見出し画像

【ベルフェイス 溝口氏】セールス主導からプロダクトカンパニーへの転換。良いPdMのあり方とは

フォースタートアップス(以下、フォースタ)では、エンジニアに特化した専門チームであるエンジニアプロデュースチームを作り、スタートアップに対してキーマンとなりうるCTO・VPoE・エンジニアのご支援をしております。

今回は、「営業をテクノロジーで解放し企業に新たなビジネス機会をもたらす」というミッションのもと、チームで売上を最大化する国内No.1のオンライン営業システム『bellFace』を展開するベルフェイス株式会社の溝口氏のインタビュー。2021年3月に参画され10月より執行役員に就任された溝口氏に、どのようなキャリア観を持ち、新しい分野へと挑戦し続けることができるのかを伺いました。

画像4
溝口 健治 氏
SIerの会社で受託システムの開発・運用を4年半経験したのち、2007年、PwCコンサルティング合同会社へ入社。新規事業企画、PMO支援、業務改善などのコンサルティング業務に携わる。
2010年、楽天株式会社へプロデューサーとして入社。開発チームのマネージャーとして活躍し、
2014年にはシンガポールへ赴任。国内及び海外向けサービス開発のための開発体制を現地で1から構築。
2018年5月、株式会社鎌倉新書へ入社。執行役員兼プロダクト開発部部長として、プロダクト開発組織のマネジメントをする傍ら、経営視点で、開発組織とビジネス組織を結合させ、会社全体としての生産性を最大化するための取り組みを執行役員として推進。
2021年3月にベルフェイスに参画。


誰と働くかで成長速度は変わる。悩む暇があるなら飛び込む。年齢で諦める必要はない

画像2

──ベルフェイスに入社されるまでのキャリアについて教えてください。

溝口:1社目は商社系SIerに入社しまして、受託システムの開発・運用を行っていました。コーディングをするというよりは、プロジェクトマネジメントに近いことに携わりました。当時はコンビニエンスストアの顧客を担当していたのですが、クライアントに自社で受託しているシステムに詳しい人がいなかったこともあり先方に常駐しながらエンドユーザーに近いところで業務をしていました。その経験を通じて、ユーザーを理解しながらサービスを作ることの楽しさを覚えました。

2社目はPwCに転職。前職で感じたソフト面のスキル不足を補おうとしました。ここで強く実感したことは正論では人は動かないということ。つまり、ロジックとパッションのバランスをとりながら、各ステークホルダーの目線に合わせてコミュニケーションを順応させていくことを学びました。

その後、もっと事業に近いところで仕事をしたいという理由から、3社目で楽天にプロデューサーとして入社しました。プロダクトマネージャー(PdM)とプロジェクトマネージャーを足して2で割ったような役割です。ここでは、ビジネスサイドとプロダクトサイドの意向を調整して、事業の目的にみんなを向かわせていくことが主な業務となりました。

4社目は、鎌倉新書という会社へ。楽天という看板を捨てても自分のスキルが通用するかどうか力試しがしたかったんです。この会社では、執行役員になったこともあり、企業の経営という今までより一段、視座の高い経験を積むことができました。

そして5社目がベルフェイス。ベルフェイスに入社を決めた理由は3つあります。1つ目はスタートアップというカルチャーに触れてみたかったこと。2つ目はベルフェイスの社員が非常に魅力的だったこと。3つ目はベルフェイスのフルリモートという働き方で自分が結果を出せるか試したかったこと。これからは、リモートでの働き方が当たり前になる時代もくると思うので、それになじんでおきたかったんです。

──なぜ、スタートアップのキャリアに興味を持たれたんですか。

溝口:スタートアップで働いている方々の仕事に対する向き合い方が、やはり自分が今まで経験してきた企業とはプロダクト開発の取り組み方が異なると思ったからです。より危機感とスピード感を保ちながら、それぞれがオーナーシップを持って業務を遂行している。このような主体的な環境、カルチャーがスタートアップにはあり、自分に合っていると今も強く感じています。

正直、40歳を超えてからスタートアップに飛び込むことには心理的なハードルもありました。しかし、実際に入ってみると、意外と順応できるものだなと感じました。健康寿命も延びて70歳まで働くと考えるとキャリアはまだ残り30年で、折返し地点にすら到達していません。

だからこそ、40歳だから自分にはスタートアップは向かないと諦める必要は全くないと思うんですね。自分の新しい可能性を開きたいと思っている方や、キャリア形成で悩んでいる方は、思い切ってスタートアップに飛び込んでみるのも悪くないのでは、と思います。

──直近、執行役員にご就任されていますが、ベルフェイスさんでは現在どのような役割を担われているのですか。

溝口:役職が2つあり、Directer of Productとしてプロダクト組織の組織マネジメントを行う役割と、プロダクトマーケティングマネージャー(PMM)チームのマネージャーを担っています。

ピープルマネジメントとして人のリソース配分を考えることもしています。組織自体をどう最適化するか、という課題や採用などリソースを増やす面も中心になって動いています。

加えて、営業やマーケティングといったビジネスサイドと開発組織の連携も役割の1つです。対話すべき意思決定者を見極めて、物事が円滑に進むようにフォローをしています。

──ベルフェイス参画時、非常に短いスパンで転職を決められたと伺っています。それだけ短期間で決断できたベルフェイスさんの魅力とはなんだったんですか。

溝口:まずは、CEOである中島や、CTOの山口の人間力です。

ビジネス的な観点で言えば、BtoBのSaaSビジネスは、スタートアップの中でもメインストリームです。その中でビジネスの成長をプロダクトサイドから支えられること、一緒にゼロから作り上げていけることはとても大きな魅力でした。

また、優秀な人材に囲まれながら、その仕組みづくりに携われるのはベルフェイスでしか経験できないと考えています。

──山口CTOなど優秀な経営陣と働ける環境は、ご自身にどんな影響がありましたか。

溝口:自分のモチベーションに大きな影響がありました。私はキャリアの根底にずっと危機感があるんです。だから「成長が止まっているかもしれない」と感じると、自身のキャリアを見直し、成長するための次のチャレンジを考えてきました。

ベルフェイスには、周囲に心から尊敬できる人がいるので、まさに成長環境でした。特に今の上長である山口は元々技術系の執行役員やCTOを歴任するなど、技術畑の出身で、現在は取締役として経営全体に関与する傍で、CTO/CPOとしてプロダクト領域を管掌しています。そんな誰よりも忙しいはずの山口が、常に動きを止めることなく行動をしている。

その上、自分の専門領域外のことでも、知識をすぐに吸収して、非常に質の高いアウトプットをできてしまうのです。「山口のような立場の人間が質と量を伴うアウトプットを出し続けるのだから、自分ももっとやらないと。負けてられないな」と日々感じられ、良い影響を受けています。

──周囲の人から学ぶ以外に、得られるものはありましたか。

溝口:キャリアの選択肢の可能性が広がっている実感はあります。ベルフェイスは昨年、今年と資金調達を実施し、知名度も上がっています。成長企業の中でパフォーマンスを出せたと言える実績をつくることで、自分のキャリアにもプラスになると感じています。

また、余計なことを考えずに、熱量を持って仕事に没頭できる経験もできました。プロダクトチームは実質、何もない状態からコツコツとつくり上げてきました。安定した企業であれば、すでにオペレーションが完成されていて、ゼロイチでつくり上げていく面白さや難しさはないものです。スタートアップならではの「未完成で上手く軌道に乗るか否か」がはっきりしない状態は、チャレンジングでいい経験でした。

良いプロダクトマネジメントとは。セールス主導からプロダクト主導の“Product Led Growth”へ変革

画像3


──ベルフェイスのプロダクトは急激な進化を遂げていますが、現在直面している課題などはありますか

溝口:顧客の解像度をもっとあげなければならない、という話はよくしています。

ベルフェイスは“Sales Led Growth”、所謂セールスがプロダクトを売るタイプのプロダクトだったと思っています。ユーザーが感覚的に使うというよりは、一定のノウハウを提供する役割が必要で、セールスはクライアントが成果を生み出せるように伴走しています。

だからこそ、ビジネスサイドが「顧客からの要望度や温度感が高い」と共有された課題を聞きながら、実態の解像度をあげることが求められます。思いつきで機能をつくるのではなく、きちんとユーザーインタビューなどを通して顧客課題を拾い上げ、アウトプットが本当に課題を解決できるものになっているかを検証することが重要で、その点は同時期に参画した経験豊かなプロダクトマネージャーが積極的に仕組み化し推進してくれています。

今後は徐々に”Product Led Growth”(プロダクトがプロダクトを売る)の要素を取り入れていく必要があると思っています。また、今後開発する新しいプロダクトについては、"Product Led Growth"を取り入れたプロダクト開発・販売を仕掛けていきたいと思っています。

──溝口さんは「良いプロダクトマネジメント」にとって、何が重要だと考えられていますか。

溝口:バランス感覚が大事だと思っています。

大前提、会社にいる以上、会社が生んでいる利益の中で給料を貰っているので、会社の利益を度外視して、プロダクト組織が成し遂げたいことだけをやるのは違うと思っています。ただ、利益をつくるところだけに振り切るのも正ではない。短期ではなく、プロダクトビジョンや中期的な事業計画を踏まえて、「今フォーカスすべきことは何か」をきちんと考え抜くことが大事ですね。

よくあるのが、利益追求を急いで機能をどんどん開発した結果、いわゆる技術的負債が蓄積してしまうこと。それが溜まると、ちょっとした修正も非常に大変になってしまい、やりたいことができない状態に陥ってしまう。

リスクと会社としてやらないといけないこと。このバランスを上手く組み立てなければならないですが、会社や事業の状況を理解していないと判断ができません。それに加えて、社内の立場によっては視点が変わるので、意見が異なる場合も十分にあります。

バランスを見ながら、自分の意思や判断軸を持って、建設的な姿勢で話すように心掛けています。

──時には、ビジネスサイドと開発サイドが対立構造になってしまうような企業もありますよね。そうならないために、溝口さんが意識されていることはなんですか。

溝口:関係者各位を同じ方向を向けるようなコミュニケーションです。「この山に登りたいです」というゴールを理解してもらい、その上で「どのように山を登るか」は各人に任せるイメージです。自転車で行きます、走って行きます、車で行きます、と山を登る手法は人それぞれ。でも最終的には「今年目指すのは高尾山じゃなく富士山だ」というように共通認識を持ちゴールに向かって一緒につくり上げていく。そうすれば、みんなが同じベクトルを向いて進んでくれるので、コミュニケーションもうまくいきます。

ただ、正論だけでは人は動きません。そのためには、どのように話を進めるかや、関係者の性格や思考などの情報を積極的に入手しにいくことが求められます。自分が具体的によくやる方法は、ひとまずいろいろなミーティングに出席させてもらうこと。そうすると、コミュニケーションのとっかかりが見つかることがよくあります。

──「コミュニケーションのとっかかり」とはどのようなものでしょう。

溝口:出席者の関係性や重視することですかね。意思決定のタイミングの中で、どんな立場で、どんなことを気にしているのかは意識的に見ています。

すべてにおいて完璧な人はいません。プロダクトマネージャーなどに完璧さを求めることがそもそも無理があるかもしれないと思っています。なので、やはり一人ひとりの良さとか、「この人はここが強い」などをしっかり見極めたうえで、会社の中で、どんな役割を担えば、良い部分が発揮できて、価値を作ることに貢献できそうかを考えていくのが、自分の役割の1つではないかと思っています。

──その人の強みを見出すために、どのように普段コミュニケーションをとられているのですか。

溝口:自己認識をしてもらうための会話をすることですかね。

たとえば、メンバーが外から見るとケイパビリティがないことをやりたいと言ってたとしたら「あなたは今こういう状況だからここはできないかもしれない」と伝えて、ちゃんと自己認識させてあげることも私の役割だと思っています。


未来の働き方を見据えた選択を。今後挑戦したいこと

画像4


──今後のチャレンジで考えていることはありますか。

溝口:フルリモート勤務が前提のベルフェイスで、いかに効率的にチームワーキングさせていくかを考えています。そもそも直接人が集まらない選択をしている会社で、同じ1つの成果をみんなで追い求めていくには、どうしたらより上手くいくのかは模索中です。

また、私のキャリア軸に「成長しつづけられる環境で働く」というものがあるので、個人としては「自分が成長してる」と感じられる場所にいつづけたいです。もちろん、他のメンバーにとってもベルフェイスをそういう場所にしたいという思いが強いです。

私自身、今後も魅力的な機会があったらどんどん臆せずに飛び込んでいきたいですし、一緒に働く周りの仲間にもここを終着地と捉えずに果敢にチャレンジして欲しいなと思います。それで自分自身の視野が広がれば、それがまた自分のベースになって、新たなチャンスが生まれますから。とにかく生涯、挑戦者としてチャレンジをしつづけること。それが私のキャリア観です。


──ベルフェイスさん、そして溝口さん自身のチャレンジがこれからも楽しみです!!貴重なお話ありがとうございました!


インタビューご協力:ベルフェイス株式会社

for Startups エンジニアプロデュースチーム