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ラ・フィーリア・デル・プレジデンテで学ぶ、ナポリピッツァのつくり方【ナポリピッツァレッスン編】

ナポリの老舗「ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ」。
世界的にも有名なこのお店の味を、日本でも味わえるとなれば、行ってみるしかない!

というわけで、第二弾!!

埼玉県深谷市「ふかや花園プレミアム・アウトレット」に行ってきた模様をレポートします。


ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ

出迎えてくださったのは、「ラ・フィーリア・デル・プレジデンテ」の矢口シェフ。

― シックで素敵なお店ですね!

ナポリ本店と同じ、ブルーを基調とした内装になっています。
本場のピッツェリアって、子どもからお年寄りまで気軽に食べられる場所なんです。
なので我々も、家族連れが多いアウトレットの中で、そのような存在になれるように取り組んでいます。


ナポリの風景とマリア氏がお出迎え。


― 高級感もありながら、家族連れで楽しめるというのは日本だと中々ない気がします! では早速ですが、日本の「プレジデンテ」の特徴を教えてください。

ピッツァの種類の豊富さが特徴的だと思います。
26種類あるので、毎日いらしても違うピッツァが食べられます。


― 確かに!笑 ではメニューについて、他と決定的に違うと思うところはありますか。

プレジデンテのメインは、「マルゲリータ」や「ピッツァフリッタ」といったトマトソースを使ったメニューです。
トマト缶はいくつもの種類をブレンドしたものを、より濃度を濃くするために3日ほど水切りしてから使用しています。

生地も、ナポリの有名なイアクオーネを100%使っているので、粉の味がストレートに分かっていただけるのではと思います。
毎日、粉や生地の「湿度」「温度」「水分量」を調整するという点でもこだわっています。
例えば、空輸で運ばれてくる過程で、常温のままか、冷蔵庫に入れられたかによっても調整方法が異なるので、毎日ノートに記録しながら作っています。


― それは繊細な職人技ですね。実際に食べてみたいのですが、おすすめの「マルゲリータ」と「ピッツァフリッタ」を注文してもいいですか?

かしこまりました。良かったら、作っているところをご覧になりますか?


― え!! いいんですか? ではお言葉に甘えて、、矢口さんによる【ナポリピッツァレッスン編】開幕!!

矢口さん


(矢口さん) ピッツァの生地の前に、先に釜を作っておきます。
(横関) 釜を作る…? 

(矢口さん) ピッツァを焼ける状態にするということです。焼いている最中は500℃で、1分20秒ほどで焼けるような釜を作るのがナポリピッツアの規定なんです。
(横関) へぇ、そんな規定があるんですね。

(矢口さん) では、薪を入れていきますね。
(横関) えっ、薪ってこんなに種類があるんですか?

(矢口さん) そうなんですよ。3種類あって使い分けます。


奥からスギ、ナラ、チップ


(矢口さん) まず大きなスギを2本入れて火力を上げ、黒い煙の対流を作ります。
その次に真ん中のナラを使って、保温しておきます。
手前の小さなスギのチップは、温度の微調整のために使います。

(横関) へぇぇ、知らなかったです! ボタンポチッとかじゃないんですね(失礼)。
(矢口さん) 実はすべて手作業なんですよ。では、温度が上がるまでの間にピッツァを作っていきます。


丸い生地を一瞬でこの形に。生地がぐるんぐるん。
写真では伝わらない。笑

(矢口さん) 大きさにも規定があるんですよ。直径28cm以上、ミミの高さが2cm以上ないとナポリピッツァとは言えないんです。
(横関) え、けっこう大きくないですか?

(矢口さん) 日本人には大きく感じるので、小さめで出しているお店もありますね。プレジデンテでは、規定を守った大きさで提供しています。
(横関) そうなんですね! (一瞬で生地を規定の大きさに整えられるなんて、さすが職人。。)

(矢口さん) では、この生地を釜に入れて焼いていきますね。


パーラーの先にピッツァを乗せて釜に入れる


(矢口さん) ナポリピッツァは、炉床で焼かなければいけないんです。
(横関) ロショー…?

(矢口さん) 釜の中の床に置いて焼く、ということですね。
パーラーで持ち上げたまま焼いてはいけないのがルールです。
ピッツァの下を焼かないと生焼けになってしまうので、置いて焼きます。
ただ、最後に持ち上げて火に近づけると、キレイな焼き色が付くんですよ。
(横関) へぇー、勉強になります!

(矢口さん) 事前に作っておいた対流を使って焼いていくイメージです。


火元から円を描いて出る煙が対流。
対流の先の炉床に置いて焼く。


(矢口さん) これで焼き上がりです。
(横関) おおー! 確かに1分20秒! お皿ぴったり28cmです!!


できあがったマルゲリータ。お皿にきれいに収まる28cm!

(矢口さん) では次に「ピッツァフリッタ」を作っていきます。
(横関) ピッツァフリッタにも厳しい規定があるのですか?

(矢口さん) フリッタは逆にお店ごとに各々なんですよ。

私の場合は、ナポリの大会で初めて優勝した今井さんの元で修行をしたので、その技術を使って膨らませています。ミミの大きさ、膨らませ方、空気の抜き方等も、今井さんに近づけながら、自分なりのおいしいやり方を確立したいと思っています。

(横関) そうなんですか! 確かに、想像の倍以上の大きさでおいしそう。


ピッツァの28cmのお皿からはみ出る大きさ!! 

(横関) わー、とってもおいしそう!
前編で教えて頂いたように、フォークとナイフを使っていただきます!


ピッツァ「プレジデンテ」と並ぶ同じ大きさの「ピッツァフリッタ」

(横関) 大きくてひとりで食べきれるかな、と思ったのですが、生地が軽くてとても食べやすい! 生地の味とトマトの味が素朴でとても美味しいです!
(矢口さん) 実は持ち帰りもできるので、遠慮なく言ってくださいね。
(横関) そうなんですか、それはとてもありがたいです!


持ち帰り用カートン。おしゃれ!

― とってもおいしいピッツァをありがとうございました! 最後に、今後の目標を聞かせてください。

ピッツア職人は、見ただけで「あ、これはあの人のピッツアだ」って分かるので、そのような人たちに認められるような職人になりたいと考えています。
また、ナポリの人々にプレジデンテが親しまれているように、日本の方々に周知されるように頑張りたいです。

―  素敵な目標ですね。でも、職人の世界ってとても厳しそうです。 

非常に厳しくて狭い世界ですので、毎日目標を持ってピッツァを作らなければなりません。
先日、日本ナポリピッツァ協会の「カプートカップ」の予選にエントリーしました。
ここに出場される方々は本当にレベルが高いので、まずは自分のレベルを知って、横のつながりを広げたいと考えています。上位3名はナポリの本選に行けるので、まずはそこが目標です。

― それは壮大で険しい道のりですね。その日を楽しみに、影ながら応援しています!! 本日はありがとうございました! 




プレジデンテのお店の雰囲気がシックで素敵なのに加え、矢口さんがとにかく良い人でした! 今後のお店と矢口さんのご活躍を追いかけていきたいです!!

皆さんも、ご家族やお友達と一緒に、本格ナポリピッツァを味わってみてはいかがでしょうか。