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【DeNA 菊山氏】事業創出や発展に寄与していくT型人材を目指したい。システム思考を持つエンジニアだからこその選択肢

フォースタートアップス(以下、フォースタ)では、エンジニアに特化した専門チームであるエンジニアプロデュースチームを作り、スタートアップに対してキーパーソンとなりうるCTO・VPoE・エンジニアのご支援をしております。

株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)はインターネットオークションやゲームから始まり、今ではライブストリーミング、ヘルスケア、スポーツ、スマートシティにも事業を広げ、挑戦を続けています。ミッションに「一人ひとりに 想像を超えるDelightを」を掲げ、ロゴでも喜びや楽しみを表現しています。

今回ご紹介するのは、中小の開発ベンダーからスタートアップを経験し、DeNAに転職した菊山知宏氏です。現在はDeNA プロダクト開発部に所属し、新規プロジェクトの準備に打ち込んでおられます。転職の経緯、DeNAの社風、エンジニアについての考えなどをおうかがいしました。

菊山 知宏 氏
SIerを経て2015年、広告・人材・ECを手がけるスタートアップに入社。エンジニア3名のチームでリードエンジニアを担当し、サーバーサイドからインフラ、PMまで様々な側面でプロダクト開発に関わる。他にはエンジニア採用やチームビルディング、開発部署の部長など幅広い業務を担当した。2021年10月にDeNAへ入社。


開発ベンダーからスタートアップ、そしてDeNAへ。I型人材からマクロ視点を持ったT型人材を目指すための意思決定

−−これまでの経歴を教えてください。

菊山:大学卒業後は中小の開発ベンダーに就職しました。最初はiOSアプリエンジニアとして、グローバルで100万ダウンロードされる規模のアプリ開発に携わりました。その後WEBマーケターとして半年ほど経験を積み、当時20人程度のスタートアップに転職しました。

スタートアップなのでアプリ開発だけではなく、サーバーサイドやインフラ、時には情シスとしてWi-Fi設定を調整したり、あるいはクライアント先で要件定義をまとめたり、ほぼ1人で回している状況でした。企業がグロースするなか人を増やし、新しいチームを立ち上げ、いつしか部長に就任しました。そこからはエンジニアリング組織に目を向けて、エンジニアに特化した評価基準を策定するなどしてきました。

そうしたなか新たな組織だけではなく、新たなプロジェクトもやりたいと考え、フォースタさんを通じて転職活動をしました。

−−現状ではどのようなお仕事をなさっていますか。

菊山:新規プロジェクトの立ち上げメンバーとしてジョインしています。大きなプロジェクトになる予定なので、新しいサービスやプロダクトを作る前段階の調査や整理をしているところです。初期段階ではありますが、メンバーは30人くらいで、そのうち純粋なエンジニアは5人くらいです。

−−前職から現職に転職した経緯や理由をもう少し詳しく教えていただけますか。

菊山:前職では管理職に近くなり、組織も安定してきていました。そのなかで自分自身がどういう方向でキャリアを積むかと考えると、そのまま管理職で組織を安定的に大きくする道もあったかと思います。

「まだまだ若いし、これからも開発をしていきたい」とも思いましたが、前職だとなかなかチャンスがなさそうな状況がある一方で、自分自身が作り出す側に回れるかというとスキルセットとして向いていないのではというジレンマも抱えていたところ、目線を変えようと転職活動を始めました。

そのなかでDeNA CTO 小林篤さんと何度かお話させていただき、新しいプロジェクトの話をうかがうことができて、「この会社だと思っていたことができそうだ」と割と早い段階からピンときました。

−−小林さんはどんな印象でしたか。

菊山:第一印象はフラットでフランクな方だなと思いました。DeNAは一部上場企業ですし、そのなかで執行役員CTOという立場なので、お堅いところがあるのではと想像していましたが、全くそういう印象がなくて。なおかつビジネスだけではなくエンジニアの志向も持たれていて、そのバランスが好感持てましたし、まさに自分の理想でもありました。

−−これまでのキャリアでどのようなエンジニア像を追ってきたのでしょうか。

菊山:新卒3年目くらいまでは開発も楽しく、プログラミングに集中できる状態はアスリートでよく言われるフロー状態のようで、気持ちいい状況でした。日々発展していく技術にもとても興味がありました。

ただ自分が40歳、50歳を超えてもこれを続けるかと考えると「どこかで飽きがくるのでは」という疑問があり、職場の40代、50代の先輩たちのようになりたいかと考えると、イメージがわかなくて。

漠然とですが初期段階から、エンジニアとしては専門性を追求するI型人材よりは、専門性がありつつも広い知識や視野を持つT型人材がいいだろうとは考えていました。小規模のベンチャーにいた時は責任感だけで走っていましたが、あるとき「自分は意外とT型もできるのでは」、「得意じゃないけど必要だ」と気づいたのです。Tの横軸を広げることで、自分が年齢を重ねても残せるものは何か。その可能性を模索し始めています。


「Delight」に目を向けた組織、高いスキルと経験を持つ仲間に囲まれて

−−DeNAは社内勉強会もよく開催されていると聞いています。

菊山:はい、誰でも参加できる社内勉強会が頻繁に開催されています。ある勉強会では、Kaggleのコンペティションで優勝したDeNAのチームの話で、こうした情報を社内で直接聞けることはとても新鮮でした。

技術力だけではなく、エンジニアリング組織を議論する勉強会もあり、その活発さが印象的でした。チームビルディングも含めて意識が高く、高レベルな方々が多いと感じています。

−−日常会話からエンジニア組織について語れるって素晴らしいですね。

菊山:組織に対する意識は全体として高いように感じます。社内にはサジェスチョンボックスがあり、「こういうツールを使いたい」という要望や質問をオープンに投稿したり、課題について議論したりしています。時には「確かに現在はマッチしていないルールなので変えましょう」と改善につながることもあり、エンジニアにはいい環境です。

−−DeNAは事業開発を大事にされていますが、どのような土壌があるのでしょうか。

菊山:ゲーム事業やライブストリーミング事業などはまだ関わりが少ないのですが、、周囲のエンジニアとの会話から、プロダクトやサービスに対して、社会的なインパクトを意識されている方が多いです。

印象的だったのは、日常の会話から「Delight」という言葉が普通に出てくることです。「どういうDelightが届けられるか」を意識している方が多いので、自然と新しく入ったメンバーにも伝わっていきます。

−−今後チャレンジしたいことはありますか。

菊山:やはり今は目の前のプロジェクトを成功に導きたいと思っています。その先はうまく言語化できていないのですが、プロジェクトをマネジメントするとか、ビジネスと開発の間で活動ができるような立場をイメージしています。

ずっとエンジニアであると思っていますので、システムやテクノロジーの観点から事業創出や発展に寄与できればと考えています。


エンジニアはビジョンを実装に落とし込む手段を提供する職業。課題解決のために「プロダクト」と「組織」というシステムを動かす

−−過去の経験が今活きているところはありますか。

菊山:メンバーのマネジメントや1on1をやっていたのはよかったと思います。同じエンジニアでも考えや優先順位は全く異なります。年齢や性別、領域も色々ありますから。色々な違いを1on1を通じて聞くことができました。

今はマネジメントではないですけど、少し前に入社直後の人のフォローアップを頼まれた時に役にたったと思います。

−−エンジニアの優秀さについての定義や考えはありますか。

菊山:個人的にこうしていきたいと考えているのは、課題に対するアプローチで選択を狭めてしまうのではなく、「こういう方法ならできるかもしれない」と常に可能性を広げるように考えていくことです。そして、その可能性に対してQCDや優先順位を考えていくことが大事です。

エンジニアは「どのように」や手段を提供する職業だと思っています。事業創出の段階で抽象的に掲げられたビジョンを、エンジニアが様々な手段を用いて具体化に落とし込んでいきます。「これならできます」だけではなく、「これならこうなりますし、あれならああなりますが、この場合ならこれが最適」という思考はシステム思考ができるエンジニアだからこそ持てるもの。「組織」もシステムのようなもので、プロジェクトを進めるときに、ステークホルダーをどう巻き込んで進めていくのが最適なのか、など社内で仕事を円滑に進めることにも役立っています。エンジニアリングという手段を使って取り組める課題はとても大きいです。

−−後進のエンジニアにアドバイスはありますか。

菊山:俯瞰的な視点を持つことをおすすめしたいです。例えば苦境にいるとき、この苦境はなぜ起きているのだろうかと状況を紐解いてみると、それは自分だけの不満や窮状にとどまらないことがあります。改善するには誰と話したらいいか、どうコミュニケーションをとるか、論理的に考えて行くこと。そうしたことがシステム思考であり、エンジニアが得意とするところではないかと思います。そうした視点を増やし、広げていくといいのではないでしょうか。

加えて、組織はやはり人が作りますし、ウェットなコミュニケーションで成り立つところもあります。そういうところでDX然り、エンジニアだからこそ技術的な手段で環境をよくできることは多々あるのではと思います。そういった場面で人間関係を日頃から築いておくのも重要だと思います。

−−スタートアップだからこそ経験できる面白さを教えてください。

菊山:スタートアップは自分自身のアイデアや行動を反映しやすいところが非常に面白いです。自社サービス開発はもちろん、私がスタートアップにいたときのようにバックオフィスの業務改善とか、本当に些細なことでも貢献できることはあります。「もっと考えればもっとよくできること」が沢山あるのです。自分が直接的に貢献できることが多くあるところは面白いと思いますよ。

−−スタートアップへの転職を考えている人に向けてアドバイスをお願いします

菊山:えいやっ!と飛び込むのももちろんいいのですが、やはり怖さもあるでしょう。ベンチャーやスタートアップで大事なのは「誰とやるか」です。そこにいる人たちがどんな人たちなのか、知るところから始めるのがいいと思います。今すぐ転職しなくても、ベンチャーやスタートアップの中の人たちとセミナーや勉強会を通じてコミュニケーションしてみることから始めてもいいのではないでしょうか。

−−貴重なお話をありがとうございました!菊山さんのますますのご活躍を、お祈りしております!


インタビューご協力:株式会社ディー・エヌ・エー

執筆:加山恵美

取材・編集:for Startups エンジニアプロデュースチーム


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