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【書評】人間ぎらいのマーケティング(林直人著)

毎日10分指導するユニークなネット家庭教師の「毎日学習塾」の創業者・林直人氏によるマーケティングの本である。林氏は、本書の中でも語られているとおり、人と関わることを不得手としている。「人間ぎらいのマーケティング」というタイトルは、そのような性格を持つ筆者によるマーケティング戦略という意味である。人と関わることを苦手としている筆者がいかにして事業を軌道にのせているかが描かれている。

普通に生きていたらどうしようもないからこそ、「マーケティング」、特に生身の人間と触れ合わなくてもどうにか生きていける「人間ぎらいのマーケティング」が重要になるのです。

まず、筆者は人間ぎらいのマーケティングの前提として次のように述べている。

人と会わずに稼ぐには、とにかく人と直接会わなくても売れるようなクオリティが高い商品を売るしかないのです。
すでに売られている商品の半額以下なのに、営業利益率は50%以上になるような商売を考えるべきです。
お客様が最重要視する要素以外の機能を削ることで、競争相手よりも安く商品を販売することができ、商戦に勝つことができるという考え方を紹介しています。この考え方を実行して勝ったのが韓国ではサムスン、日本ではアイリスオーヤマです。

至極シンプルで真っ当な考え方である。尖っている商品でなければ、人に説明して売り込む必要があり、人間ぎらいの経営者には難しい。そのため、人間ぎらいなのであれば、商品のクオリティを高めることが必須である。

そして、ここからが本書の本題であるが、開発した商品をいかにして販売するかということである。商品を販売するための前提として、筆者は次のように述べている。

"無名のあなた〟からモノやサービスを買う人はほとんどいない
リアルに近ければ近いほど成約率が上がる
「動画」は広告以外の集客手段の中で、最も購入率が高い絶対やるべき方法である
言葉で語り尽くすよりも、短い動画のほうが遥かに購買へとつながるのがネットマーケティングの世界です。

ネットマーケティングの世界では、圧倒的に「動画」コンテンツが効果的だという。そして、筆者は「You Tube」でのコンテンツ制作に最も力を入れているという。

「YouTube」は圧倒的に費用対効果が良い「人間ぎらいのマーケティング」の救世主
YouTubeチャンネルは、登録者数が数十人であれ、自分の動画を見てくれる人が毎回一桁しかいなかったとしても、絶対にやるべきマーケティング施策だと断言できます。
「リアル」を愛する95%の人にモノを売る上で大切なのは、徹底したリアリティです。それを考える上ではまさにYouTubeはおあつらえ向きのメディアです。またリアルなサービス、リアルで売り買いされるモノに勝つためには圧倒的な利便性と品質が大事です。

筆者は上記の通り、You Tubeのコンテンツ制作に最も注力し、高い効果をあげている。しかし、「人間ぎらいのマーケティング」といっても、決して「簡単なマーケティング」とは言っていない。顧客に認知されるためには、圧倒的な数のコンテンツを投下する必要があると筆者はいう。

とにかくコンテンツを他の会社の10倍出しまくり、コンテンツの飽和状態・独占状態を生み出す。これぐらい動いてもようやく「お客様から数多くあるAO入試対策塾の1つとして認識される」レベルまでしか届かないのです。
起業家・新規事業担当者の感覚で「やりすぎかな」と思う10倍、100倍の量をこなさないとお客様は見つけてくれない。
YouTube動画、最低でも1000本、できれば1万本、記事、最低でも3000本、できれば1万本、LP、最低でも30本、できれば100本、累計100~300万字。

筆者は人間ぎらいをうたっているが、だからこそ緻密に練り上げられたマーケティング戦略により、弱みをカバーするどころか、強みとなるまで高めている。「人間ぎらいのマーケティング」の本質を突く筆者のメッセージで本記事を締めたいと思う。

集客についても、最初は極力お金をかけずにできることを完璧にやり切ったほうが良い。お金をかけずにできることを完璧にやり切って初めて、どこにお金をかければ利益が出るかがわかるようになるのです。
YouTubeLiveは毎日配信していますか? 
YouTube動画は毎日2本更新してますか? 
YouTubeチャンネルには1000本の動画がありますか? 
Webサイトの記事は3000本以上ありますか? 
Amazonから30冊以上出版していますか? 
YouTube動画のサムネはきれいですか? 
Amazonで出した本の装丁はきれいですか? 
WebサイトのSEO対策は万全ですか? 
Webサイトが検索エンジンで上位表示されるように、そして大手メディアに取り上げられるようにできる限りの努力をしていますか? 
SNS運用は試してみましたか? 
これらの質問にすべてイエスと答えられるのであれば、広告運用をしても成果が出せると思いますが、もし1つでもやり残していることがあるのであれば、まずはそれをちゃんとやってから広告に手を出したほうが良いです。



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