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水辺と林と都市の人々の香り

一昨日、今シーズン初めてコートを着用したことでおなじみの前髪パッツンといえば霧里です。

さて、昨日は少し久しぶりな調香勉強会でしたので、今日はそのお話を。

今回は透明感のある香りがテーマ。


ちょうど、来年の宝塚大劇場のお正月公演は星組の「霧深きエルベのほとり」
私は、元々雪組が好きなこともあり、宝塚歌劇団の脚本・演出家である上田久美子先生の大劇場初演出作品である「星逢一夜」は大劇場・東京宝塚劇場・中日劇場と全て観劇しています。
上田先生の作品は宙組の「神々の土地」、月組のショー「BADDY」と観劇しましたが、詩的な美しい描写に心奪われるとともに、それぞれの立場や信念が故のやるせなさや、何度観ても「もしも」を考えさせられる世界観に魅力を感じています。
勿論、「霧深きエルベのほとり」も観劇予定です。

この「霧深きエルベのほとり」は過去に宝塚歌劇で何度も上演されている名作。
ドイツにあるエルベ河の河口にある港湾都市、ハンブルクが舞台です。

そこで、ハンブルクについてを調べていました。
港湾都市といっても、実際に海に面している訳ではなく、あくまでも海に注ぐエルベ河のほとりで発展した都市です。
そして、そんな港町のすぐ側には白樺の林が広がり、一年を通して霧が良く出るそうです。

私が通っていた高校は、東京湾にほど近い運河沿いにありました。
海に面している訳ではないのですが、目の前には海水とすぐ側を流れる隅田川の水が混ざりほんのりと潮の香りがします。
少し歩けば大きな工場のような建物が沢山あり、当時はまだ色々と開発・再開発の只中だったので、工事があちこちで行われていたり、空き地が広がっていたりしました。


しかし、駅の周辺には昔ながらの下町の風景が見られるという、不思議な二面性を持った場所でした。
横浜のロマンティックな港町の風景も好きですが、なんとなく私は横須賀の風景に慕情のようなものを感じるのは、きっとこの、高校時代を過ごした土地を思い出させるからだと思っています。

港湾都市と白樺林という、二面性を持つハンブルクは、もしかしたら私が高校時代を過ごした土地と共通点があるのかもしれない、と勝手に思い描いています。

公式サイトで、上田久美子先生が「霧深きエルベのほとり」について解説してくださっています。
その中で、この「霧深きエルベのほとり」の脚本を執筆された菊田一夫先生のこんな言葉を取り上げています。

荒々しい工業港湾都市を少しはずれると女性的な白樺林が広がっていて、その二つが“結婚”したらどうなるだろうかという発想からこの物語を思いついた

ハンブルクという都市から、このような印象を受けて、菊田先生は物語を作り上げていったそうです。

港湾の空気と、白樺と、霧と、そこに暮らす人々の香りはどんなものだろうか?
ちょうど、そんなことを考えていた時に今回の勉強会があったので、現在の私が思い描く「ハンブルク」という街をイメージしたフレグランスを作りました。

初めて使用する香料を使って特性などを知りたかったのでスギリーフやフランギパニといったものをポイントに、グリーンやウッディとフローラルが調和する香りに仕上げました。

私が「霧深きエルベのほとり」を観劇するのはまだまだ、かなり先なので、この香りを感じつつ、どんなお芝居になるのかを楽しみにしていようと思います。
私はネタバレをまーーったく気にしないので、観劇された方はどうぞ感想を教えてくださいね。
(とはいえ、公演の初日はまだ2週間以上先ですが…)

物語の舞台となる土地をイメージした香りは、今回作ってみて楽しかったので機会があればまたチャレンジしてみたいと思いました!

では、また。

サポートいただいた金額は新たな香料の購入など、今後も幅広い香りを生み出す為に活用させていただきます。 どうぞよろしくお願いいたします。