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人生の扉 #11 より高みを目指して

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【連載「人生の扉」について】
FOSC名誉会長の小山さんに、どのような会社人生を歩んできたか、そしてそれを支えてきたものは何かを「人生の扉」というシリーズで語っていただきました。
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新本社建設(ソニーシティ)プロジェクト

2000年に入るとヨーロッパHQビルをドイツベルリンに建設するプロジェクトや芝浦に新本社を建設するスタディが始まりました。
2003年に総務センター長となった私は、プロジェクトチームの要として新本社建設の推進役の1人となりました。

設計会社選定から入札を行いましたが、選抜された最初の会社は設計の詳細を詰めていく段階でコンセプトが違うということで手を引き、再度のプレゼンテーションの結果、新たな設計会社が選ばれました。
プロジェクトに参加した各社、各担当者は英知を絞り低コストながら高いパフォーマンスの免震構造建物を建設していきました。

例えば、CO2削減やエネルギー消費。
従来入居していた建物との比較で単位面積当たりのエネルギー消費量(電気)は従来比50%となりました。これは総務センターのエネルギー担当部長が工場用のシステムをオフィスビルに利用して成果を出した最初の事例となりました。

メーカー、および、設備工事会社と共同開発した空調熱源ターボ冷凍機の単体COP(※1)は10を超え、システムCOPが5.2(総合効率1.9相当)という優れたものでした。
また、隣の下水処理場とは年間通して18℃の排水を空調用冷却水として利用する契約を締結し省エネを図りました。
※COP(成績係数):出力(KW)/入力(KW)。投入したエネルギーを何倍にして回収するかということ。

本案件は、建設後10年間の継続したCO2削減に対して空調衛生工学会から特別賞十年賞を受賞しています。

また、このプロジェクトでは直接的には関係しないが建築の大好きな名誉会長から頻繁に説明を求められました。
「ツインビルにすることで1棟は将来賃借できるようにしてはどうか」と言われ、報告しないでいるとなぜ設計変更しないのかとコッテリ絞られました。

結局、コスト面の不利とメガフロアのコンセプトから外れてしまうのでツインビルは選定しなかったのですが、もう少し丁寧な対応ができたのではないか、と反省する日々でした。
新本社ビルのコンセプトの一つに「建ててから成長していくビル」ということもあり先々楽しみな建物となりました。
この建物は2007年グッドデザイン賞を受賞し、事業プロデューサー代表として私の名前が記されている思い出深いプロジェクトです。


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