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Netflix『ペーパー・ハウス』のスピンオフ作品『BERLIN』 × 大人のマッチングアプリ考察(ネタバレ)

Netflix沼の底から泥だんごをお届けする本シリーズ。
(いや、作品はどれも宝石です)

今回は、2021年Netflixで「最も視聴された番組」第2位を獲得したスペインドラマ『ペーパー・ハウス』のスピンオフである本作。
詳しい説明はコチラで↓

まず、本作でも主役のベルリン役 ペドロ・アロンソのこのチャーミングな笑顔を見てほしい。

超絶ナルシストでニヒルでありながら、純愛を求めてさまようおじさん
[Picture] ©︎Netflix,Inc.

上品で嫌味っぽく、冷徹な計算高さとロマンチシズムを持ち合わせる芸術家タイプ。
女からすると絶対に幸せになれないオトコ第一位なのに、この目で愛おしそうに見つめられた日には…。逃げられないのがダメ男好き女の性分。

ベルリンが"芸術作品"と表現する何年もかけて練り上げた強盗計画。そこにアサインされる若くて憎めない敏腕強盗たち。
ベルリンは、そのすべてを危険に晒しながら人妻との危険な純愛に溺れていくという、全視聴者をイラッとさせる展開だが、後半には登場人物それぞれの愛が花咲くというフランスを舞台にした物語でした。

左のケイラはネットオタクの36歳 自称:西側諸国で唯一の処女
[Picture] ©︎Netflix,Inc.

スリリングな強盗計画の最中それぞれの恋と愛が芽生えるという典型的な吊り橋効果構造だけども、独身の大人が見てもグッと惹きつけられるのは「安全安心な出会いで恋は生まれない」というメッセージが心に刺さるからだろう。
ちょうどマッチングアプリでの出会いに疲弊して避雷針もぐんにゃり曲がっていた私には、その稲妻が脳天から落ちるわけですね。
ケイラがチャラ男ブルースと命の危機を乗り越え、朝日に泣きながらのキスシーンを見て、ウルウルしながらマッチングアプリの休会ボタンを押すわけです。(退会じゃないんかい)

真面目な話、恋って相手との相性もありつつ「偶然一緒にジェットコースターに乗り合わせた」というシチュエーションが伴わって初めて走り出すものだと。ジェットコースターの風速と衝撃で帽子や上着が脱げちゃって見えてくる相手の本性に惚れ込むのが恋。


鉄の処女ケイラはチャラ男ブルースを心底軽蔑しながら惹かれる本能を抑えられない。自分の命を必死に救うブルースをみて、登る朝日も手伝い心を開き結ばれる。純粋な気持ちを抱く人間の美しさといったら、朝日すら滲ませる。

「愛し合う相手と心で通じる」綺麗事に見えるけど、これを抜きに人と向き合うって正直しんどい。
冷静に考えればマッチングアプリでお互いの条件や言動を減点しあうような環境で恋に落ちれるわけがないんですよね。

毎月課金するこの5千円を月に一回のナイトアウト軍資金にして、そのためにちょっとオシャレしたりワクワクヒヤヒヤするほうが、女としては楽しいに決まっている。
毎朝、静かな薄暗い部屋で他人を条件でジャッジして、自分の価値も年齢とともに下げていくようなルーチンって…。

強盗団のリーダーをはるベルリンと壮年の教授による
「永遠の愛が存在し得るのか」
という議論も見ものです。

自分の心に嘘をつかないと決めた人生、シンプルに生きていきたい。

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