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【節分】「鬼は外」について思うこと

本日は節分ですね。

『鬼は外、福は内』という言葉について、毎年疑問に思うことがありまして。
鬼とは…?、と。

『鬼は外』の"鬼"を、皆さんはどのように解釈されていますか。

そもそも自分にとっての『鬼』、つまり『外に出したい(回避したい)対象や状況』とは何でしょうか?

私にとっての『鬼』とは..
『自分にとって不要なもの、不快な感情、変えたい認知や行動、傷ついた出来事、コンプレックス』などでしょうか。

しかしこれらを闇雲に回避や除去しようとすればするほど、その対象を意識することになるので取り除けないという負のループに陥るのが人間です。

アメリカのウェグナーという心理学者が行った「シロクマ実験」という有名な実験があります。
これは3つのグループにシロクマの映像を見せた後、それぞれのグループに対して以下の異なる指示をし、1年後にどのグループが動画内容を一番覚えているかを調べた実験です。

Aグループ:「シロクマのことを覚えておくように」
Bグループ:「シロクマのことは考えても考えなくてもどちらでもいい」
Cグループ:「シロクマのことは考えないでください」

その結果、1年後に動画の内容を最も覚えていたのは、Cグループでした。
これをウェグナー教授らは「皮肉過程理論(皮肉なリバウンド効果)」と呼び、思考の抑制は逆効果であることを示しました。

つまり何が言いたいかというと、自分にとって不都合なことや受け入れ難いことを『鬼は外!』と回避や除去をしたところで、鬼は簡単にはいなくならないということです。

では豆まき以外で、どのように鬼退治をしたら良いのでしょうか。

まずは、現実的・客観的に鬼のことを知ろうとする=鬼を受け入れる(認める)ことをしない限り、鬼に対する理解が深まらないので、鬼の対処法を見出せません。
ゲーム(RPG)でも、敵から逃げ続けたり、敵のタイプに応じた攻撃をしなかったりするとゲーム攻略できませんよね。
正直、あんなに強くて怖そうな鬼が、大豆という武器で逃げるとは思えません。
なので、『鬼は外!』の前に必要なことは『鬼は内!』というマインドなのではないかと考えます。

不安症や脅迫症のアプローチ法に「暴露」という方法があります。
苦手意識や回避している状況や対象物に対して、意図的に段階的にあえて接して(暴露して)、馴化を促していく方法です。
恐れている状況や対象物に接しても「対処できる」「想像していたほど危険ではない」という認識を再学習しながら、不安耐性を高めていくことが目的です。

鬼を外に追い出したいということは、追い出したい何かしらの無意識下の理由があるはずで、そこを自ら癒していくことができたら、鬼という存在が実は鬼ではないことに気づく時がくるのかもしれません。
そしてその結果が『福は内』に繋がるのかと。

あなたにとっての『鬼』とはなんでしょう。

明日は立春正月なので、この節目に春の到来を寿ぎ、気持ち新たにお過ごください。

港助産院 城野
http://www.minato-josan.jp


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