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【離婚後共同親権】世論はどのように操作されるのか(15)偽装野党・日本維新の会による推進論

〔写真〕最近、おどろおどろしい共同親権推進論がすっかり影をひそめているが。。。

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確固とした政治的意思

前回、だいぶ橋下氏をこき下ろしましたが、残念ながら、これは橋下氏の思い付きパフォーマンスではありません。

彼の息がかかる、大阪維新の会、日本維新の会らの政党による、確固とした政治的主張なのであります。

実は11年前、こんなニュースがありました。

単独親権制度:子どもの親権は離婚後も共同で 知事、法改正へ見解 /大阪

 離婚後、一方の親しか親権を持てない日本の単独親権制度について、橋下徹知事は20日の府議会健康福祉常任委員会で、「(離婚後も)原則、共同親権で、子どもはしっかりと両親が育てる(べきだ)」と述べ、海外で広がっている共同親権制に法改正すべきとの見解を示した。浦野靖人議員(維新の会)の質問に答えた。橋下知事が離婚後の親権問題について言及したのは初めて。

近年、離婚した元夫婦間で子どもとの面会交流や学校行事の参加をめぐって争いが多発。子どもに会えない親たちが全国で団体をつくり、民法改正を求めている。橋下知事は「海外では共同親権は当たり前」としたうえで、「国会議員が真剣に議論して解決しなければならない」と注文を付けた。【反橋希美】
(毎日新聞2010年10月21日)

ただ、これは橋下氏オリジナルの意見とはとても言い難いです。
なぜなら、当時、国政レベルでも、民主党・自民党の有志議員による共同親権導入が目指されたり、日本共産党の有力者から離婚後共同親権導入へ賛成論が示されるなどしていたからです。

当時の賛成論をみると、はっきり言って、2021年よりはるかに健全だった。

ところが、2021年に導入論を主導しているのは、こんな人です。

まだ衆議院議員を1期務めているだけなのですが、界隈では、2019年のこの国会質疑で名を知られることになり、以後、離婚後共同親権導入の中心人物の1人とみなされています。

串田誠一:
(前略)連れ去りをすれば処分を、刑事罰をしなきゃいけない。だけれども、一方で、DV被害者も守っていかなきゃいけないんです。それを、一生懸命、国が知恵を出し合って、ほかの国はやっているんだけれども、日本は現場に丸投げ。だから、現状維持になってしまうので、連れ去りが横行してしまうんです。連れ去りが一番有効な手段になってしまうんです。
 安倍総理、どうでしょう。今、この日本を支える若者が、どういう若者がいいのか、考えていただきたいんです。一方では、いろんな事情で別れ離れになっても双方の親から養育を受ける、そういう子供がこの日本を支える方がいいのか、それとも、あなたの父親は悪い男なんだよ、そういうふうにして、実の親を憎むような子供が大きくなってこの日本を支えた方がいいのか。
 安倍総理、この条約を締結した以上は、決断、国民が見ている前ではっきりと、この条約を遵守するような法改正へと進むということを明言していただけないでしょうか。

安倍晋三(内閣総理大臣):
この日本が条約上の義務を果たしているか、遵守しているかどうかということについては河野大臣からお答えをさせていただきましたし、また、政府の立場については山下法務大臣から答弁をさせていただき、親権とは別に、親の面会、そういう権利についてはそうした対応をしているということは答弁させていただきました。
 一方、今、串田議員のお話を聞いていて、聞いていると、なるほど、もっともだなという気もしてくるわけでございまして、子供としては、やはりお父さんにも会いたいしお母さんにも会いたい、お母さんにも会いたいしお父さんにも会いたいという、それはそういう気持ちなんだろうなということは、よく私も理解できます。
 この問題については、国会の議論の状況等も踏まえまして、きょうもそうした議論がございましたが、民法を所管する法務省において引き続き検討をさせたいと思います。
(2019年2月25日 衆議院予算委員会)

この結果として、3月に法務省が海外の離婚後親権の状況を調査したり、研究会を発足させて検討したり、といった動きにつながっていった、と思われます。

思い付きの寄せ集め

日本維新の会は、大阪維新の会を母胎として2012年に国政進出を果たしてから、離婚後共同親権に積極的な議員(中津川博郷氏、松浪健太氏)が何人か存在していました。
しかし、いずれも選挙に強くなく、この後の国政選挙に落選。国政の場から姿を消しています。
串田氏自身も、2018年の衆議院選挙で神奈川6区から出馬し、3名中3位。惜敗率28%という惨敗を喫するも、日本維新の会が比例で獲得した南関東ブロックの1議席の割り当てが、供託金没収ラインをクリアした立候補者が串田氏以外に見当たらなかったというすごい理由で当選を果たしています。

そんなわけで、他の政策同様、日本維新の会の共同親権推進論は、それぞれの議員の個人的思い付きによる、行き当たりばったりの導入論(しかも、それは個人的利害が多分に絡んだポジショントークでもある。)が脈絡なく受け継がれているだけです。

それを国会議事録で確認して見ましょう。

まず、松浪氏は3件ほどヒットしますが、フレンドリーペアレントルールや海外の法制に絡めて質疑をしていることが分かります。が、在籍していた時期が、ちょうどフレンドリーペアレントルールの是非をめぐる裁判が進行していた時期と重なっており、耳目を引きたかったものと思われます。

街宣での過激発言で知られる中津川氏は、実は国会議事録では、離婚後共同親権でヒットする議事録はゼロです。予算委員会や外務、北朝鮮問題に関する委員会に所属しており、親権に関する発言は養育費に関する1つだけです。

これに対し、串田氏は、共同親権に関する質問に必ず海外での動向を絡めてくることが特徴的です。ただそれも、2019年の安倍首相(当時)の答弁を引き出せたことからくる成果を無駄に引っ張っているだけのように読めます。

これに橋下氏のコメント等を集めて比べてみると、めいめいが言いたいことを並べ立てているだけであって、一貫した視点がありません。
いや違うな。1つあった。

必ず別居親がトクになることを言う

です。
要するに男性票が欲しいのでしょう。

・子の連れ去りの禁止
・面会交流の拡充
・フレンドリーペアレントルールの導入
・養育計画の義務化

twitter上で串田氏の場合は、一応「DV対策」にも触れて見せるのですが、対策の中身はゼロです。

なんだか哀れに思えてくるが。。。

それから、今年になって選挙が近づいてきたせいか、串田氏のツイートから、共同親権にまつわる発言が顕著に減ってきています。

代わりに動物愛護に関するツイートが大幅に増えている。。。

神奈川県と維新の関係でいえば、松沢成文氏が「江戸城天守復元」を言い張って当選したことが記憶に新しいですが、知名度を上げるための目玉を必死に探しているようでもあります。

想像なんですが、たぶん、離婚後共同親権推進論者の皆さんって、選挙であてにならないんでしょう。票もたいした数じゃないし、選挙運動も手伝いに来ない。
男性中心の政治団体あるあるですが、自分は軍師気取りで口ばっかりで、動かない人たちが大勢いる。

動物愛護に賛成する方々は、たぶん、この反対でしょう。
串田氏はそれが分かっているのだと思います。

なんだか哀れに思えてきましたが、連れ去り処罰論者の危険な政治家です。今度こそ落とし前を付けていただきたく存じます。

(この連載続く)

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