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続2。

 理由

Tさんがなぜ落ちてしまったのか。

ちょうどこの頃、彼女は初めての挫折を味わった。

「美容師になったばかりの頃から全然苦労したことないんだよー!お店決めるのも、練習も。」

そういう人なのだ。技術があるし可愛がられるからスタッフからもお客さんからも好かれる。

そんな彼女に3つの挫折が降りかかる。
▪カットのハサミを間違えた
▪中国人のメンズの言葉が分からず怒らせた
▪未成年の女子に難癖つけられた

上の二つは忙しすぎてパニックってしまったので自己責任ではある。

最後の「未成年女子事件」は運が悪かった。

女子は、あーでもないこーでもないと注文をつけ切らせた挙句「あ〜!財布もってないんだよね〜!」ときた。

とにかく忙しい店で、指名がない場合は手が空いてる人が入る。
私は自分の母と友達2人をかけ持ちしていて、男子Kも指名のお客さんに入っていた。

隣で見ていた母が「なんなんだ、あれ?ゲンコツくれてやろうか!」と言う。本当にやりそうだったので止めたが。

女子がどこかに電話をかけていたので、何気なく外に出てみたら車の中に男が2人いた。
仲間だ。

女子の来客カードに、住んでいる地域が書いてある。「私の地元やんけ!」
本物のヤクザの事務所があって、ちょいちょい見かける町。こいつぁヤクザだな。 
と思い、オーナーに伝えた。

「警察電話して」とオーナーが言ったので誰かが通報。警官は来るなり

「またお前か、、、」

やっぱり常習犯か!情けない。地元の後輩たちよ。

人の弱みに漬け込む

こんなことがあった後の勧誘。
救いを求めてしまうのは仕方がなかったのか、、、

その後Tさんは、みるみるうちに痩せていった。

初めましての頃はちょっとふっくらして可愛らしかったのに、ほんの3ヶ月ほどでガリッガリに痩せてしまった。

なぜ痩せたのか。


【眠らないから】

本来、結婚しているパートさんたちは早番、中番と遅番を独身貴族が担当するというシフトだった。

ところが、Tさんが急に早番で来てさっさと帰っていくという勝手な行動が始まった。

遅番は技術者2人とインターン1人の組み合わせでシフトを組んでいたから、勝手に早番でこられたら中番の独身が遅番まで残らねばならなくなる。

マインドコントロール

早く帰る、と言っても家に帰る訳では無い。事務所(教会?)に行って祈る。祈り続ける。朝まで眠らずに。

朝まで祈ってからそのまま仕事に来る。
(シャワーだけしてくると言っていた)

これが【マインドコントロール】の第一手段。

それからなんだか急にオーナーに「てんちょぉ〜♡♡」とか言いながらスリスリするようになった。そんなキャラだったか?と見ていたが、それもマインドコントロールの方法の一つ。スケベ店長はニヤニヤ。

タイムリーに手に取った本に書いてあったので仲間に教えておいた。


勧誘開始

Tさんはどんどん逞しくなっていく。
逞しくなるだけならなんの問題もないんだけど、スタッフのみならずお客さんにも被害が出ることになる。

インターン生→パートさんと、聞いてくれそうな人を先に誘い、おっかない先輩にはガッツリ怒られ、その後ようやく私の元へ。

インターン生1人はTさんに懐いていたので入信したが「祈ってる?」と毎日電話が来るけど祈ってないと言っていた。

きたきた!

T「WAKUさーん!ちょっといい?」
W「いよいよ私に回ってきたな!」
T「ご飯食べに行こうよ」
W「宗教の勧誘でしょ(笑)わかったよ。断ってもまた誘うんでしょ。じゃあさ、店は私が指定する。CASAには行かない。」
T「いいよ〜⸜(๑‘ᵕ‘๑)⸝*」

ということで「私が拉致されそうになったら電話すっから助けに来て」と、友達のアパート近くのうどん屋を指定。

「初めましてぇ〜!」と
おとなしめの女性がTさんの横に座る。
この人がTさんを落とした人だ。
物腰の柔らかい、小さな花柄のワンピースがよく似合う可愛らしい人。

「今、幸せですか?」

あ〜、、、またこれかぁ。
どいつもこいつも。もっと違うこと言えないのか、、、つまんねーな。

ここから一気にマニュアルを言いまくり、私の反撃を受けることになる。

それはまた、次回のお話。

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