見出し画像

森と人とのつながり(3) ~副業で森と人とのつながり活動~

はじめましての記事で書いたように、いろいろな人に森とのつながりのお話を聴いています。

三人目は、副業として森と人のつながりに関わる活動をしているYさん。

Yさんのお話

森に関する活動

「フォレストリバイタライズ産業」のメンバーとして、「森林と人との新たな関係性を育む」活動をしています。


いま、リブランディングを企画中で「森と人の間に1000年つづくつながりを」というコンセプトで、人と自然との交流・共生を経済の観点も含めて考えています。
事業として以下のことを計画しています。
(1) つなぐ:森を活用したい企業や自治体を適切な人につなぐ
(2) 教育:学校や企業に森林体験を提供する
(3) データ蓄積: 土や森のデータを蓄積して、人が自然と関わるときの変化を可視化する(自然がよくなることを示したい)

Yさんの活動の背景

Yさんが「森」に関心を持った背景は、元々離島で生まれ育ったYさんが子ども時代当たり前に遊んでいた森が、いま見ると荒廃していて、子どもが遊べる場所ではなくなっているという危機感でした。

Yさんのもう一つの背景として、学生時代の東南アジアバックパックの旅で、過酷な環境にも関わらず、ある意味で豊かに暮らしている人がいて、文化の違い、いろいろな考え方があることを体感したこともありました。その経験から、死ぬまでにいろいろな国を体験したいと考えて、グローバル事業を展開する会社に就職し、キャリアの半分を海外ですごし、開発に携わり、経済発展に貢献してやりがいを感じてきました。でも、コロナになって、いろいろ考え直す機会があり、もやもやしてきました。

eumoとの出会い

そんな中、eumo (*1) のことを知り、eumoアカデミーに参加しました。

eumoアカデミーでは講師や参加者から、聞いたことのない世界、多様な考え方を知り、考えが違う人と対話する経験をしました。
また、森の課題を見た時にどうしても資本主義の社会システム=お金という指標で見ていることに違和感をもっていたことから、通貨の役割を「価値を循環するもの」として定義している通貨 eumo  にも興味を持つようになりました。

離島での暮らしを思い出すと、お金が使えるところは1軒のお店だけだったけれども、玄関を開けるとだれが置いてくれたかわからない石鯛があって、気兼ねなく食べて、数日後に「あれ食べた?」と言われてお礼をいう生活を当たり前にしていました。そこでは、お金でなく価値が循環していて、価値が一か所に集まることもありませんでした。

林業の課題として、サプライチェーン上に、森林を所有する人、森林を管理する人、木を伐る人、木を運ぶ人、木を加工する人、加工した木を売る人など、たくさんの人がいます。森の資源は長い時間をかけてこのサプライチェーンを通って消費者の手に届くけれども、消費者から価値(お金)を手渡されるのは最終的に売っている人だけ。これをブロックチェーンの仕組み、例えば eumo を使って、消費者から感謝を乗せて価値を返すことができたらいいな。でも、このように価値を大きく回す仕組みは、株式会社では(相対する人同士での価値の交換になるので)成り立ちにくくむずかしいと感じています。

eumoアカデミーでは地域に入り込んだフィールドワークとして、熱海でマイクロプラスチックを減らすためのビーチクリーンの活動や、藻を育てるブルーカーボンの活動に参加しました。活動の中で、地域の人に声をかけられて、マイクロプラスチックの話をしたり、ゆるくつながる経験をしました。やはり、その場に行くことが大切と感じました。

このような活動をしてみて、自分自身、大筋は変わっていないけれども、ただ安い方を、とは選ばなくなり、だれかがなにかやってくれるために預ける感覚を持つようになりました。

スローリーダーシップへの共感

スローリーダーシップの考え方は、以前から「聴く」ことの意味を感じていたこともあり共感します。実際に聴く活動としてエール (*2) のサポーターをしています。聴くことで得られることが多いと感じています。また、eumoの考え方もスローリーダーシップに近いと思います。

Yさんのお話を聴いて

Yさんは実際にスローリーダーシップ的な活動をされており、どんどん共創の幅を広げられている実例だと思いました。コンセプトの中で、1000年という時間軸を置いているのはまさにスローリーダーシップの姿勢で大きく問題をとらえて、取り組んでいこうとされていることがすばらしいと思いました。その考え方を持ちながら、具体的な成果を生む活動を複数されていることも目指したい姿だと思いました。

また、社会人としての経験を生かして、ビジネス観点で経済的価値を生もうとしている、また、デジタルの可能性を生かしているところも、まさにいまの時代に取り組むべきことだと思いました。特に、事業として考えられている、土や水の可視化は、デジタルで可能になることであり、いろいろな活動を行う上での、方向性を確認する上でも重要なことだと思いました。

また、基本的なところで、その場に行くことの重要性を改めて感じました。この note では基本的にオンラインでいろいろな方のお話を聴いていこうとしていますが、やはり、現地に行って、その場を体験、体感すること、人と出会うことも、やっていこうと思いました。

エールのサポーターについては、私自身もサポーターをしているので、「エール」「聴く」「森」というのは何かつながりがあるようにおもしろく感じました。

補足

(*1) eumo
「中央集権型の資本主義社会から自律分散型の共感資本社会へ」をコンセプトとする非営利株式会社。共感コミュニティ通貨 eumo のプラットフォームの運営と、人財育成のための eumo アカデミーの運営を行っている。 

eumoがコンセプトとして提示したいのは「共感資本社会」です。「共感資本社会」とは、共感という貨幣換算できない価値を資本として育み、共感をベースとして経済活動を含む様々な活動をしていける社会のことです。

https://eumo.co.jp/

共感コミュニティ通貨 eumo は以下のような特徴を持つ。
・加盟店に経済価値に感謝や応援をのせて贈ることができる。
・ユーザ同士、コミュニティに感謝や応援の気持ちをギフトとして贈ることができる。
・有効期限があり、循環を促進する。
・ブロックチェーンの仕組みを使っており、透明性がある。

(*2) エール
企業向けの「聴く」サービスを提供。社外の副業人材 (エールサポーター) が、オンラインで社員に 1on1 を提供。「聴く」を評価・判断なしにきくこと定義して (実行するのはむずかしいことなので)、エールサポーターにトレーニングを提供している。
代表の櫻井将さんは『まず、ちゃんと聴く』を最近出版。
取締役の篠田真貴子さんは『LISTEN』の監訳者。

・社外⼈材と話す機会が組織ゴトを「⾃分」主語で話す機会となり、当事者意識を養う
・社外⼈材に聴かれた体験が聴く⼒を養い組織のレジリエンスを⾼める

https://www.yell4u.jp/service


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?