝えしたい要点を整理できますし、書類に記載した情報以外の仔細については、口頭による補足で事足ります。

むしろ、企画書にこちらが持ってる腹案をすべてを全投入しちゃうより、小出しにしておいて、その場の空気感や話の流れで細部を微調整した方がよい場合もありますでしょ。余白をあえて設けておくことでクライアントさん側のアイデアをそこにピースとしてはめ込むことができたりします。
あと、なんというか、あまりにガッチガチに明文化し過ぎちゃうと、後々なんらかの事由で部分的に実現が叶わなかった場合、「企画書に書いてあったことができてないじゃないか」とツッコミをいただくことになりかねません。そういったトラブルを回避するためにも、余計なことは書かないでおくという目論見もあるんです。

記事のできあがりをそのままイメージいただけるように、タイトル的な役割を持たせた「見出し」と、これまた記事原稿の内容を想起させられるような「リード」、そこにせいぜい取材先の「候補案」とか、制作に関連して事前にお伝えしておきたい「留意点」などを箇条書きで添えておくくらい。連載企画、特集ページ、コラムや情報ページと、いくつかのブロックが候補案の数だけ只々並ぶという、ケレン味なさすぎな数ページ規模の企画書ができあがります。

Uber、Lyft、HoloHoloと、選択肢がいっぱい!
ライドシェアサービスで充実したオアフ島観光を。


日本でもお馴染みのUberや、欧米でポピュラーなLyftに加えて、地元に根ざした企業が運営するHoloHoloが誕生するなど、ハワイではライドシェアサービスが活況を呈しています。そこで、リーズナブルに使えるライドシェアサービスの利用方法や、アプリのダウンロードから予約〜乗車までを徹底解説。ご利用時の注意点なども合わせてご紹介し、ライドシェアを上手に乗りこなすための最新情報をピックアップします。

[展開例]
・各社に取材。写真素材をご提供いただき、それぞれの利用手順を紹介。
・アプリの操作方法を図解。用例として空港からワイキキ周辺までの道程を 
 モデルケース風に添えてもいいかも?
・現地で観光客の皆さんに街頭アンケート。使い勝手のよさはもちろん
 失敗談などもコメントしてもらい、読者の参考にしていただく。

ホントに例えばの話ですが、ザックリこんな感じ。
詳細は、練りに練っても練り過ぎず、若干方向性が変わっても対応できる着地点だけ見据えておきます。

便宜上、いくつかの企画案を並べていくことになるので、A4・タテ位置の用紙に、横書きの文章のみでツラツラ必要分だけ書き連ねていきます。なんだったらペラ1枚でもいいくらい。台割やスケジュールといった具体的な「計画書」にあたる部分は別紙にまとめ、「企画書」はごく平易に、簡易に、取りまとめています。

もちろん、お仕事の契約ゲット!を目的としたプレゼンテーションや、ご新規のお客さまへのご提案は、もうちょっと凝りますけど。なんていうか、こういう企画書づくりにパワーを注ぐのも疲れちゃうんですよね。だったら、既存メディアの分析とか、具体的な数値根拠を示して購読率やアクセス数を可視化してさしあげるのがよっぽどいい。

それに、これはあくまで個人的な経験上のお話ではありますが、企画書は自分たち編集者がやりたいことをある程度示しつつも、叩かれて、伸ばされて、いろんな意見を受け容れて、それでもなんとか成立に持っていけるくらいの「隙がある」ものの方がいいような気がしています。
編集者はナビゲート役。編集チームだけでなく、クライアントご担当者の皆さんにも、デザインチームの仲間にも、営業担当さんにも、みんなで何かを作り上げていくという姿勢を持っていただくことが大事で、編集企画会議は、その貴重なコミュニケーションの場。この会議の席で闊達な意見が飛び交うお仕事ほど、3年、4年、5年と、実際に長続きしていますから。

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