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【離婚後共同親権】世論はどのように操作されるのか(16)追い詰められた"謎のハンスト"フランス人男性(2021.7.25更新)

この記事の続編です。

ちょっとその前に脱線を。

フィショさん、あんたメシ食ってたの?

支援団体の1つがツイキャスでばらしていたそうです。
そのような未確認情報が数日前から駆け巡っています。

いや、別に良いんですよ。食べても。
人間、無理をしてはいけません。

こちらの記事によれば、「支援者によると、医師の勧めで、1週間くらい前から最低限の塩分やビタミンを取ってはいる」とのことです。
やれやれ。

ちょっとネットで調べたところでは、2~3週間で重度の衰弱となり、人と会話することが困難となり、1ヶ月半経過すると水分を補給することが困難となる。。。ふむふむ。

命あっての物種ですよ。

前回の記事でも書きましたが、そもそもあなた方の要求は内政干渉であり、司法権の独立への重大な侵犯です。
現時点で、国際法上の保護をあなたは本国政府へ求めることはできない。

あなたの周囲の人たちは無責任にテキトーなことを言っているかもしれませんが、そもそもどうしようもないのです。

その証拠をお見せしましょう。

不発に終わった外圧作戦

英語:
No Suga-Macron press conference. No meeting with journalists. No visit to Vincent Fichot. Therefore, strictly NOTHING will remain of the French President's visit to Japan. Not even a retinal trace. Television did not film him during the ceremony.

日本語:
菅マクロン記者会見はありません。 ジャーナリストとの面会はありません。 VincentFichotへの訪問はありません。 したがって、フランス大統領の訪日については、厳密には何も残らない。 網膜の痕跡すらありません。 式典の間、テレビは彼を撮影しなかった。
英語:
In the Fichot case, it is particularly a pity. A brief visit could have sparked a healthy debate about the family in Japan. But it was necessary to grant interviews to the French television and sports press. We have our priorities.

日本語:
Fichotの場合、それは特に残念です。 短い訪問は、日本の家族についての健全な議論を引き起こしたかもしれません。 しかし、フランスのテレビやスポーツ報道機関にインタビューを許可する必要がありました。 私たちには優先事項があります。

発言の主は、レジス・アルノー氏。
昨日東洋経済オンラインに出た記事の執筆者です。

彼への批判は、また他日に改めるとして。
アルノー氏のツイートが事実ならば、外圧作戦は不発に終わったと評価するべきでしょう。

というところに、夕方に日本経済新聞が一報を。

日本経済新聞の記事はなぜ大幅に後退したのか

【差替後】
見出し:日仏首脳、インド太平洋で協力深化 香港「深刻な懸念」

(前略)
両首脳は国際結婚が破綻した後に起きる子どもの親権問題も話し合った。共同声明に「子の利益を最優先として対話を強化する」と盛り込んだ。
日本は原則として離婚後の親権は片方の親が持つ「単独親権」の考え方を取る。フランスでは国際結婚が破綻した後に子どもの連れ去りが起きる背景に日本の制度の存在を指摘する声がある。
フランスなどは離婚後も父母両方が親権を持つ「共同親権」が一般的になっている一方、日本は認めていない。首相はマクロン氏に日本の制度を説明し、理解を求めた。

※太字部分はforesight1974

上記見出しに掲げた、安全保障を含む幅広い協力関係の協議の場において、"子どもの親権問題"が話し合われた、と報じられています。

しかし、当初はこのような内容ではありませんでした。
次のような差替前の記事がありました。

しかし、当初この記事の見出しは「日仏首脳が会談 【差替前】

【差替前】
見出し:日仏首脳が会談 共同声明「子の利益を最優先に対話」

菅義偉首相は24日、東京・元赤坂の迎賓館でフランスのマクロン大統領と会談した。マクロン氏は国際結婚が破綻した後に起きる子どもの親権問題に関し提起したとみられる。共同声明に「子の利益を最優先として対話を強化する」と盛り込んだ。
(中略)
マクロン氏は親権問題を首相に持ちかけたもようだ。日本は原則として離婚後の親権は片方の親が持つという「単独親権」の考え方を取る。フランス側で日本の制度が国際結婚が破綻した後の子どもの連れ去りを容認する背景にあるとの指摘が出ている。
フランスなどは離婚後も父母両方が親権を持つ「共同親権」が一般的になっているが、日本では認められない。日本は国境を越えて連れ去られた子どもの扱いを定めたハーグ条約に加盟する。国際社会から対応を変えるよう求める声が出ている。
上川陽子法相は2月、法制審議会(法相の諮問機関)に養育費や子の親権のあり方など離婚後の法制度の改正を諮問した。「共同親権」の導入の是非も議論する。父母が対立する場合には子が不安定な立場に置かれる懸念もあり、慎重に検討を進める。
虐待や家庭内暴力を理由に離婚する場合、共同親権だと事態を悪化させかねないとの懸念がある。日本で共同親権を導入する障壁になってきた。

※前掲記事を2021年7月24日18:00ごろに確認したもの
※太字部分はforesight1974

【差替前】では、見出しに子どもの利益の問題が掲げられ、記事の概要を書く冒頭の段落(リード)を含む、4段落も割いて詳しく報じています。

しかし、注意して読んでみると、事実関係については上記太字部分だけであり、記者は、ほとんど会談内容を把握していないことが分かります。

記事の一番のキモである第1段落(リード)に持ってきたにもかかわらず、上の人の手が入ったのでしょう。【差替後】と比べてみると、表現は大幅に後退し、見出しも差し替えられています。

しかし、なぜ日本経済新聞の記事はここまで大幅に後退したのか。
理由は簡単。

公式発表は末尾にぼそっと一行だけ

だからです。
まず外務省のHP。

プレスリリースには、日本経済新聞が報じたような、「親権問題について話し合った」旨の記載がない。
つまり、会談のトピックではないということです。【Point①】

次に、別添された共同声明文には、こうあります。

8 領事協力
両国は、子の利益を最優先として、対話を強化することにコミットする。

領事(外国に駐在して自国民の保護及び自国の通商の促進にあたる外交官)同士の協力という項目に過ぎず、両国間の法制度を協議する場を設けたわけではありません。【Point②】

そして、それが親権問題だとは明記されていない。【Point③】

ついでにいうと、別添②のPDFの協力リストには、両国間の親権問題はリストアップされませんでした。【Point④】

裏を取ってみましょう。

こちらは、フランス政府(大統領府)のHP。

フランス語:
8 Coopération consulaire
Les deux pays s’engagent à renforcer leur dialogue, dans l’intérêt supérieur des enfants.

英語訳:
8 Consular cooperation
The two countries are committed to strengthening their dialogue, in the best interests of the children.

日本語訳:
8領事館の協力
両国は、子供たちの最善の利益のために、彼らの対話を強化することを約束します。

こうしてみると、日本経済新聞の報道は、日仏間の親権問題について、針小棒大に騒ぎ立てているだけに過ぎないようです。

その証拠に、日本国内の報道機関では、同紙のほかには、主要紙で追随するところがありませんでした。以下の各紙記事には、子の親権問題に関する言及は全くありません。

【読売】マクロン氏「東京五輪の成功確信」…日仏首脳会談、「パリ五輪協力」の共同声明を発表

【毎日】コロナ下の五輪、パリ大会に知見生かす 日仏首脳会談で共同声明

【産経】日仏首脳会談 香港・ウイグルに「深刻な懸念」

【朝日】防衛協力進む日仏 首脳がインド太平洋での連携強化確認

【東京】日仏、五輪開催の経験共有 インド太平洋で協力確認

※通信社では、共同は言及なし。時事通信はAFP通信の配信記事として、「子の連れ去り問題」について言及あり。
なお、NHKも言及はありません。

フィショさん、ここらが潮時ですよ

フィショ氏はどうやら失望したようですが、それでも諦めていないようです。最後まで戦うという趣旨を表明されています。

冒頭のデイリー新潮の記事によれば、このようにコメントしているようです。

「マクロンがここに来ることが重要だったわけではない。それなら2年前と変わらない。僕が要求しているのは、子供たちと会わせてくれること。そのために、母国がちゃんと動いてくれること。それが確約されるまで、僕は続けます。死んでも構わない。二人の子供たちはパパに会いたがっている。彼らのためにも戦い続けます」

フィショさん、そうは問屋が卸しませんよ。

あなたは文字通り"命がけ"の行動に移そうと思っているかもしれないが、そんなこと、オリンピック期間中に何万人も配備された日本の警察官たちが許すはずがないではありませんか。

現在、弱体化している菅義偉政権は、あなたが死んでしまって、この件が外交問題に発展してしまうのは大変困るんですよ。
もし、あなたがファナティックな行動に移るならば、菅政権は、どんな強権的手段を使ってでもあなたのハンガーストライキを止めに来ますよ。

そして、あなたと菅政権が対立すると困る人間は、あなたの周囲に何人もいます。
柴山昌彦氏や牧原秀樹氏、三谷英弘氏らは特に要注意です。
彼らはあなたの味方じゃありません。

このままだと、私が予想するところ、あなたは周囲の人間に裏切られると思います。

そこで、最も建設的な提案をしましょう。
まず、今、あなたの周囲にいる人間と決別するべきです。
そして、あなたとあなたの妻との間で、本当は何があったのか、あなたが攻撃してきた、あなたの妻の代理人弁護士に、できる限り誠実に、真実を話すべきです。

これが最初で最後の忠告だ。

(この連載続く)

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【分野】経済・金融、憲法、労働、家族、歴史認識、法哲学など。著名な判例、標準的な学説等に基づき、信頼性の高い記事を執筆します。