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『新井のメカニック日記』CADEX 50 ULTRA ベアリング交換と熱膨張

いつもありがとうございます。FORZAの新井です
昨年納品させて頂いたCADEX 50 ULTRAホイール。
ベアリングが傷んでしまったので交換のご依頼を頂きました。
作業の様子をご紹介させて頂きます😊


下処理 ベアリングの冷却

メーカーから入荷したCADEX CERAMIC ベアリングセット  35,200円(税込)
CADEXは珍しくフリーボディ用のベアリングもリアハブ用ベアリングとセット販売しております。
ここはメーカーによって考え方が異なり、DT SWISSやCampagnoloなどは基本的にフリーボディごとの交換が推奨されてたりします。
入荷したらさっと検品して冷凍庫へIN。まずはキンキンに冷やしていきます。

下処理2 ベアリングの取り外し・クリーニング

傷んでしまったベアリングを取り外していきます。

フリーボディのベアリングもプーラーで抜き取っていきます

スルッと取れました。

これが前後セットのベアリング。3種類、合計6個のベアリングが使用されております。

ベアリングを抜き取ったらクリーニングを進めていきます。特にカセット側は普段のクリーニングが行き届きにくい箇所。
綿棒などで細かな部分も綺麗にしていきます。

ローター側も綺麗に。ベアリング圧入箇所も整えていきます。

下処理3 ベアリンググリスアップ・冷却

冷凍庫で冷やしたベアリングを一度取り出し、圧入する前にグリスアップしていきます。

慎重に両側のシールを外します。出荷時点ではグリスも少なめ。

CERAMIC SPEEDの専用グリスを補充していきます。

補充してグリスを馴染ませて慎重にシールを戻していきます。片側だけでなく裏側も同様に。

グリス補充を終えたらもう一度冷凍庫へ。1日冷やしておきます。

翌日 いざ圧入 熱膨張を使ってベアリングの負担を少なく

翌日。
さぁ、いよいよ圧入です。まずはフリーボディから。
圧入する前にもうひと手間。ヒートガンでベアリングの受け側を温めていきます。温めすぎにも注意。

対してキンキンに冷やしたベアリング。
熱膨張を使い、なるべくベアリング本体に圧入時のダメージが少なくなるように作業を行わせて頂きました。
特にアルミの熱膨張係数はスチールの2倍。圧入も非常にスムーズになります。

次はハブ側。カーボンスポークがあるので、スポークに熱が加わらないように注意してハブ受け側のみ加熱していきます。

スルスルっと圧入。アタフタしていると直ぐに熱も下がり(上がり)、寸法が元に戻ってしまうので一つずつ丁寧に手早く。

圧入が終わったらクリーニングをしておいたラチェットを組み込んでいきます。専用のグリスもしっかりと。

仕上げ 振れ取りとちょっとした注意点

最後の仕上げに振れ取りとスポークテンションの確認。

カーボンスポークを採用しているCADEX。CADEXなど最近のカーボンスポークの多くはインターナルニップルです。
振れ取りやスポーク調整を行うには、タイヤとリムテープを剥がす必要があります。

この表に出ているニップルはカーボンスポークが拗れないように抑える回り止めです。
表のニップルではスポークのテンションは調整できませんのでご注意ください。

交換工賃について

ご覧いただきましてありがとうございました😊
ハブベアリングの交換工賃は8,800円(税込)〜となっております。
CADEXはもちろん、DT SWISSなどのハブを使用したホイール(ROVALなど)、MAVICなどお取り扱い以外のホイールメーカーも対応可能です。
ぜひお気軽にご相談頂けますと幸いです

大事なこと

一度傷んでしまったベアリングはグリスアップで傷が治ったり蘇生することは100%ありません。
普段行うグリスアップは治療ではなく予防。傷んでしまったらグリスアップではなく交換です。
ベアリングは消耗品です。傷んだベアリングはタイミングを見て交換してしまいましょう😊

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