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「新NISAって、なにがどう変わるの?」の疑問にズバリ答えます!

フォレスト出版編集部の寺崎です。

2024年から始まる新NISAですが、とあるニュースを読んでわかったのは、新NISAそのものがあまり多くの人に知られていないようです。

このニュースの元となったリサーチ記事がこちらです。

全国10代~60代男女3,000人を対象にした調査だそうですが、その結果がなかなか興味深いものでした。

NISAを利用していない人 52.6%
利用の仕方がわからない人 20.5%
NISAの新しい制度内容について知っている人 11.9%
NISA自体をはじめて聞いた人 10.9%

ニーサくん、まだまだ伸びしろありますね!

というわけで、今日はNISAの最大のメリット、さらには2024年にNISAがどう変わるのかについて新刊『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)から引用して解説します。


NISA制度の持つ3つの不変の大前提

 第一に、NISAは「少額」というのが大前提です。
 個人がごく普通に取引する範囲に限って税制優遇が与えられます。毎日数百万円のトレードをするようなデイトレーダーの取引には税制優遇は与えられません。
 第二に、「投資」をすることも求められます。
(中略)
 NISAではほとんどリスクのない金融商品は対象外となります。例えば個人向け国債はNISAでは購入できません。債券だけで運用する投資信託も同様です(部分的に債券運用を取り入れるのはよい)。NISAで購入できるのは、株式投資信託もしくは個別企業の現物株式が対象となります。投資信託と上場株式の特徴を合わせ持つETF(上場投資信託)もここに含まれます。
 第三に、「非課税」という点が最大の特徴です。
 通常、投資の収益(譲渡所得)には税金がかかります。原則20%、復興特別所得税を加えると20・315%です。何度も売り買いをしていれば、この約20%の税率は地味に大きい負担となります。
 もしこの非課税部分をまるごと受け取って再投資できれば資産形成に大きなプラスです。あるいは生活に用いるとしても、より多くの現金を使うことができます。
 非課税のメリットを有する制度はそうたくさんないので、確実に使いたいところです。
 少額で投資をした場合、その値上がりにかかる課税を行わない、つまり非課税で収益をまるごともらえるのがNISAの本質というわけです。

『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

ここでおそらく一番重要なのが「非課税」という部分でしょう。

たとえば、通常の株式の売買で持ち株を売って100万円儲かった場合、そこから20%の税金が引かれます。

100万円-(100万円×20%)=80万円
⇒株を売っただけで20万円も取られてしまう!

ただし、これが非課税のNISAの場合、まるまる100万円を手にすることができます。これだけでもすごいことです。

2024年からはさらに嬉しい制度改正が始まります。

新NISAの変更点① 制度の恒久化が実現

 現状のNISA制度は毎年1口座を開設する仕組みですが、実はこれ、5年後、10年後もNISA口座が続くことは約束されていませんでした。
 数年おきに税制改正大綱で「これからもNISAをXXXX年までは開設できます」と認めて、そのつどアップデートされていたのです。
 これではいつまでNISA口座を開設し続けられるか不安です。長期投資といいながら、20年先の未来でつみたてNISAが続いていないのでは困ります。
 そこで今回、NISAは制度として恒久化されることが明確になりました。これからはNISA制度がなくなることを心配せずに安心して活用できます。

『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

「制度として恒久化」はインパクトありますね。

新NISAの変更点② 非課税投資期限の廃止

 一般NISAが「投資した年から5年目の年末まで」、つみたてNISAが「投資をした年から20年目の年末まで」を、非課税投資が続けられる期間としていましたが、これが完全撤廃されます。
 これは革命的な変化です。
 特に一般NISAについては、これまでは中長期投資を求めつつも、投資5年目の年末に何か対応をしなければなりませんでした。毎年毎年、「5年前に投資したお金はどうなっていたのだろう」とチェックし、期限までに手続きをするというのは面倒です。
 この非課税投資期限が廃止されることにより、「NISA口座全体」で自分のライフステージや資金ニーズをみながら資産管理できるようになります。

『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

NISAがいまいち理解されない欠点に「一般NISA」と「つみたてNISA」の2種類があることにあると個人的には思っていたのですが、それはさておき、それぞれ投資期限が設けられていたのが、2024年から完全撤廃されます。

新NISAの変更点③ 年単位の管理から口座単位の管理方法へ

 今までのNISAは年単位で口座管理をしていました。
 これまでは、2022年の一般NISA口座の120万円は2026年末まで、2
023年の120万円は2027年末まで……といったように管理をしていたわけで
す。売却するか、証券口座に移管するか、翌年のNISA口座にロールオーバーするか決めさせる仕組みは複雑でした。
 運用は「全体」で捉えるべきですが、「2020年に投資した分は増えているか?」「2021年に投資をした分は?」と分けて考えることは合理的ではありません。
 今回の改正はこの悩みも解決します。
 何年に投資をしたかは関係なく「私のNISAには○○○万円ある」ということだけを考えればいいのです(ただし後述するように、投資上限の総枠管理を行うことになりますが、これは年単位でチェックを行います)。

『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

ちょっだけややこしいかもしれませんが、ひと言で言うと「よりシンプルになりました!」って理解でいいと思う。

新NISAの変更点④ 一般NISAとつみたてNISAの区別がなくなる

 2023年までは「一般NISAとつみたてNISAは選択制です」と説明されてきました。どちらか1つを年単位で開設する(普通は同じNISAを継続しますが)仕組みでしたが、これが統合されます。
 後述しますが「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という名称で、それぞれつみたてNISAの枠、一般NISAの枠が引き継がれ、NISA口座は1つになります。
「年40万円×20年は合計800万円だからつみたてNISAでいこうか」「年1
20万円の枠が大きいから合計600万円でも一般NISAで行こうか」と悩ませること自体がハードルでしたが、2024年からはとにかく「NISA口座を作る」ということだけ考えればいいのです。

『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

要は2つあるNISAの選択制だったのが、これからは「一つのNISA口座で投資枠をどうするか」だけ考えればよくなったというわけです。

これまたシンプルになりましたね。

新NISAの変更点⑤ 総拠出枠が設定される

 先ほど、5年あるいは20年の非課税投資期限が廃止されると説明しましたが、その代わりに設定されるのが「総拠出枠」の考え方です。簡単にいえば「ひとりがマックスでここまで入金できる上限」ということになります。
 年単位の管理がなくなる代わりに「総額で1800万円まで」がNISAの上限額ということになります。
 これは入金して買い付けをした段階の価格なので、1500万円の投資資金が値上がりして1800万円の価値を持っていても、まだ300万円は投資できます。
 また、総枠の上限に達していた場合には新規投資ができなくなりますが、売却をした場合はその枠が翌年の投資可能額として復活します。
 1800万円をすでに投資済みであった人が100万円分を売却した場合、翌年は100万円まで改めてNISAで投資ができるということになります。
 この管理は年単位で行われます。復活するのは翌年の1月となりますので、リアルタイムで枠が復活するわけではないことに注意してください。
 つまり、デイトレードなどで頻繁な売り買いをしたとしても、空いた非課税投資枠が戻ってくるのは、最大で1年後というわけです。

『新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

NISAで積立投資して教育資金と老後資金を貯めるぞ!と意気込む人にとっては、こちらの最後の変更点が一番インパクトがあるかもしれません。

「売却した場合はその枠が翌年の投資可能額として復活」というのも地味にすごいことです。これは、突然のアクシデントで投資資金を切り崩さなければいけないような場合に役立つはずです。

最後に新旧NISA比較表です。

新NISAとiDeCoでお金を増やす方法』(山崎俊輔・著)より

いかがでしょうか?

「来年からNISAが変わるって聞いたけど、なにがどう変わるの?」と疑問だった方には「なるほど、そういうことか!」と納得いただけたら幸いです。


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