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イギリス料理を日本で作る〜ソーセージロール編〜

イギリスに住んでいた頃、『食べ歩き』の文化に少し驚いた。街を歩いていると、何かを手に持って歩きながら食べている人がとても多い。日本ではあまり見ない光景だった。

日本人もイギリスに住み始めるとごく当たり前のように食べ歩きをし始める。これがやってみるとなかなか自由な感じがして良いのだ。

「急いで駅に行かないと電車に乗り遅れるな」とか思いながら、朝食としてサンドイッチを食べながら早歩きしてみると、なかなか効率的でもある。

私が住んでいたブライトンという土地は、ビーチが有名で海沿いの道を歩く人が毎日たくさんいた。海沿いは気持ちが良く、車も入ってこないので、フィッシュアンドチップスやただのチップス(ポテトフライ)の箱を持って食べながら歩く人もいた。さすがにフィッシュアンドチップスは落ち着いて座って食べたいが。

私の韓国人の友人は「せっかくイギリスに来たから」ということで海辺でフィッシュアンドチップスを食べていたら、カモメに襲われてフィッシュを奪われた、と言ってとても怖がっていた。

カモメやカラスはイギリスの食べ歩きする人を常に狙っているので、そこは気をつけたい。

食べ歩きの代表ソーセージロール

食べ歩きのスナックメニューといえば、色々あるのだが、一番一般的なのがソーセージロール。「ソーセージが入っているパンか」と思うかもしれないが、ちょっと違う。

ソーセージロールはパイ生地で、中に入っているのはソーセージの中身である。イギリスのソーセージは色々なハーブが入った、肉感のあるもので、いわゆるウインナーとは全く違う。

つまり、ソーセージを手作りするつもりで豚ひき肉を使ってタネを作り、それをパイ生地で包んで焼くのが、イギリスのソーセージロール。

私はパイ生地は作ったことがないので、イギリスにいた時から『冷凍パイシート』を使っている。

サランラップのように巻かれて売られるパイシート

イギリスのソーセージロールがどこで買えるかというと、どこにでもある街のベーカリー、駅内の小さなショップ、カフェなど。日本のコンビニでおにぎりがどこでも買えるような感覚である。

こだわって手作りする人もいる。

イギリス人の夫の職場の同僚(おじさん)が、「ソーセージロールを作ったからよかったら食べて」と言ってくれたことがあった。フレッシュなハーブがたくさん入っていて、とてもおいしくて驚いた。

その時「ソーセージロールも素材を選んで丁寧に作れば、立派なディナーになるかも」と思った。

もちろんイギリスではソーセージロールはあくまでスナック(おやつ)なのだが、日本に帰ってからは、美味しいソーセージロールを食べたい、と思う時はディナーにしてしまうこともある。


ソーセージロールの作り方


ソーセージロールの作り方はシンプル。豚ひき肉を味付けして、冷凍パイシートに包んで焼く。これだけである。

まず豚ひき肉に塩胡椒。それ以外のハーブは完全に個人の自由。そんなところもイギリスらしく、個人主義は最も大切。
なんといってもソーセージなので、セージは必ず入れたい。オレガノ、パセリ、バジル、パプリカパウダー、ナツメグ、ガーリックパウダー、なんでも好きなものを入れて、もしあればフレッシュなハーブがあると良いかも。

私は入れなくても良いと思うけど、玉ねぎやにんじんを細かく切って入れるレシピをあるようで、本当に人それぞれ、自由になんでも入れられる。ただパイ生地に包むので、水っぽくならないように気をつける必要がある。

もし味を変えたかったら、二種類のタネを作ってそれぞれのソーセージロールにするのもアリだ。カレー味、チーズ入り、子供は苦手かもしれないローズマリーなど、分けて作ってみるのも良いかと思う。

出来上がったタネをパイ生地に包むのだが、一番トリッキーなことといえば、『パイ生地に包んでしまったらあとは味の変更はできない』ということだ。

だから私は、この段階でひき肉のタネを少しだけスプーンでとってフライパンで焼き、食べて味見をしている。美味しいハンバーグになっていたら、それをパイ生地で包めばおいしくなること間違いなしである。


パイ生地は縦の長方形にしておき、タネを縦に細長くのせていく。そのあとパイ生地でタネを包むようにして、長い一本の棒状にする。そしたら好きなサイズにナイフで切って、焼く準備はOK。

仕上げに卵黄を塗って、ごま、さらにハーブをふりかけるのもイギリスでは一般的。けれどこれも好みによる。一口サイズにしても良いし、持って食べられるよう長いサイズでも美味しい。

端っこの部分はフォークで押さえてくっつけるのがおすすめ。

こだわって三つ編みみたいな形にするタイプもある。こんなことは私はできないが、得意な人はぜひ試してみてほしい。とても綺麗な仕上がり。

あとは180℃のオーブンで30分くらい焼く。時々様子を見て、こんがりキツネ色になったら完成。

ディップを作っておくのも良い。ケチャップとマヨネーズを混ぜたものなんて簡単だし、バーベキューソースのようなもの、シンプルにケチャップ、なんでもOK。

私はこんな手の込んだものをおやつに出したりしないが、元々イギリスではスナックなので、もちろんおやつにしても良い。持ち寄りパーティーには最適。

外国のボトルビールでも買って、一緒に合わせてみると最高だ。美味しくてどんどんなくなるので、多めに作ることがおすすめ。

こんなことをやっていると、ソーセージを手作りしてみたいなあ、なんて気持ちにもなってくる。いつかやってみよう。

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