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#4 スウェーデン留学、タンザニアでのインターン、社内での新規事業提案。挑戦続きの20代を生きる宇野雄登さんが挑戦を続けられる理由とは。「粘れば“解決策は絶対ある”」

for 20's第4回目のインタビューのお相手は株式会社UPDATERの宇野雄登さんです!大学時代からタンザニアを含め海外での生活を経験した中で感じたエネルギーに関する課題を解決するべく現在、「タンザニア農村部の未電化地域における太陽光発電の実証実験」の事業責任者を務める彼は、現在なんと20代。20代の彼が思い描く未来とこれまでの経験から同世代の羅針盤となるような経験談やマインドセットを聞いてきました。

【宇野雄登さん(写真中央)】
株式会社UPDATER SX共創本部 海外チームリーダー。大学時代は再生エネルギーを専攻。スウェーデン留学、モロッコの大規模発電所見学、タンザニアでのWASSHA株式会社のインターンを経験。2023年11月より自身が提案したタンザニアでのPole Solar実証実験を開始し責任者を務める。

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<聞き手・ライター:桝井孝一 / 茂野そら>



1. 20代前半の経歴

今につながるタンザニアでのインターン経験


for20's第4回目の取材のお相手は株式会社UPDATERの宇野雄登さんです!本日はどうぞよろしくお願いします!(インタビュワー・桝井)

ありがとうございます!よろしくお願いします!(宇野雄登さん)


早速ですが宇野さんは20代前半の頃どのように過ごされていましたか?


大学3年のときにスウェーデンの王立工科大学に約1年間交換留学をしてエネルギーについて学んでいました。向こうではエネルギーについて多角的な視点、例えば経済から見るエネルギーについて学んだりビジネスの分野について学んだりと分野を横断した勉強をしたいと思って行きました。当時、日本だと理系の大学では再生可能エネルギーなどエネルギーについて多角的に学べる環境は少なくて、どうしても技術のことだけとか狭い分野しか学ぶことができなかったんです。


今だと再生可能エネルギーについて日本国内でも議論がされていますが、当時はまだまだという感じだったんですね。スウェーデンでの交換留学で印象に残っていることなどありますか?


留学の前半は特に大変でした。というのも英語で専門的な分野について授業を受けることに加え、向こうでは授業の中で議論をしたりプレゼンをしたりとアウトプットする時間が多いんです。最初の3ヶ月は毎日予習復習して、それでも置いていかれたりするような状況でした。だいたい4ヶ月くらい経って徐々に追いつけるようになっていきましたね。


日本の大学ではあまりそういった議論ベースの授業は少ないイメージがありますね。


聴いて終わりじゃなくてディスカッションベースで各々が自分の意見を出したり、とにかくアウトプットが求められますね。授業中も学生から教授に質問をしてそこから話を広げていくみたい場面もあったり。当時通っていた日本の理系の大学では話を聞くだけの講義が多かったので、すごく新鮮でしたね。そんな中で同じ授業をとっているメンバーと授業の一環としてモロッコの発電所に行く機会があってそれは印象に残っています。

スウェーデン留学中の宇野さん

モロッコ!どんなところが印象に残っているんですか?


授業で学んだ太陽光発電所について実際に現場でどう動いているかを見ることができたことですかね。日本ではまず見られない砂漠に見渡す限りの太陽光パネルが広がっている風景は印象的でした。また、日本では触れたことがなかった発電方法を知れたり、それを実際に運用している現場を見ることができたり、座学で学んだ内容に実際に触れられたのは大きかったです。まさに「百聞は一見にしかず」を実感しました。

砂漠に見渡す限りの太陽光パネルが広がっている風景


モロッコもアフリカだと思いますが、この経験からアフリカに興味を持たれたんでしょうか?

この経験ももちろんありますが、大学内の他の授業で「途上国含め世界のエネルギーの事情」を学ぶ機会があってそこでアフリカの電力事情を知って関心を持ちましたね。授業でグループごとに国が割り当てられて、そこで僕のグループは「コートジボワール」について調べたのですが、Googleアースで上空からどこに発電所があるのかを調べたりして、現状を把握し、これからどういう風にどんな発電所を増やしていったらいいのかをレポートにまとめたりしました。その国におけるエネルギーミックス(電源構成)を安全保障の観点から考えるなど、その国の政府とかがやるようなことを実際にシミュレーションしたりしましたね。とても良い経験でした。


学生時代にはなかなか経験できないことをスウェーデンで経験されたのですね。交換留学後、帰国してからは何をされていたんですか?

実は日本には帰らずそのままタンザニアで、2018年の6月から3ヶ月間現地の日本のスタートアップ企業でインターンをしていました。その企業は、農村部などの未電化地域などに太陽光で充電したランタンをレンタルするビジネスをしていて、僕もインターンの中で実際にそのランタンが現地の生活を変える様子を体感しました。例えば、夜灯りがないと子どもが勉強できなかったり、食事も暗い中でとらなくてはいけない状況が改善できたり。灯油ランプなどはありましたが、それは煤が出たりして健康面であまり良くなかったり、火事のリスクがあったりするなどの懸念事項がありましたが、LEDランタンならそのリスクを防ぐことができたり。

タンザニアでインターン中の宇野さん

灯り一つが生活を変える現場を実際に見れたということですね。インターンの後は日本に帰られたのですか?

はい。ちょうどタンザニアでのインターンの時期は大学3年だったので就職活動もしている中で、日本の企業をいくつか調べてはいたんです。その中で気になる会社でみんな電力(現:株式会社UPDATER)と千葉エコ・エネルギーがあったんです。帰国後にも実は宮城を拠点とするある会社で二週間くらいインターンをしていて、そこで千葉エコ・エネルギーのある社員さんとつながって、アルバイトをさせてもらうことになりました。大学卒業の2020年3月まで約1年半千葉エコ・エネルギーに所属していましたね。

私が千葉エコ・エネルギーを知るきっかけも宇野さんでしたね。大学卒業後はやはり就職でしょうか?

そうですね。就職活動もすごく会社を絞っていて。千葉エコ・エネルギーで発電事業者側の視点で物事を見ることができたので、少し軸をずらして再エネの小売をしている会社、当時でいうと「みんな電力」「Looop」「自然電力」を主に見ていましたね。その中でも「顔が見える」をキーワードにしていた「みんな電力」には特に興味がありました。結局その中で受けたのもみんな電力だけでしたね。

2. 20代後半の経歴

転機:社内にてタンザニア事業を提案


みんな電力(現:株式会社UPDATER)に採用後の社会人になってからのご経験もお聞きできればと思います。採用後の20代後半はどのように過ごされていましたか?

最初は、全国の発電所を回ったり、イベントをしたりをしながら、3年目の2022年5月に転機がきます。今につながる「タンザニア事業」について社内で「やりたい!」と提案をしました。もともと入社前から温めてはいて、最初は自分で起業してやろうと思っていたのですが、働いている中で会社の人たちの協力やお金の面でのバックアップがあったほうが実現しやすいかもしれないということで社長含め役員の方達に提案をしました。

今につながる第一歩というわけですね。

はい。もちろん一発では通らなくて、「そもそもタンザニアってどこ?」みたいな質問があったりなどしましたが、社長含めアドバイスをもらいながら何度も提案に挑戦しましたね。結果的に、半年後の2022年11月にまずはスモールスタートの実証実験からという形でGOをいただき、準備を始めました。初めてタンザニアに行った2018年「タンザニアでまた事業をしたい」という夢を抱き、その夢が4年越しにスタートできたこの年は自分にとって大切な年ですね。

まさに夢への第一歩の年だったわけですね。

11月からは、本格的に準備を始めていった中で、太陽光パネルを輸送するための手段を調べたり、わかる会社さんに話を聞いたりしながら、1年後の2023年11月にタンザニア農村部の未電化地域における太陽光発電の実証実験を開始することができました。

3.大切にしている価値観や考え方

しつこさ・粘り強さ


ここまで20代の経歴を伺ってきましたが、これまで宇野さんが生きてきた中で大切にしている価値観や考え方はありますか?

高校時代に所属していたサッカー部に「走れ・競れ・粘れ」という標語があって。その中の「粘れ」は今も大事にしています。しつこさですね。ホリエモンこと堀江貴文さんもおっしゃっていますが、起業家として成功するにはしつこさが一番大事だと。何度ダメでもしつこくやり続ける粘り強さは本当に大事だと思います。

4.困難な壁にあたったときの対処法

"解決策は絶対にある"


タンザニア事業を社内で提案された時にも一度では通らなかったご経験があったりしたとお聞きしました。そのような壁にあたったときに宇野さんはどのようにそれを乗り越えられてきましたか?

どんな問題にも必ず解決策はあると思って行動してますね。先ほど挙げたサッカー部の「走れ・競れ・粘れ」というキーワードの「粘れ」がここでも出てきます。新規事業とかってうまくいかないことの方が多くて、むしろほとんどうまくいかない。タンザニア事業でいうと現地の法律や輸送に関する事務手続きとか、毎回新しい問題が出てきてそれに対して調べたり考えたりしなくてはいけなくて。一個の問題が他の問題に波及したりと、うまくいかないことばかりなんですよね。そんな中で、それこそ最初にタンザニアにパネルを輸送しようとした時に話を聞いた会社さんに「タンザニアには送ることができない」と言われて(笑)「え、そもそも日本からモノを送れないの?」となって、プロジェクトの先行きが怪しくなりました。

それは結構メンタルやられそうですね。。。

結果的に送ることができたんですけど、それも他の会社さんに聞いたら、その会社さんはちゃんとタンザニアへの定期便があって問題ないことがわかって。1個目の会社さんも別に諦めさせようとしてたわけではないと思うんですけど、一つダメだったときに次の選択肢や他の方法を考えることは大事だなと思います。一度ダメでもしつこく粘ることで壁を突破できることがあるので。仮に自分が実現したいことに対して否定されてもそれはその人や会社ができないと思っているだけで「絶対に解決策はある」というマインドセットで僕は生きていますね


5.もし今20代に戻れるなら

どんな場所でも挑戦し続けたい!


まだ20代後半である宇野さんですが、もし今「20代前半に戻れる」なら何をしたいですか?

ここまで色々挑戦してきてよかったなと思っているので、20代前半に戻っても全然挑戦したことがない新しいことに挑戦することは変わらないのかなと思いますね。これまでの挑戦も後悔はないので。


6.今の20代のメリット

"若さ"という武器


少し話題を変えますが、宇野さんが思う「今を生きる20代のメリット」ってなんだと思いますか?

若さという武器ですかね。無茶な挑戦をしても応援してくれる人が絶対に出てくるというのが若さの特権だと思っていて。若いからこそ多少知らなかったりしても、挑戦していたり行動していれば、それに対して手を差し伸べてくれる人がいる。それをフル活用できるのは若ければ若いほど良いと思っています。

7.今の20代のデメリット

環境によってはチャンスが限られる


若さ=無知であるというのは、最大の特権だと僕も思います。逆に「今の20代のデメリット」ってなんだと思いますか?

日本社会の話で言うと、海外に比べるとまだまだ若手にチャンスが巡ってくることが少ないと思います。大企業で言うと場合によっては年功序列だったり。環境を間違えるとチャンスが限られると言う恐ろしさはあるなと思いますね。もしチャンスが少ないなと感じるなら絶対に環境を変えた方がいいし、せっかくの若さの武器を活かせないまま20代を終えるのはとてももったいないと思います。

8.20代に伝えたい人生設計における羅針盤

自身の相対的な強みを俯瞰して言語化しよう


各々色んな要因があって、少しはモヤモヤは抱えていると思うので、まずはそのモヤモヤを言葉にしてみるといいかもしれないですね。今の話にもつながるかもしれませんが、宇野さんが考える20代の人生設計(ライフデザイン)において大切なことは何だと思いますか?

自分の相対的な強みを理解することかなと思います。例えば、デジタルやAIなどに若いうちから触れている環境があるなどは上の世代に比べると強みになりますよね。自分を俯瞰して見て、何が強みなのかを理解することがとても大切だと思いますね。自分の強みを理解する方法としては、他の世代や場所・コミュニティ、業界など色んな人や環境に関わっていくことかなと。そうすることによって自分の輪郭みたいなものがはっきりしてくると思います。

なるほど。たしかに同世代だけだとどうしても同じ価値観の人が多かったりするから相対的に何が強みかってわかりづらいかもしれないですね。

さらに言うとその内容を言語化することも大事だと思います。日記を書くでもいいし、会話するでもいいし、その人の得意な方法でいいと思うので。そうすることによって段々と自分の核みたいなものができてくるのかなと思います。後は一度言語化したモノを完成品としないで、人にぶつけてみて常にアップデートしていくことが大事だと思います。スウェーデンの留学先の方は皆、自分の意見を持っていたけど、人の意見を聞いて自分が間違っていると思ったらその意見を修正していました。そうすることによってどんどん良い意見に近づいていくと思います。

9.20代にオススメしたいモノやこと or ご自身が影響を受けた人やモノ・コト

「嫌われる勇気/アドラー」


いよいよ最後の質問なのですが、20代にオススメしたいモノやこと or ご自身が影響を受けた人やモノ・コトなどありますか?

著書でいうと「嫌われる勇気」ですね。アドラー心理学の考え方が自分にとって良いなと思うことがあって。例えば「過去にとらわれない=トラウマなんてない」という考え方など生きていく上で大切な考え方が詰まっていると思います。アドラー心理学の中で、その考え方を自分に落とし込むには「自分が生きてきた人生の半分を要する」とあって、例えば20歳で読んだら10年なので30歳、50歳で読んだら25年なので75歳にならないと落とし込むことができないとなります。若いうちに読んだ方がいいという面でも僕自身が何度も読み返すという面でもオススメしたいものになります。

学生時代のスウェーデン留学からタンザニアでのインターンのご経験、みんな電力(現:株式会社UPDATER)入社からタンザニア事業を社内で提案、そして20代へのアドバイスやマインドセットなど、20代にとって勉強になる情報をいくつも教えてくれた宇野さん。

個人的には、解決策は絶対にあるというマインドセットは同世代として勇気づけられるワードでした。また高校時代に部活動で切磋琢磨した仲でもあった彼と、こうして仕事で会話ができたのも良い経験になりました。

番外編

20代でご活躍されている宇野さんに、現役大学生が気になったことを質問してみました!(インタビュワー・茂野そら)

1.決断するタイミングの掴み方

先に宣言しておく


大きな決断をする時の気持ちやタイミングについてお伺いしたいです。タンザニアでの事業を提案したのは社会人3年目の時と仰っていましたが「今だ!」となったのはなぜでしょうか?

それでいうと初めから3年目でタンザニアの事業をするということを決めていました。まだ内定が出るかもわからない就活中の面接で社長の大石に「3年で会社やめてタンザニアで起業します!」と言っていたくらいで(笑)この“3年”という数字に明確な根拠はないけれど、3年くらいやればその会社の基本的なことはできるようになるだろうなと。それに先に決めておけば何がなんでも3年の間に準備をしようとするし。

先に宣言しちゃっていたんですね…!ではもしも3年目の間に提案が通らなかったら会社をやめて起業していたかもしれないですか?

そうですね。“解決策は絶対ある”の考え方にも繋がってきますが、ダメなら別の方法を探した方がいいと思うので。

2.思い描いていた20代

強い想いの軸は変わらない


いつ行動を起こすのか決めておくというお話がありましたが、20歳や10代の頃から宇野さんの今の姿を想像されていたんでしょうか?思い描いていたビジョンになっているのか、考えが変化していって今に至るのか…

大きい軸は変わっていない気がします。タンザニアに行くより前から、“ビジネスの力で世の中の格差を変えられるんじゃないか”という仮説は持っていて、それを確かめるためにタンザニアに行った側面もありました。先進国と途上国との格差があって、どこで生まれたかのよって選べる人生が変わってくるのって凄く歪んでると思うし、そんな社会を変えたかったんです。そのためには一時的な支援ではだめで、もっと持続可能な方法として現地の人もこちらも相互に成長できるようなビジネスが必要なんじゃないかと。でも頭で考えているだけではどうにもならないから現地に行ってみて、それで可能性を感じました。そういう意味で細かいやり方は都度都度変えていったし間違った時は積極的に変えるべきだけど、強い想いの軸はずっと変わっていないですね。

経営者の方などが仮説を立ててこうなるんじゃないかと考えてるという話はよく聞きますね。

仮説は妄想レベルでいいと思うんです。それでもいいからその上で行動して、確かめて、振り返りをしてみることが大事で、でもこれをする人が少ないんじゃないですかね。他人の成功はその人にとってはそれが正解だけど、じゃあ自分も同じようにやれば正解で成功するかというとそうではない。他人の成功のエッセンスを自分に落とし込みながら、仮説を確かめるために自分なりのやり方で行動することが成功のメソッドなんだと思います。

〈取材・文・編集・写真=桝井孝一/茂野そら〉

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