3ワイドが「普通のこと」に見える怖さよ…——ベルギーGP
ベルギーGPの35周目。オー・ルージュを抜けたケメルストレートで9位オコンと8位ガスリーが7位ベッテルを挟んで3台横に並んで併走し、オコンが大外から2台まとめてパスする大迫力のシーンがあった。
2000年にハッキネンが同じ場所で、ストレート外側のシューマッハと、間にいた周回遅れのゾンタをイン側から2台まとめて抜いていった「20世紀最高のオーバーテイク」とそっくり。昔からのF1ファンなら誰でも当時を思い出すシーンだった。
しかしながら、私が視聴しているフジテレビNEXTでは誰も2000年との相似を指摘しない。
「誰か指摘してよ!00年と同じだって!」
「間に挟まれたのは周回遅れじゃなく、順位を争ってるドライバー3台のバトルなんだよ!」
「しかも、イン側からじゃなく、アウト側から2台ごぼう抜きしたんだよ!」
「現代は車幅は広いし、全長も長い。サイズ的には難易度高いよ!」
「塩原さんは00年に実況していたんじゃないんだっけ?」
と思ったけど、結局2000年のことは触れられずにそのシーンは過ぎてしまった(DAZNではサッシャさんが指摘していた。しかし最初に言及されるドライバーが「ゾンタ」というのも。。。ゾンタカワイソス。。)
DRSの介在が大きすぎる?
確かに今回は7位争いに過ぎず、タイトルがかかった優勝争いと比べて地味かもしれないが、見た目の迫力は2000年のバトルに引けを取らないものだった。
なぜ今回の印象が薄いのか…と考えると、やはり「DRSの介在が強すぎる」点に行きつく気がする。DRSの追い抜きはどんなに見た目が派手でも、「作られたオーバーテイク」との印象が強くなる。今シーズンの空力規定で後方のマシンが前車を追走しやすくなると、サーキットによっては『CGやBGMで加工したハリウッド映画』のような派手なレースも目立ち、サウジアラビアでは「DRS使用権を得るための前の譲り合い」のような不可解なことも起きてしまった。
DRSなしではエンタテインメントが成り立ちづらいことは理解できるが、DRSによるあからさまな速度差での追い抜きには感動がない。少なくとも、ベルギーとアゼルバイジャンについてはDRSは不要だと思う。DRS区間をサーキット最長の直線に必ず設ける、という不文律も見直した方がいいように思える。
今期の空力規定は近年のF1で最高だと思うが、FIAには究極的にはDRSなしでもエンタテインメントが成立する規定を目指してほしい。
鈴鹿でこそ、DRS抜きのガチバトルが見られる・・・かも
その点では、個人的には日本GPに注目している。鈴鹿では記憶の限りにおいて、ホームストレート区間以外でDRS区間が設定されたことがない。バックストレートは次に130Rが控え、DRSを設定しづらいためと思われる。
ところが、今季のマシン規定なら、ダンロップからデグナー、そして、ヘアピン明けの200Rからスプーンでも前車にピッタリ追走できる可能性が高い。あの「伝説」とされる、2005年にアロンソがシューマッハを130R大外からブチ抜いたような強烈な追い抜きも見られるかもしれない。DRSなしで同じシーンが見られるなら最高だ!
今年は西コースで、DRSなしのホンモノのオーバーテイクが見られるかが注目だ。オー・ルージュであれだけ前車に追走できるのだから、スプーンや130Rで真後ろに付くことも期待できる。西エリアチケットはまだ販売している。みんな、西エリアに集まれ!!!!!
…と言いつつ、それが本当に実現するか自信がなく、私は1コーナー前の指定席を買った小心者です。。。