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高性能住宅って、ホントに高いの?

一般生活者啓発委員会の川端です。

一周してきました。
2度目の投稿になります。
私だけ少し毛色が違う投稿ですが、
箸休めとして、お楽しみください。

2022年、これからの家づくりはどうなる??

昨年から
ウッドショック、鉄鋼ショック、半導体ショックなど
建設費が高くなる話ばかりで、
どうお客様に伝えるのか、
というのが頭がいたいところです。

一方、建築物省エネ法改正が見送りなんて
話も飛び込んできて、
2020年の二の舞かと、
こころが沈んでしまいます。

それだけ、建物の省エネ化を
反対する人が多いということなのでしょうね。

その人たちがいうには、
「お客様にそんな高いものを買わせれない」
という論理のようです。

つまり、省エネを一生懸命やっている私たちが
お客様に高いものを売りつけてる
悪い人ということでしょうか。

実際、どちらがお客様のためになる家を
作っているか、ご紹介したいと思います。

お客様のためなら、省エネ住宅をつくるべき。

太陽光発電2022.002

上記は40歳のご夫婦が家を建てた場合、
条件の違いで、お持ちの資産がどう推移するか
シミュレーションをしたものです。

条件の違いは3つ。
建設費、光熱費、メンテナンス費

高性能住宅を建てて、
建設費が高くなるということはデメリットですが、
その投資をした分、
光熱費とメンテナンス費が下がることがメリットとになります。
どちらのケースがお客様のためになるかを見ていきましょう。

スクリーンショット 2022-01-18 18.18.35

左側のグラフは土地も含めた総予算が5,000万円かかった場合です。
建物性能は28年基準、想定光熱費は年間24万円、
外壁もサイディングで、15年に一度塗装をするので、
年間10万円修繕維持費がかかる想定です。

貯蓄のピークは退職金をもらう65歳。
そこからは収入は年金のみとなるので、
貯蓄を切り崩した生活となり、
4000万円あった貯蓄が95歳では1250万円まで減ります。

スクリーンショット 2022-01-18 18.18.44

右側のグラフは300万円建設費を上乗せ、
光熱費は年間12万円(6地域G2性能)、
外装も高耐久な建材を使い、
修繕維持費を年間5万円と想定した場合です。

結果として、性能を考えない家のほうが、
70歳時点で、資産が下回ります。
95歳では倍半分資産に違いが出てきます。

つまり、
「建物性能を上げたほうが住まい手のためになる」
ということです。

お客様に高いものを売りつけているのは
私たちではなく、
低性能な家を作っている
つまり省エネ義務化を
反対している人たちということになります。

長く使うものだからこそ、ランニングコストが大事

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なぜ、初期コストをかけたほうが、
安くなるのか。

それは簡単です。

住宅は何よりも長く使うものだからです。

寿命が短く、何回も買い換えるものであれば、
初期コストが安いほうが、当然お得です。

たとえばエコバックに何万円もかける人はいませんが、
子供が小学生になるとき、
ランドセルはすごく悩んでよいものを購入すると思います。

理由は ”6年間という長い期間使うから” です。

人は生活しているなかで、
さまざまな商品を購入していきます。

食料品、消耗品、衣類、
自転車、バイク、車・・・・

しかし、何よりも支払う期間が長いのは
光熱費になります。

住宅ローンですら、最長35年。

光熱費の支払いの終わりはありません。

だからこそ、しっかりと
性能強化費用とそれによる削減できる光熱費を
しっかりと私たち実務者が把握する必要があります。

テレビなどの家電は
kWhだけではなく、年間光熱費を
きちんと表示していますよね。

家よりも寿命が短いのに
商品がランニングコストを表示しているのですから、
30年以上使う住宅がコスト提示しないのは
お客様にとっては、不親切です。

しっかりとシミュレーションを行い、
竣工後は室温だけではなく、
実際の光熱費もヒアリングを行い、
シミュレーションとの比較・考察を行うことも大切です。

光熱費だけでもなく、メンテナンス費も考える

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省エネを頑張っていると、
断熱性能による快適性や経済性のほうに
目が行きがちですが、

断熱性能の影響は光熱費だけに反映されるわけではなく、
メンテナンス性にも大きな影響を与えます。

上記写真は私が設計した家の
ご近所の写真です。
築10年程度だと思われますが、
外壁にくっきり柱や間柱がわかるように
カビが発生しています。

どれだけメーカー保証がついている外壁材であっても、
断熱性能不足もしくは施工不良により、
メンテナンス寿命が短くなります。

光熱費と合わせて、メンテナンス費用は
住まい手の家計に大きくのしかかりますので、
断熱性向上のメリットの一つとして、
メンテナンス期間が伸びることも、
あわせて、お客様に明示しましょう。

築10年以上の実際の事例があれば、
よりわかりやすくお伝えできると思います。

次世代に住宅ローンを背負わせない

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一番長く使う買い物だからこそ、
住まいはランニングコストが大事とお話しました。

マラソンと同じように長い期間での
ペース配分が住まいにおいて、
大切だと考えています。

ペース配分がしっかりと考えられた、
家づくりができれば、
一世代だけの家ではなく、
次世代へ、住み次ぐことが可能になります。

現在、私たちは各世代ごとに住宅ローンを
抱えていますが、
昔の日本の家がそうであったように、
一つの家を二世代、三世代が
大切に使うことができれば、
住宅ローンの負担額は削減でき、
かつ、低炭素社会に貢献できます。

とても価値ある仕事をしていますね。
私たち。

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