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全社会議も森の中? 会議の議題は『木』

いつの間にか師走が過ぎ去り、2023年に入ってすでに1か月が経っています。
年々、月日が経つのがあっという間に感じます…

今回は、昨年2022年12月に行った全体会(全社会議:一般的に言われる、会社に所属する全ての人間が参加して行われる会議のことです。以下、『全体会』に統一についてご報告!

全体会といっても、今回紹介するのは
「今期の売り上げはうんたらかんたら」とか
「来期は〇〇をがんばろう」とか
そういったことではありません(もちろんそういったこともしましたが)。

フォレストバンクの全体会は『木について考える時間』で満載です。
そんなちょっと変わった弊社の全体会をご紹介します。


本日のスケジュール

本日のスケジュールはだいたいこんな感じです。

 8:00  本社集合
       移動
 9:30  林業現場に到着
       木育アクティビティの体験
       自伐型林業の現場見学
11:30  移動
12:00  昼食
12:30  移動
12:45  製材所見学
13:45  移動
14:30  本社
       全体会(一般的な全社会議)
17:00  終わり

う~ん、木について考える時間がたっぷりあります!
太字部分と移動時間を含めると半日以上は木に関する時間です。

木育アクティビティの体験

まずは準備体操を兼ねて木育アクティビティを体験しました。

木の一生を自分の体を使って体験する『木になる体操』
気に入った自然物を交換していき1つの宝物を見つける『わらしべウォーク』
ジャンケンに勝ったら葉っぱを拾える『じゃんけん落ち葉集め』

「遊び」と言ってしまえば簡単ですが、
アクティビティをきっかけに参加した社員さんには『気づき』が生まれているようでした。

「いろんな色や形の葉っぱがあるんだ~」
「ドングリなどの木の実も落ちてますね」
「この大きな葉っぱは…カキの葉っぱ?」
「色々落ちてたけど、一番気に入ったのは最初に拾ったこの葉っぱでした」

林業の現場というと、どうしてもスギやヒノキといった針葉樹に注目が行きます。
林業という仕事柄、それは1つの正しい側面ではあります。

しかし、自伐型林業を行っているここ日和佐の山林は広葉樹も多い森林です。
地域の特性として、薪炭業が盛んだったこともあり、ドングリのなるウバメガシが植えられていたこともあり、針葉樹と広葉樹が混ざった森林(混交林)が多く残っています。

そんな生物多様性に富んだ山であることに気付いてほしくて木育アクティビティを取り入れてみました。

気になった葉っぱを拾うアクティビティ
仕事柄、やっぱり気になるのはスギの葉っぱ
いよいよ山の中に入っていきます


自伐型林業の現場見学

山に入ると軽トラに乗って表れたのは自伐型林業の山林作業者(弊社社員)の庄野さんです。

かれこれ1年半、この山林で0から作業道をつけてくださっています。
0からというのは、
「それまでに車が入れるような道が全くなかった=0の状態」
「それまで作業道を作ったことがなかった=0の経験」
という意味です。

初めて0から自分で考えながら、時には先人の師匠に学びながら
作業道を作ってきた庄野さんの思いや感じたことをお聞きしました。

山林作業者庄野さんのお話
今、立っている道も庄野さんが作った道です
図面を使って今の山の状態と将来の計画をプレゼン
自伐林業の思いを語る

林業の難しいところの1つは、「答えが出るのに時間がかかること」
 〇材を出すために必要な道を作る作業に時間が必要
 〇山林のためにはどのような作業をすればいいのか考える時間が必要
 〇自分が出した答えが正しかったのかわかるまでに時間が必要
などなど、考えることは山積みです。

具体的な例をあげると
問題「ここに細い木があります。伐るべきでしょうか」
解答「細い木を伐ればほかの木の成長を促進するから伐ろう」
数年後「台風が来て木が少なくなったところが風の通り道になり、周りの木が倒れてしまった」
その時の目先のことだけ考えると数年後に問題が生じてしまうこともあります。

直面した課題に対して答えを出すにも
自分が出した答えが正解だったのかの"答え合わせ"にも時間がかかるのが林業です。

長い目で見守っていくのが大切なのだと気づきました。

道の真ん中にある木 果たして残すべきか伐るべきか

↓ 弊社で行っている自伐型林業の紹介動画や作業の様子は下記からご覧いただけます ↓


製材所見学

場所が変わって、製材所を見学させていただきました。
ご協力いただいた新丹生谷製材の森さんは製材所の大ベテランさん。

新丹生谷製材の森さんのお話

素人には判断が難しい「丸太の仕分け」についてお話しいただきました。
丸太はもちろん1本1本形や太さが違います。そういった丸太の特徴を瞬時に判断してグループ分けするのが「丸太の仕分け」です。

大きくは3つに分けられます。

A材:直材で建築用材、家具材など市場性が最も高い質材
B材:曲がり材で土木用材など
C材:大曲がり材で集成材、合板用材、チップ材(製紙用・エネルギー用)など

https://www.city.saga.lg.jp/site_files/file/usefiles/downloads/s36827_20130704045514.pdf

これはあくまでも一般論。
その会社の考え方や地域の特性、木を使う方々の需要によっても変わってきます。

また、「傷が多い」「節が入っている」「小口(断面の丸くて年輪が見えるところ)の色が悪い」
そういったとてつもなく多くの情報を機械に乗って操作しながら判断し、どんどん丸太を分けていらっしゃいました。

一見すると太くて高く売れそうな丸太
でま森さんに言わせると「曲がっている丸太」
仕分けられた丸太
チョークで書かれているのは直径の値

仕分けされた丸太は機械によって柱や板に加工されます。
機械で加工しますが、どこを切るかセットするのは人力でした。

丸太の曲がっている具合や状態を見極めながら、また、需要のある製品となるように
丸太1本1本、板1枚1枚を丁寧に作業されていました。

製材加工の様子に真剣な一同

↓ 製材の様子は下記からご覧いただけます ↓

製材加工されてできた柱や板はそのまま使われるわけではありません。
十分な乾燥を行ってから出荷されます。

乾燥の方法には大きく「人工乾燥」と「天然乾燥」があるそうです。
ここでは、「人口乾燥」は蒸気を使って木の乾燥を促す仕組みを取り入れていらっしゃいました。

木材の乾燥技術については、専門的でとても興味深かったので
また別の機会でまとめたいと思います。

新しく導入された人工乾燥機を使っている様子
天然乾燥の様子

こうしてできた木材はトラックで運搬しやすいようにまとめられ
木を使っていただく人のもとへ届けられます。


まとめ

いかがだったでしょうか。
今回はフォレストバンクで行った全体会の様子の一部をご紹介させていただきました。

林業の現場のことだけでなく
そこで伐った木が製材工場でどのように加工されるのか
どのように木が使われているのか
人々が木に対してどのように考えているのか まで考える
それは木に関わる者として果たすべき責任でもあると考えます。

これからも 山のこと・森のこと・木のこと
多くのことを教えていただきながら『考える時間』をとっていきたいです。


著者:おおだいら


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