意志決定は「数字・ファクト・ロジック」

私が尊敬している経営者の一人にライフネット生命創業者の出口治明氏がいる。ライフネット生命を上場企業に成長させる実績もさることながら、読書を通じて蓄積した含蓄のある知識も凄まじい。そんな出口氏の著書「早く正しく決める技術」より、示唆に富むメッセージを紹介する。

社内で正しく決めるためのルールとして第一にお勧めしたいのは、「数字・ファクト・ロジックで話し合う」ということです。数字とはデータのこと、ファクトとはデータに関連する事項や過去の事実のこと、ロジックとは、そこから実証的な理論を組み立てることです。
ロジックというと、単純に論理的正しさのことだと思われるかもしれません。しかし、論理的に筋が通っているのは当然のことですが、それだけではダメだというのが僕の持論です。たとえば、あるテーマについてAというロジックとBというロジックがあるとします。どちらも論理的には筋が通っています。 そのとき、どちらのロジックでより正しい解にたどりつくかは、「どちらがより多く変数を持っているか」で決まります。思考を数式に置き換えてみると、「y=f(x)」となります。xに何をいくつ代入するかによってyの値が変わる、関数ですね。yが最終的に組み立てられたロジックによる結論だと仮定すると、xの数が多ければ多いほど、多面的に考えているということになります。
正しい解にたどりつくためには、いかに多くのxを考えられるかだという話をしました。どうすればxを増やすことができるのでしょうか? それにはふたつあります。ひとつは、しつこいようですが数字・ファクトに徹底して執着し、できるだけ丁寧に分析することです。誰かの意見に安易に頼るのではなく、徹底して数字とファクトそのものと向き合うことです。 そして、そこから何が得られるかを深く自分のアタマで考えるのです。もうひとつは多様な人と議論をすることです。同質な人、同じような意見を持った人のみで議論をしても、なかなか視点を増やすことはできません。 ダイバーシティ(多様性)こそ、ロジックを深める大きなカギだといえます。

思考法についての本は、多数出版されているが、多くが戦略コンサル出身の方が執筆した本で、様々なフレームワークの解説がなされているが、内容は難しい。しかし、出口氏の言う「数字・ファクト・ロジック」に基づいて意思決定するという考え方は、非常にシンプルで、わかりやすく、実践しやすい。

出口氏の考え方で面白い点は、「多種多様な意見」に価値を与えているところである。多種多様な意見を集めることにより、より多くの数値・ファクトを集めることができ、よりベターなロジックをつむぐことができる。この多様性を認めているところが非常にユニークである。世界中から様々な人種が集まるアメリカで、革新的なアイデアが生まれる理由がわかる。

この意思決定方法を仕事で実践することにより、どこまで高みに登れるのか試してみたい。

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