消えた銀行員

タイトルのこの部分だけを抜粋すると推理小説だが、正しくは「捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体」という。
かなり堅め。

あらすじを言うと、タイトル通り、従来の利ザヤで稼ぐモデルではもはや金融マンのモチベーションも上がらず、収益モデルとしても立ち行かなくなっていくと想定される中、地域のことを真剣に考える金融マンが「地域金融変革運動体」、略称「ヘンタイのカイ」という緩いネットワークで連携し始めている、という話。

個人的にはなんだかエピソードを詰め込みすぎ(マハンの話や、相転移の話はあそこまでページを割く必要があったのかわからない)な気もしたが目を奪われたのは山形大学の小野浩幸教授と山形銀行の産学連携の話である。

日本の構造的な勿体なさの一つとして学生が社会に出た後に自らの学の領域を拡げる環境にない、ことがあると思っており、特に文系におけるアカデミアとの分断には大きな損失があると思う。

これからは地域の大学も少子化の中で少ないパイを争っていく。
大都市圏との人材の循環交流とともに、選択肢して卒業生が地域に根ざすことができ、またその人的ネットワークを使い地域を元気にする仕組みを整えるのはもはや至上命題ではないかと思う。

信金やYMFGの話に漏れず、地域の金融機関は中小企業の経営の支援を行う組織として、DXも含めた旗手となることが求められている。

地域の金融機関は自ら変わるという超難題に挑戦しなくてはならない。
金融機関には元々人材は多く揃っており、ここは大きなアドバンテージだ。
あとは自らの柵を越えていけるかどうか。
真価が問われているような気がしてならない。

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