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Jリーグ選手の海外移籍金〜目指せ!5億円〜

先のアジアカップでサッカー日本代表はベスト8で散ってしまいました。しかし、個人的に驚いたのは、結果よりもカタールでの試合が終わった当日に各選手が自チームに合流し、何なら試合もこなしている光景です。

よく考えれば、今の日本代表はほとんどが欧州組なので当たり前と言えば、当たり前なんですよね。そこで!Jリーグの各チームは、選手を欧州など海外に売ることでしっかり稼いでいるのか検証してみました。欧州へ主力選手が抜けることは悲しいですが、その分残せるものを残してもらえれば、チームの次に繋がりますもんね!今回は各クラブがしっかりマネーを残せているかチェックします。

日本人選手の欧州移籍のデータを集め出してみると、もう人数が多いこと、多いこと。嬉しい限りですが、中年もいい歳にの身には堪えるので、アジアカップに選出されたメンバーでほぼデータを作ってみました。とらえきれてない選手が多いのはご容赦くださいませ。本日のお品書きは以下の通りです~。


1.8億円(120万ユーロ)は今や現実的

まず、Jクラブが海外へ選手を売る時のお値段ですが、120万ユーロ(1.8億円相当)辺りが相場となってきている模様です。
もちろん、大小はあります。若手有望株で海外のBチームからたたき上げる予定の選手だと100万ユーロを大きく下回り、40~50万ユーロ台になります(伊藤洋輝、中村敬斗選手のケース)。
一方、Jリーグで若くして抜群の実績を残している選手だと300万~400万クラスとなります(浅野拓磨、三苫薫選手のケース)。それ以外のケースだと100万ユーロ台に収まっています。

(出所)transfermarketよりフットボール経営分析マン作成

なお、直近は金額が非公開のケース(菅原由勢、渡辺剛選手など)が増えています。それゆえ、公開されている範囲内での推測になる旨ご容赦くださいませ。

移籍金5億円を目指すべき理由

かつてはタダで選手を海外移籍させていたことを考えると、1.8億円を懐にいれるようになれたのは大きな進歩だと思います。しかし、それだけでは満足してはならず、移籍金は是非250万~300万ユーロ、5億円前後を目指すべきだと私は日本の片隅で考えています。

理由は簡単で、1.8億円ではクラブのスケールアップには不十分だからです。J1は浦和を除くと、ビッグクラブでも売上規模は60億円台、スモールクラ
ブだと20億円台です。スモールクラブにとって、1人欧州に選手を売る(1.8億円)けで1ヶ月分の稼ぎが入る計算になります。

ただ、上図の通りスモールクラブから中堅クラスになるにはに20億円ほど収入を伸ばさなければいけません。中堅から強豪クラスも然りです。一人1.8億円だと毎シーズンスタメン11人全員を売らないと20億円にならず、非現実的です。どのクラブも主力を手放せるのは毎シーズン1~2人だと考えると、欲を言えば10億円と言いたいところです。

しかし、日本人選手の欧州内移籍を見ると、欧州初上陸で10億円を要求するは中々厳しい。例えば、中村敬斗選手がLASKからフランスのスタッドランスへ移籍するときの金額は、1200万ユーロ(18億円相当)です。同じくスタッドランスに所属する伊藤純也選手がベルギーのヘンクから移籍した時の金額は、1000万ユーロ(15億円相当)です。欧州で日本人選手を受け入れて転売を狙うクラブからすると、10億円相当、700万ユーロは採算が厳しい。2人受け入れたら1人は必ず高値で売らないと採算割れになってしまいます。

なので、落としどころとして300~400万ユーロ、5億円なのです。スモールクラブがリーグで上位を狙うことは難しいものの、選手を1人5億円で1~2人売りつつ、カップ戦を勝ち取り、ACL出場権を勝ち取れば(合計3億円の報奨金)売上20億円増は視野に入ってきます。

単年度契約・C契約を見直す時期?

海外移籍5億円を目指すうえで、見直してほしい慣行のは単年度契約です。確かにJリーグのクラブは、一部を除けば財務の健全性は高いとは言えず、ケガなどのリスクをとる複数年契約は難しい。ただ、これだけの選手が欧州に移籍している現状を踏まえると、複数年契約を結ぶメリットも大きくなっています。是非、J1の強豪~中堅クラブでは複数年契約が商慣行になっていくことを願っています。

もう一つはC契約というレギュレーションです。Jリーガーの契約はABCの三種類に分かれています。新人選手は、どんなに優れていたとしても既定の出場時間を満たさなければA・B契約には移行できず、年棒の上限は460万円となっています給与水準は高いとは言えず、Jリーグを経由せずに高卒・大卒の有望選手が直接、海外クラブのBチームに移籍してしまう要因にもなっていると考えられます。

ドイツのボルシア・メンヘンドバッハ(ボルシアMG)に移籍した福田師王選手などが該当しますね。同選手は23年1月にボルシアMGのセカンドチームに加入し、24年1月からはトップ昇格を果たしています。チェイス・アンリ選手(シュッツガルド)の例もあり、C契約の在り方を見直さないと海外のBチーム・セカンドチームに日本の有望株が刈り取られてしまう恐れがあります。

ご参考までに日本代表の主力級でフリー移籍してしまった近年の例を挙げます。単年度契約ゆえに移籍金を逃してしまった痛恨の例のは、川崎フロンターレに所属していた守田選手。。。同年に移籍した三苫選手の例を踏まえると、100~300万ユーロはポルトガルのサンタ・クララから獲得できる可能性があっただけに痛恨でした。

(出所)transfermarketよりフットボール経営分析マン作成
※久保選手の場合は、日本復帰時に18歳で海外挑戦させる合意があったとの報道あり

以上、日本人選手の欧州移籍にまつわる移籍金相場について報告してまいりました。今は100万ユーロクラスですが、北欧並みに評価が定着すれば1,000万ユーロ(18億円相当)、ブラジル並みになれば3,000~5,000万ユーロ(54~90億円相当)と移籍金の相場は上がっていくことが期待されます。1,000万ユーロあれば、クラブ格差を一発でひっくり返せます。その時、Jリーグはますます混沌で競争的でめっちゃ面白いリーグになるのではないのでしょうか。そんな未来を期待して、本日も良いサッカー生活を!



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