境界知能の人(なんばさん)が使っている「先延ばし」有効活用術
物事や問題を先延ばしするとろくなことがないのは論をまたないところかと思います。
「あとでやればいいや」「見なかったことにしよう」などと考えていると、あとで手痛いしっぺ返しがくることは誰もが経験があることですから。
そんなわけで、出版業界にも「すぐやる」「めんどくさいを消す」といったワードが流行し、数年前からそうした言葉を冠した本がベストセラーになっています。
こうした「先延ばし」の悩みは、境界知能(IQ75以上85未満)の人にとっても共通しているというか、平均的な知能の人と比較して深刻だというのが、『境界知能の僕が見つけた人生を楽しむコツ』の著者のなんばさん。
ところが、この「先延ばし」も考えようによっては利用できると語ります。
どういうことでしょうか?
以下を読むと、きっと目からウロコでしょう。
「先延ばし」で悪習慣を断ち切ろう
先延ばしの原因は人それぞれですし、記録しても改善がみられない人もいることでしょう。しかし、実は先延ばしを逆手にとると、悪習慣を断ち切るチャンスを得られる場合があります。
たとえば、ジャンクフードを食べることをやめたいという人がいるとします。わかっていてもやめられない状況は当人にとってかなりストレスです。そこで、「ジャンクフードを食べたい!」と思っている自分に気づいた段階で、「あと10分したら食べよう」と先延ばしを活用するのです。
人の欲望や衝動というのは、時間が解決してくれることが多いものです。僕も、めちゃくちゃお菓子を食べたいときに、「いや、あと5分したら食べよう」と思い直し、5分が経過するとあら不思議、お菓子を食べたい欲求がどこかに消えていることがよくあります。
そして、この「あと10分」「あと5分」の間に何もしないで欲求や衝動を過ぎ去るのを待つよりも、SNSを見続けたり、読書などの気晴らしになることをすると効果的です。
僕の場合は、よく外に出て10分だけ歩くという行動をします。環境や状況が変わると思考や感情も変化しやすいからです。このような意識をそらすための手札をいくつか準備しておきたいものです。
境界知能の人は記憶を保持して扱う力が弱いと言われています。おそらく、認知機能の弱さやワーキングメモリの低さからです。つまり忘れやすいということ。一見忘れやすいことはデメリットに思いますが、上手に先延ばしを利用すれば、悪習慣を断つことができるのです。
「鶏は三歩歩くと忘れる」と言いますが、僕も恥ずかしいことに5秒前に考えていたことを5秒後に忘れるということが日常生活においてよくあります。
「先延ばし」で負の感情を断ち切ろう
他にも先延ばしを有効活用する方法があります。
それは、「思考や感情にとらわれる時間」を決めておくというものです。
たとえば、日中に仕事で失敗をしてしまい、後悔の念が止まらなかったとします。しかし、終業まで時間があるので、いつまでも後悔していては仕事に身が入らないし、次のミスの原因につながりかねません。そこで、19時に退社できるとしたら、そこから30分はいくらでも後悔してもいい時間にしようと決めておくのです。すると、少しは目の前の仕事に集中できるようになります。
◌悪い個性も使いよう
この方法はさまざまなシーンで応用が効きます。
たとえば、ずっと悩んでいるのに答えが出ない課題があるとき、友だちに裏切られて怒りが止まらないときなど、長い時間苦しんでいる場合です。そんなときには、思いっきり悩む時間や、怒り狂う時間を少し後に用意しておくのです。すると、「あとで思いっきり悩んだり、怒ったりできるんだから、今は他のことにエネルギーを注ごう」と気持ちを切り替えられます。
しかも、設定した時間になったらまったく悩まなくなっていたなんてこともあるのです。
僕もよく「あとで悩もう」「帰宅したら怒ろう」と思っても、その時間になったら意外と落ち着いているのです。
先延ばしを直さなくてはならない悪しき癖と悩む境界知能の人もいると思いますが、良い悪いは別として、それも個性なので、どうせなら上手に利用したいものです。
本当に気づきの多い一冊です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(編集部 イシグ口)