夢と現実、あるいは本について

私は普段、暗い気持ちの時にしか文章を書かない。明るくて前向きな気持ちの時は書くことを必要としていないのか、書くことが思い浮かばない。
それもなんだか良くない気がするので、今日はこの朗らかな気持ちのまま文章を書いてみようと思う。

最近、山に登っているときに夢と現実の話をすることが多い。夢と言ってもアメリカで一発かましたるぜ、と言うものではなく、いわゆる精神活動の類。

人にはいろいろな多面性があると思うが、私の多面性は主に精神と現実の二面性が軸になっている。

小さい頃から本が好きで、小二のころに読み始めたハリーポッターで本格的に読書にのめり込んだ。小学生の頃に好きだった本は、ハリーポッター、ナルニア国物語、ライラの冒険など。ライラの冒険は初めてのハッピーエンドとは言えない小説で、今でもその胸の痛みを思い出す。

現実は辛かったのであまり思い出したくはない(今日は幸せな日だから)。
ただ、5歳下の弟は私にとても懐いていて、弟といるのが好きだった。
私のこの暗くて批判的で攻撃的な性格は全て環境のせいだと思っていた時期もあったけど、弟は押し入れに閉じ込められても次の日にはそれを忘れて微笑んでいるような明るくて強く美しい魂の持ち主だったから、もちろんそういうわけではないんだろう。

私が社会に馴染めないこと・そして馴染まなければいけないことを明示的に意識したのは小学六年生の頃で、中学に上がる前の春休みに社会に適応するために嵐の映画を見たりしていたのを思い出す。中学・高校の生活は社会に馴染もうとして、失敗して、諦めて、また挑戦して、希望を抱いては捨てての繰り返しだったように思う。

中高では漫画を読み始めた。たくさん貸してもらったし、休日は自転車で1時間かけてブックオフに行ってずっと立ち読みしていた。高校まではずっと立っているか街を歩いていると吐くという悪癖があったので、吐き気の限界まで立ち読みして帰って吐いていた。

中一の頃弟とアニメのナルトを見ていて、エンドロールで「原作、ジャンプって書いてあるよ!?」と言うのが多分漫画デビューのきっかけだったので、主に少年漫画を読んでいた。
好きな女の子がたくさん漫画を持っていて、ハガレンやギャグマンガ日和を貸してもらった。ギャグマンガ日和は未知との遭遇すぎてほぼホラーみたいな気持ちで読んでたけど、好きな子の好きなものを好きになりたかったので、Funnyですねというふりをしていた。

ハガレンは弟の10歳の誕生日に途中まで買ってあげたが、コツコツ買い集めて最後まで読んだらしい。今では立派なアニメオタクになっているのに、この前会ったら今でも一番好きな作品はハガレンだと言っていた。愛い奴め…。

本も結構読んでいたと思うけど、あまり覚えていない。筒井康隆とかかなり読んでいたような。SFマガジンとかも読んでたな。最初はファンタジー・SF中心に読んでいたけど『落花の会』という本が面白くてそれ以外のジャンルも読み始めた気がする。と思ったが今調べたら落花の会は劇中の団体名で、書名は『犯罪小説家』なのか。しっくりこないな。エラリークイーン系のミステリも挑戦したけど、あまり嵌まらなかった。

大学の時は脳科学とか心理学の本をよく読んでいた。小説も読んでいたのかな?ヒューゴー賞受賞作品はだいたい面白い、と気づいたのが多分大学の時だからまあ読んでいたんだとは思う。ただ色々気負っていたところもあって、なぜ小説を読むのかわからなくなったりしていた。

社会人になってからは自分が好きな本しか読まない、をモットーにしているのでかなり幸せな読書生活を送れている。
十二国記や三体など心底面白いファンタジー・SFにも出会えたし、カラマーゾフの兄弟にも出会えた。『カラマーゾフの兄弟』は本当にすごい小説で、正直小説の全て、人生の全てが詰まっていると思う。それまで一番好きな小説はハリーポッターだったんだけど、読んでからはカラマーゾフの兄弟が一番になった。
私がずっと疑問に思っていた現代理性がどうやって信仰を獲得するのか、と言う問いについても三兄弟それぞれが答えてくれた。ロシア文学が自分には合っているんじゃないかと言う気づきを得たのでトルストイも読んだりして、今は幸せだ。

何の話をしようとしていたのか、そう夢と現実の話をしようとしていたんだけど、自分の来歴を語って終わってしまった。愛に飢えているのか?

まあ、私は本と山は精神活動の一環としてやっているので、登山も技術的に突き詰めたいとかはないんだよな、という話。精神活動は突き詰めることができるものではないから…。
その話は別の機会にしよう。

今日書いてみて思ったけど、書く行為と激しい憂鬱が不可分なものになってしまっているのか、幸せな気分のはずなのに暗い文章だな。あるいは、幸せな気分というのがまやかしなのか。


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