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第5回#「もし、あなたがビジネス書を書くとしたら・・・」

こんにちは
出版局の稲川です。

「もし、あなたがビジネス書を書くとしたら・・・」
第5回目をお届けします。


◆編集者は出版企画書のどこを見ているのか?(その3)

前回、編集者が企画書を見る際に、
「再現性があるかどうか?」ということをお話ししました。

今回は引き続き、
編集者は出版企画書のどこを見ているのか?(その3)です。

「そんなに見るところがあるのか!」と思われるでしょうが、
それでも、編集者はおそらく1分もかからずに、
これらのことを判断しています。
逆に、見るべきポイントを持っているからこそ速いということかもしれませんね。

今回は、その3として、
「あなたが書きたいことを編集者はどう判断しているのか」ということについて考えてみたいと思います。


◆本に書かれる「メッセージ性」とは何か?

はじめに、そもそも本という媒体は、
読者に何を伝えているかを考えてみる必要があります。

先に答えを言ってしまいますが、
本は「第3次情報」を伝えています。

どういうことかと言うと、
まず「第1次情報」というのは、いわばニュース。
あった出来事をより正確に、速く伝えることが主となります。
ここには主義・主張は存在しません。

地震速報であれば、何時何分、どこそこで地震が発生。
各地の震度は~、津波の心配は~など、
事実を事実のまま伝えます。

次に「第2次情報」とは、
わかりやすく言えば、雑誌などに書かれている情報です。

〇〇事件に対して、近所の方のお話をうかがうと~や、
詳しい関係者の証言によると~のほか、
加害者のこれまでの人生を探って、
その事件の要因を探るというものなどがあります。
(もし冤罪なら、加害者が裁判に訴えるケースもあります)

つまり、第2次情報とは、事実に対してその周辺情報を取材し、
第1次情報の“裏”を伝えるものです。

そして、第3次情報とは、第1次情報や第2次情報に対して、
「自分の考えを述べる」という主義・主張が入ったものになります。

最近では、SNSの情報発信により、
世の中の出来事に対して自分の意見を自由に述べられるようになりましたが、
その主張は言葉足らずなものが多く、誤解を生みやすいために
炎上する原因にもなります。

これなどは、おおよそ第1次情報から自分が思ったことを発しているため、
その主張を裏づけるものがなく、本の情報にはなり得ません。
また、責任ある立場でもないため、
読んだ側もその発言に対してどう思おうが自由。

しかし、主張がこれと同じであれば、
本としてのメッセージとしては不十分なのです。

なぜならば、あなたの独自の視点(フィルター)があって、
初めて本として成立するからです。


◆本にはあなた自身のメッセージが必要

本を書く際には、必ずあなた自身のメッセージが必要です。
それも自分自身から生まれたものでなければなりません。

たとえば、ある出来事に対して、
テレビのコメンテーターが発する言葉は、
無難な解答、言い換えれば優等生的なコメントです。

まあ、テレビという公衆の面前でのコメントですから、
あまり偏った主張は、賛否両論、批判の的になりますし、
とくにスポンサー企業(業界)を批判するコメントは完全にNG。

尖った意見を述べるコメンテーターは、
テレビ業界では危険な存在として避けられてしまいます。

これは、言論の自由があるにもかかわらずです。

しかし、本は違います。
むしろ、コメンテーター的な意見はいらないのです。

それは同時に、読者はその本に優等生的な意見を必要としていないからです。
たとえば、「人の話を聞く技術」といった傾聴力を高める本なら、
「人の話を聞き、相手を理解することはビジネスパーソンにとって、欠かせないスキルです」というメッセージだけでは、
確かに間違いではないですが、面白くも何ともありません。

そこには、著者ならではの「聞くとはどういうことなのか?」という、
強いメッセージが込められていなければならないのです。

果たして、ここに強いメッセージを見いだせるでしょうか?


◆「強いメッセージ性」はあなたのどこから生まれる  のか?

当たり前のことですが、本には文章が綴られています。
文章は、読み手へのメッセージであることも当たり前のことです。

ということは、綴られているその言葉が、
読者に100%伝わらなければなりません。

しかし、文章というのはセミナーや講演などのライブとは違い、
伝えたいことが割り引かれるのです。
もしかしたらあなたの伝えたいことが、
文章にしたら半減してしまうかもしれないのです。

だからこそ、本では「強いメッセージ性」が必要なのです。
(文章の書き方については、また別の機会でお話しさせていただきます)

では、強いメッセージはどこから生まれてくるのでしょうか。

それは、著者の内面や体験から生まれてきます。

「不満」「憤り」「不安」「恐怖」「挫折」「信念」「根気」「好奇心」……。

たとえば、伝えたいメッセージは、あなたが仕事に対する社会への不満や、会社への憤りなどがあって、それを解消するために生まれたメソッドであるかもしれません。
もしくは、さまざまな不安から抜け出すために生まれた考え方かもしれません。

そうしたメッセージは、読者の心にも響いてきます。
なぜならば、あなたと同じ不満や憤り、不安や恐怖を感じているからです。

陳腐な言い方をすれば、「共感」ということになるのでしょうが、
強烈な主張があって、やっと100%伝わると思っておいたほうがいいでしょう。

あなたの内面や体験を通して解決したことが、
イコール強いメッセージとなり、
それが本という媒体では生きてくるのです。

本日のまとめ
・本は第3次情報を伝える媒体である
・本には著者視点での主義・主張が必要
・著者独自の視点(フィルター)に、誰でも語れることはいらない
・本には「強いメッセージ性」が必要
・強烈なメッセージがあって、読者には100%伝わる
・強いメッセージは、著者の内面や体験から生み出される

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