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【書評】人生がときめく片づけの魔法

言わずと知れた日本が誇る世界的有名人・コンマリさんの原点となる書籍です。タイトルの通り、片付けに関する本ですが、コンマリさんは片付けを生き方にまで昇華させています。この本は、片付けに関するノウハウ本ではなく、「どう生きるか」「幸せとは何か」に通じる本です。特定の分野を極めた人は、その道を生き方にまで昇華させている人が多いと感じています。

コンマリさんの片づけ哲学は、次のメッセージに凝縮されています。

片づけをしたあと、仕事も家庭も、なぜか人生全般がうまくいきはじめるのです。じつはこれが、人生の八割以上を片づけに費やしてきた私の結論でもあります。

片付けをただ家を綺麗に保つための方法ではなく、幸せに生きるための手段と捉えているのがコンマリメソッドです。片づけを通じて幸せになれる理由として、次のことが述べられています。

ひと言でいうと、片づけをしたことで「過去に片をつけた」から。その結果、人生で何が必要で何がいらないか、何をやるべきで何をやめるべきかが、はっきりとわかるようになるのです。

家は心の状態を表すとよく言われますが、片付けを通じて必要なもの・不要なものを見極めることによって、人生における必要なもの・不要なものも見えてくると言います。

そんなコンマリメソッドでは、片付けの具体的なノウハウに入る前に、自分は片付けを通じて何を実現したいのかを考えるところからスタートします。

つまり、片づけをする目的を考えること。モノを捨てはじめる前に、一度じっくり、片づけの目的を考えることに取り組んでみてください。これは「理想の暮らしを考える」とも言い換えられます。
次にするのは「なぜ、そんな暮らしがしたいのか」を考えること。自分の理想の暮らしのイメージメモを見返して、あらためて考えてみてください。
このように「自分の理想の暮らし」の「なぜ」を突き詰めていくと、ある単純なことに気づきます。 結局、モノを捨てることも、モノを持つことも、「自分が幸せになるため」にすることなのです。とってもあたりまえのことのようです。

なお、コンマリさんの理想の暮らしの一つは、「お部屋を神社のような空間にすること」、つまり、「自分が住む家を清らかな空気の漂うパワースポット」ということです。

そして、どのように片付けていくかにあたり、コンマリメソッドの核をなすのは「ときめき」という直感に頼ったものです。

モノを残すか捨てるか見極めるときも、「持っていて幸せかどうか」、つまり、「持っていて心がときめくかどうか」を基準にするべきなのです。
正しくモノを選べるようになると、なぜか、今住んでいる家の、今持っている収納スペースにぴったり収まるだけの量が残ります。これぞ、まさに「片づけの魔法」。本当に不思議ですが、「ときめきによる判断法」はそれくらい正確なのです。

「ときめき」という直感を基準にしたコンマリメソッドの具体的な効果について、本書の中で次のように述べています。

「片づけをしたら、自分のやりたいことが見つかりました」
自分という人間を知るには、机に向かって自己分析したり、人に話を聞いたりするのももちろんよいけれど、片づけするのが一番の近道だと私は思います。持ちモノは自分の選択の歴史を正確に語ってくれるもの。片づけは、本当に好きなモノを見つける自分の棚卸しでもあるのです。
だから、片づけをすることで、人は自然体で生きられると思うのです。自分にとってときめくモノを選び、今、自分にとって本当に大切なモノを大切にしていく。こんなあたりまえのことがあたりまえにできること以上に幸せなことはありません。これを開運というならば、それをかなえる一番の方法が片づけだと、私は確信しています。

本書は、片付けという道を地道に極めていった結果、奇跡を起こした女性の物語です。

私は、二〇一五年にTIME誌の『世界でもっとも影響力のある一〇〇人』なるものに選出していただいたのですが、正直な話、自分を選んでいただいたという感覚がありません。この栄誉は、私ではなく「片づけ」に対していただいたものだと、本気で思っています。 世界でもっとも影響力があるのは、片づけの魔法の力なのです。私の今の目標は、世界中の一人でも多くの方に、片づけを終わらせてときめく毎日を手に入れていただくことです。

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