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#312【ゲスト/編集者】年間10万部を出す編集者のプライベート

このnoteは2022年1月20日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。


毎年10万部のヒットを出す凄腕編集者

今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティーを務める今井佐和です。本日は「毎年10万部を出す編集者が考えていること、やっていること」ということで、素敵なスペシャルゲストをお呼びしています。本日はかんき出版・副編集長の杉浦博道(以後:杉浦博)さんと、フォレスト出版編集部の杉浦彩乃(以後:杉浦彩)さんです。よろしくお願いいたします。

杉浦博・杉浦彩:よろしくお願いいたします。

今井:本日はダブル杉浦さんということなんですけれども。早速ですが、フォレスト出版の杉浦さんから、杉浦さんのご紹介をお願いします。

杉浦博:ややこしい(笑)。

杉浦彩:ややこしいですね、ちょっと(笑)。じゃあ、フォレスト出版の杉浦から、かんき出版の杉浦さんをご紹介させていただきます。杉浦博道さんは、現在かんき出版に在籍されているんですけれども、アスコムさんやSBクリエイティブさんで大活躍されてきた編集者さんです。ちょっと信じられないことに、信じがたいことに、毎年10万を突破するベストセラーを必ず出している凄腕の編集者さんでございます。

今井:必ず?

杉浦彩:もうマストで。

杉浦博:平均するとですね。2~3年に3冊くらい出す時もあれば、ゼロの時もあるので、1年あたり平均すれば1冊は出しているかなと。9年間で10冊出したので、1年平均すればまあ毎年っていう、そういう言い方になるかなっていう感じですね。

杉浦彩:すごい!素晴らしい!

今井:一般の方ですと、10万部って、すごそうだなっていうことはわかっても、どれくらいすごいのかってわからなかったりするのかなって思ったんですけど、ちなみに10万部って、どれくらいすごいものなんですか?

杉浦博:どれくらいすごいかはわからないんですけど、大体本って全部のジャンルを合わせると1日に200冊くらい出るんですよ。で、10万部を突破するのも200冊に1冊くらいだって言われているので、確率としてはそれくらいになるのかなと。なので、自分で言うのも言いづらいんですけど、一生出せない方も結構、ほとんどかもしれなくて、私はちょっと運がよかったので、出ちゃったっていう感じですね。

今井:運がいいだけでは毎年出せないと思います。

杉浦彩:出版の神に愛された男みたいな。リングネームみたいな(笑)。

杉浦博:まあ、あとで話しますけど、本はそんなに好きじゃないんですけどね(笑)。

杉浦彩:そうなんですね。そんな杉浦さんの代表作なんですけれども、『ガボール・アイ』視力回復の本ですね。あとは、速読の『瞬読』と言う本。あとは、『老人の取扱説明書』などがありまして、語学書に関しては、これまで10点担当されて、重版率はなんと100%とのことでございます。

今井:100%!これもまたすごいですね。

杉浦博:語学書は作りたくないんですよ。最近、『英会話は筋トレ。』っていう本、あとで話をするかもしれないんですけど、これも作るのが嫌でした。記録が止まっちゃったら嫌だなと思って。

杉浦彩:プレッシャーが。

杉浦博:はい。

杉浦同士の不思議なご縁

今井:そんな中でも増刷率100%で。ところで、同じ杉浦さんなんですけれども、ご親戚か何かだったりされるんですか?

杉浦彩:実はですね、兄なんです。

今井:え!そうなんですか!?

杉浦博:ちょっと今日はオフィシャルな場なので、丁寧な言葉を使っています。

今井:え!今、本当にびっくりしています(笑)。本当ですか?

杉浦彩:ちょっと面白くないですかね?ええと、まあ、言っちゃいますと、別に兄弟でも親戚でもないんですけど。

今井:(笑)。

杉浦彩:言ってみたらどうかなっていうふうに・・・。

今井:騙されました。

杉浦博:ただ、あながち・・・。

杉浦彩:そう!

杉浦博:苗字が一緒に収まらないんです。

杉浦彩:そうです、そうです。地元がかなり近い!

今井:そうなんですか?

杉浦彩:そうなんです。

杉浦博:駅3つだけしか違わないんだよね。

杉浦彩:そうです。電車で15分くらいですよね。あと、全国の杉浦の6割は愛知がルーツだとかっていう話があるんですけど、お互い愛知なので。だから、もう大きく見たら、先祖は一緒なんじゃないかなっていう。

今井:(笑)。

杉浦彩:同族だと思います。

杉浦博:そうですね。私は彩乃さんといつ知り合ったのか、全然覚えてなくて。

杉浦彩:そうなんですか?私は覚えていますよ。

杉浦博:ほんとですか?何が言いたいかと言うと、それぐらい、いつの間にか一緒にいたぐらい。なので、妹って言っちゃっていいくらい、僕はもうそういう頭になっちゃっているっていう。

杉浦彩:いいですね。お子さんが、めっちゃかわいくて、伯母として成長を見守っている感じです。SNSでお写真を拝見した時に。本当にかわいくて。

杉浦博:じゃあ今度、お年玉をせびりに行きますね(笑)。

杉浦彩:はい(笑)。

杉浦博:それくらい僕は、なくてはならないかけがえのない存在でございまして。

杉浦彩:ほんとですか!まあ、あんまり杉浦って出会わないですよね。あんまり私は出会ったことがないです。

杉浦博:編集者ではいないですね。営業とか、出版業界でも全然いなくて。ただ、全国で数えると、240番目に多い苗字なので、別にマイナーでもメジャーでもない、中くらいなんですけど。だから、もうちょっといてもいいかなっていう。

杉浦彩:そうなんですよ。たぶん、東京あたりに少ない。愛知に行くと結構いるはずなんですけど。

杉浦博:ごめんなさい。この話ばっかりしていて、あれなんですけど・・・。

杉浦彩:(笑)。

杉浦博:三河地方にすごく多くて、クラスに5人いる事例もあって。

今井:5人も!?

杉浦博:だから、鈴木と佐藤よりも杉浦が多い。ちょっと怪奇現象が起きている。

今井:怪奇現象!地方ではありますよね。私の地元は鈴木よりも望月が多くて、クラスに3、4人いらっしゃいました。

杉浦彩:へー。望月さん!風流な名前の方がそんなに。

出版の世界に足を踏み入れた経緯

今井:杉浦博道さんは、大学を卒業して、そのまま編集者になられたんですか?

杉浦博:そうですね。ずっと出版業界にいます。

今井:ただ大学では、出版と言うと文系とうイメージがあるんですけど、物理を専攻されていたと伺ったんですけども。

杉浦博:そうですね。元々、天文学者か、気象予報士になりたくってっていうのが1つポジティブな理由としてありまして、ネガティブな理由としては、物理が得意だったんですよ、偏差値が70くらいで。で、現代文が偏差値40だったんですよ。ボロボロ。

今井:(笑)。

杉浦博:まあ、そういう、なるべく偏差値が高い所に受かりやすいとか、そういうネガティブな理由も含めて、物理を専攻したと。で、物理をやっていれば、宇宙とか天気予報に道が行く学問なので、そういう感じでした。

杉浦彩:物理から編集者っていうのはちょっと不思議ですよね?

杉浦博:そうですね。これはすごくよく聞かれて、新卒の面接どころか中途採用でもよく聞かれるんですけど、理由はいくつかありまして、僕はまあ、略して東大に行ったんですよ。

今井:略して東大(笑)。

杉浦博:そういうところはいっぱいあるので。

杉浦彩:でも、私も略したら東大です。

杉浦博:おー!じゃあ、同じ東大ですね。

今井:(笑)。

杉浦博:僕は、正真正銘の本当の東京大学も受けたんですよ。で、二次試験で、200字作文っていう小論文があるんですよ。それだけは点数がよかったんですよ。だから、文章は読むのは苦手だけど、書くのは得意だったと。だから、人の話は聞かないけど、勝手にしゃべるみたいな、そういう奴なんですけど。

今井:(笑)。

杉浦博:まあ、文章を書くのは元々好きだったっていうのが1個。あとは大学は結構苦労して入ったので、合格体験記を書いたら、広島とか遠方の方からも「勉強方法を教えて欲しい」って、わざわざうちは関東ですけど、会いに来てくれたりして。

今井:えー!

杉浦彩:それは、ブログか何かで?

杉浦博:本です。

杉浦彩:本!?

杉浦博:エール出版社っていうところから、『私の理工学部合格作戦』っていう本が、全国に売られているんですよ。参考書の本。

杉浦彩:杉浦博道・著で?

杉浦博:著と言うか、何人かいる中の1人で。

杉浦彩:あー。なるほど。

杉浦博:10人くらい、理工学部に受かった人の「私はこういう勉強をしました」みたいな。それで、自分の名前で文章を書いて、それが本に載ってって、すごいことだなと思って。なんか面白そうだなあっていうのが1つ。あとは、大学に入って漫画研究会に入っていたんですけど、絵を書くのが段々かったるくなってきて、文章ばっかり書くようになっちゃって。

今井:漫画なのに(笑)。

杉浦博:その辺の体験が、まず大学時代にありました。で、今度は大学院に進むんですけど、専攻を都市計画に変えたんです。で、都市計画っていうのは、現地に行って取材みたいなことをやるんですね、フィールドワークって言うんですけど。これは言ってみれば取材みたいなもので、こういうことが結構楽しいなと思って、今ザッと申し上げたことを全部総括した時に、1番行きたい業界はどこかって言ったらマスコミになったんですよね。私は、陰キャラで、パリピでもないので、テレビとか広告じゃないだろうと。あと正義感もないので、新聞とかじゃないなとか。教養もないし。消去法で出版と。まあ、そんな感じですね。

杉浦彩:へー。

杉浦博:まあ、ネガとポジの両方の理由で。はい。

杉浦彩:説得力がありました。

常軌を逸した熱量から生み出されるヒット作

今井:ありがとうございます。ちなみに、フォレスト出版の杉浦さんは、かんき出版の杉浦さんのことをどんな編集者だと思いますか?

杉浦彩:いつもSNSを拝見したりとか、名編集者として色々なイベントに登壇されて、出版のお話とかをされるんですけど、それにもちょっと参加させてもらったりとかしたんですが、とにかく熱量が高い。もう怒涛のしゃべりで伝わっているかもしれないんですけど、とにかく熱量が高く、研究熱心。常軌を逸しているんじゃないかなという気がします。英語の本でしたっけ?作る時もめちゃめちゃ他社本を読み込んで研究するみたいなことをおっしゃっていて。

杉浦博:それは彩乃さんもやられていると思う。

杉浦彩:それはちょっと私に振らないでほしいんですけど(笑)。本当にその量がすごいんですよ。あと、短期集中じゃないけど、グッと入り込むタイプなのかなっていうのが、ラーメンを1000件以上食べ歩いていたりとか。

今井:えー!1000件ですか!?

杉浦彩:あと、鉄道も全部乗ったんでしたっけ?

杉浦博:JRと私鉄の全区間乗っています。

今井:全区間・・・。日本中ですか?

杉浦彩:全部の駅に止まったっていうことですか?

杉浦博:全部の駅を通って・・・。でも、全部の駅で降りた、私よりも変態な奴もいますけど、私は降りてはいないですね。全部一応通ってはいます。

杉浦彩:すごい!そういう、ちょっと常軌を逸したマニアックぶりがすごいんですよ。

今井:ふーん。かんき出版の杉浦さんご自身は、自分で自分のことをどんなふうに思われていらっしゃいますか?

杉浦博:いや、一緒にいてもそんなに面白くない、普通の奴だと思っています。

今井:いや。全然普通ではないと思います(笑)。ラーメン1000件とか、全区間乗ったとかは。

杉浦博:まあ、ラーメンは暇だったのと、鉄道は・・・、ただの旅人だったんですけど、ある時、暇だったので、乗った区間を蛍光ペンで塗りつぶしていたら、結構塗れちゃったので、「じゃあ、全部塗ろうかな」みたいな。別に電車はそこまで好きじゃないって言うか。まあ、ここまで来たらっていう、エアパッキンのプチプチが少し残っていたら気持ち悪いじゃないですか。そんな感じです。何か得られるものがあるかなと思って、全部乗ったら、なかったです。

杉浦彩:(笑)。

杉浦博:最後の1駅に行く時はすごくテンション上がりましたけど、終わった後は定年退職した、燃え尽き症候群みたいになって、明日から何をして生きていけばいいんだろうなってなって、周りに聞いたら「じゃあ、今度は世界」って、めちゃくちゃなこと言われて、北の国でも難しいだろうってなって、そんな感じで(笑)。まあ、旅は好きです。

杉浦彩:すごい!

今井:すごいですね。ちなみに、他にも何かご趣味とか、最近の流行りとか、あったりするんですか?

杉浦博:流行りみたいな、モテるかっこいいのは全然やっていなくて、集めた物で言うと、「こち亀」全巻・・・200巻。

杉浦彩:え!200巻もあるんでしたっけ!?

杉浦博:あります。「ゴルゴ30」が抜いちゃったんですけどね。

杉浦彩:そうなんだ。

杉浦博:何で亡くなった著者が抜いちゃうんだって(笑)。存命が抜かれるって、意味がわからないんですけど。そういう感じで、かっこいい趣味はないですね。運動も陸上部だったから。バスケとか、車とか・・・すみません。ないです。

今井:でも、先ほどから、語学の本も、ご自身はそんなに語学が好きじゃないと言いつつ、すごく売れていたりだとか、鉄道も何となくノリで始めたら、全部終わっていたりとか、そこまでウォーっていう情熱がなくてもできてしまうっていうのが、すごいなぁってお話を聞いていて思ったんですけれど。

杉浦博:そうですね。自分、すごいですね。

今井:(笑)。

杉浦博:うそです、うそです(笑)。結構一生懸命やっているのに、全然増刷も何もかからない本も多いですけどね。ただ、この後の質問で出てくるかもしれないんですけど、実績から振り返ると、語学書はじめ、実用書、使い込む本がもしかしたら自分は得意と言うか、向いていると言うか、だったのかなとは思いますね。

今井:やり込む性格と言うか、研究熱心みたいなところが、きっと本にも反映されていらっしゃるんだろうなあなんて感じました。

杉浦博:先ほど、大学受験の話があったと思うんですけど、結構参考書とか予備校の先生とか研究していたんですよ。東大なので、全部の科目があるんですけど。そういうのをやっているうちに、参考書みたいな本を作るのが得意になったかもしれなくて、語学書っていうのも言ってみればそういうものの1つだし、先ほど彩乃さんがおっしゃった『瞬読』っていう速読の本も使い込むドリルみたいな本なので、この辺は受験生の頃から無意識に培ってきたのかもしれないなと振り返っています。

今井:ありがとうございます。さらに詳しくお話をお伺いしたいんですけれども、お時間が来てしまいました。また、改めて詳しくお聞きしたいと思います。本日はダブル杉浦さんということで、どうもありがとうございました。

杉浦博・杉浦彩:ありがとうございました。

(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)


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