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私とこの1冊

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フォレスト出版の編集者が自らの読書体験を公開。
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#読書

読書:戦争でも平和でもない「今」と防衛費

防衛費増額の財源をどうするか、増税で対応するのか、国債を発行するのか、自民党内が騒がしくなっています。 それにしても、さすが自民党です。いや、圧倒的多数の与党だからできることですが、野党をその名の通り外野に置き、「統一教会問題」を吹っ飛ばす勢いで話題を振りまくことで、自党に注目を集めています。タブロイド紙の一面は、右寄りの夕刊フジも「自民」、左寄りの日刊ゲンダイも「自民」というわけです。 結局、法人税・所得税・たばこ税を財源にするという叩き案が出ているそうです。労働者かつ

汚れれば汚れるほど良い本。

こんにちは。 フォレスト出版編集部の森上です。 人生や仕事に影響を与えてくれた本、いわゆる「座右の書」は、誰でも1~2冊はあるのではないでしょうか? 私が学生時代に出会い、社会人になってからも、ふとしたときに読み返してしまう1冊に、『メメント・モリ』(藤原新也・著)という本があります。私の人生のバイブルです。 写真は、現在私の手元(座右)にあるもの(三五館から刊行された21世紀エディション)ですが、私が学生時代に出会ったものは、1983年に情報センター出版局から刊行され

栗城史多さんの実像を追った河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』(集英社)の短い感想

『デス・ゾーン』(河野啓、集英社)のKindle版を読んだので、せっかくなので、その感想を。 編集者が書いた書評というと、余計にハードルが上がるので、期待されると困ります。 まとまりが悪くて読みにくいと思いますが、興味がある人はぜひ。 ●栗城史多と小池都知事の違い以前、このnoteで現東京都知事の実像に迫った『女帝』について感想を書きました。 小池都知事の場合、多くの疑問が指摘された「カイロ大学卒業」という経歴も含め、自分の「願望」がことごとく「成就」していく様に、スピ風

『ブルシット・ジョブ』を読むためにおさえておきたい『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

世界的ベストセラーで、7月末に発売予定のデヴィッド・グレーバー『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(岩波書店)を楽しみにしている人は多いのではないでしょうか。 現在(2020-07-08)予約受け付け中のAmazonでは次のように紹介されています。 やりがいを感じないまま働く。ムダで無意味な仕事が増えていく。人の役に立つ仕事だけど給料が低い――それはすべてブルシット・ジョブ(クソどうでもいい仕事)のせいだった! 職場にひそむ精神的暴力や封建制・労働信仰を分析

読書感想:『女帝 小池百合子』(石井妙子、文藝春秋)をKindle版で読んだ。

こんにちは。編集部の石黒です。 ノンフィクションは好きで、とくに事件物はよく読むのですが、政治家の評伝的なものをガッツリ読んだのは、今回が初めてでした。ノンフィクション作家石井妙子さんの400ページ超のベストセラーですが、2日でサクッと読了。 このような硬派なノンフィクションを絶好のタイミングで世に出し、かつ商売的に成功させることができる著者、編集者、出版社を、同業の末席を汚す者として、本当に尊敬します。 以下、つれづれなるままに書いた私の拙い所感になります。あまり期待しな

「ビジネス書」編集者の愛読書。

こんにちは、フォレスト出版編集部の杉浦です。 ブックカバーチャレンジ、流行っていますね。一人7冊、なかなかの冊数なので、Facebookのタイムラインが本の画像で埋め尽くされている感があります。実は私、やたらコミックエッセイを読んでいる時期がありました。それを知っている社員から「ビジネス書編集者なのにコミックエッセイばっかり読んでるっておもしろいぞ」と言われたので、誰からも回ってきていませんが、コミックエッセイ縛りで勝手にブックカバーチャレンジしてみたいと思います。 ブッ