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「生活防衛資金」はいくら必要か?

フォレスト出版編集部の寺崎です。

今日は誰しもが耳の痛い話になるかもしれません。

それは・・・「生活防衛資金」です。

今年から始まった新NISA。いよいよ自分も投資を始めるか!と意気込んでいる方も多いかと思いますが、投資は儲かりもすれば、損もします。

【いきなりクイズ】
1929年の世界大恐慌。
当時の株価下落を回復するのに、何年かかったでしょうか?






答えは「25年」です。

↓(ちなみにこの記事はめっちゃ目から鱗落ちます)

世界大恐慌、リーマンショック級の大暴落がいつこれから来るともしれません。そんなときに生活を支えるのが「生活防衛資金」です。

では、具体的に生活防衛資金はいくら必要なのかについて『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』(水瀬ケンイチ・著)から抜粋してひも解いてみます。


なにが起きても自分と家族を守るお金「生活防衛資金」

 生活防衛資金とは、リストラ・長期入院・災害などなにが起きても、自分と家族の生活をしっかり守るためのお金です。目安としては、「生活費の2年分」を、銀行預金など流動性の高い金融商品で確保することが望ましいと考えています。
(中略)
 世の中の投資本でも、生活防衛資金にあたる余裕資金を持つべきだという話はよく出ています。ただし、金額に関しては、給料の3カ月分とか半年分とか1年分とか、まちまちです。
 しかし、2011年に実際に起きた東日本大震災のことを思い出すと、まず避難所に避難しますが、生活の再建には、食料の確保に始まり、けがの治療、居住地の確保、仕事への復帰など、いろいろな段階を踏む必要がありました。生活の再建に1年を超える長期化を余儀なくされる場合も容易に想像できます。
 もちろん、国や自治体などのサポートもあるでしょうし、状況は人それぞれでしょうから、一概には言えないとは思います。もし自分だったらと考えると、自分と家族の生活を立て直すのに、少なくとも給料の3カ月分や半年分では心もとないと感じました。
 少な目の生活防衛資金でよいという意見には、「いざというときは投資商品を躊躇なく売却して生活費にあてればすむこと」という理由が付いている場合があります。
 これはリストラや長期入院など個人的問題には有効だと思います。
 でも、大災害の場合、着の身着のまま避難所に逃げてきた人たちにとって、電気やガスといったライフラインがダメージを受け、電話も通じないようななか、証券会社の株や投資信託を売却して、その資金を銀行口座に送金して、それをどこかの金融機関窓口から引き出すというのは、現実的ではありません。

水瀬ケンイチ『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』第2章より

生活防衛資金は「生活費2年分」・・・。

こう聞いて絶望した人もいるでしょう。実はこの本の初版を編集していた当時、原稿整理中にこの言葉に出会い、「え・・・」と思いました。

ていうことは、俺まだ投資できないじゃん!と。

でも、ご安心ください。生活防衛資金が生活費2年分ないと「NISA不適合者」というわけではありません。

生活防衛資金を貯めながら投資すればいい!

 では、生活費の2年分が貯まらないと一切投資を始めてはいけないのかというと、そんなことはありません。「生活防衛資金を貯めながら投資をすればよい」のです。
 たとえば、毎月の収入から、2万円投資できる方であれば、1万円を生活防衛資金の預貯金に、残りの1万円をインデックスファンドの積み立てに回すといった感じです。
 ただし、本当は貯めておくべき生活防衛資金が十分にないなかでの投資となるので、自分自身のリスクに対する耐性も半減していると考えるべきでしょう。
 ですから、生活防衛資金を貯めながらの投資は、自分が思っているよりもずっと保守的に考えて、できるだけ安全サイドに倒した内容にすることを心がけるとよいと思います。

水瀬ケンイチ『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』第2章より

なるほど!

貯金と投資を両にらみで取り組めばいいんですね。

さらに、この「生活費2年分」という言葉をもう少し詳しくみていきましょう。

ポイントは「年収」ではなく「生活費」

 さて、誰もが耳の痛い(?)生活防衛資金の話が続きましたが、ご安心ください。
 朗報が2つあります。
 ひとつは、生活防衛資金は「年収」ではなく「生活費」の2年分です。節約して生活費を下げれば、必要な生活防衛資金もぐっと下がるということです。
 たとえば、月20万円で暮らしている世帯が必要な生活防衛資金は480万円(20万円×24ヵ月=480万円)にもなりますが、節約して月15万円で暮らせるようになれば、それが360万円(15万円×24ヵ月=360万円)ですむようになります。
 節約の力は偉大ですね!
 もうひとつは、私が実際に資産運用をしていて実感したことなのですが、生活防衛資金は、私たちの生活を守ってくれるだけでなく、心の安定も守ってくれるという副次的効果があることです。
 実際、2008年のリーマン・ショックに端を発した「100年に一度」と言われた世界金融危機のときでさえ、市場の阿鼻叫喚のなかで私がなに食わぬ顔で夜ぐっすり眠れたのは、たっぷりと確保してあった生活防衛資金のおかげだと本当に思います。
 むしろ、普段の生活のなかでは、こちらの副次的効果の方が生活防衛資金の主目的であると言っても過言ではないくらいです。

水瀬ケンイチ『改訂版 お金は寝かせて増やしなさい』第2章より

生活防衛資金は「年収」ではなく「生活費」だから、生活費を押さえれば押さえるほど、必要となる資金は抑えられるというわけです。

サブスクの見直し、外食を減らす……などなど、生活費を抑えること、生活防衛のために本気で考えたほうがいいですね。



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