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EURO2024参加国の若手調査 日本の若手育成への示唆

前回の記事で、国際大会を勝ち抜く上で市場価値を上げることや5大リーグ選手数を増やすことが重要かもしれないと述べました

今回はそのためにEURO2024の若手の台頭過程を調査し、日本でどう若手を育成していくかを考えます

若手が代表に入れない日本

まずEURO2024では若い選手の活躍が目立ちました。代表的なのは優勝したスペインのヤマル選手と準優勝したイングランドのメイヌー選手。前者はEURO2024の最初から、後者は途中からそれぞれの代表で欠かせない選手としてプレーしました

逆に日本代表では、確か久保選手以降は10代の選手が選ばれていません。選手からは若手の突き上げや登用を求める声が上がっていました

CL、EL常連チームが居る国は参考にしにくい

そこで今回はベスト16以降まで残れたEURO2024参加国のu21(21歳以下)の選手がどう台頭したかを調べました

ただ、調べた国の内、CL、EL常連(グループステージに常時参加)チームが居る国は分析対象から外すこととしました。そういう国ではCL、EL常連チームで台頭した若手が若くして代表に選ばれるパターンが多く見られました。国内からCL、ELに出ることができない日本には参考にならないパターンだと考え、分析から外しました

残った以下の国を分析することとしました

  • スロバキア

  • スロベニア

  • ジョージア

  • ルーマニア

これらの国にもCL、ELに出場するチームはありますが、CL、EL常連と言いにくいチームである(グループステージに辿り着かないことが多い)ため、これらの国を分析しました

ルーマニアはu21の選手がおらず対象外にしました。残った3つの国の代表チームは海外組が85%以上を占め、日本と同様に国内組は代表に選ばれにくい状況で、CL、EL常連チームもないため参考にできそうです

若手の台頭パターンの調査結果

調査で見えたu21の選手が代表に選ばれるパターンは以下の通り

他国のユースチームに買われて成長

自国のトップチームで活躍する前に他国のユースチームに買われ、そこで成長して代表に選出されるパターンです。この3カ国の若手台頭パターンとして1番多く、興味深かったもの。該当するのは以下の選手

今回の分析対象となった国は自国リーグのレベルが低い分、自国より強い他国リーグで鍛えられたu21の選手が代表に選出されやすくなるのだと思います

国内又は近隣のチームでCL、ELに出場

次は自国か近隣のチームでCL又はELの予備選などに出場して代表に選出されるパターンです。該当したのは以下の選手

両選手ともスロバキアの古豪スパルタク・トルナヴァの選手です。Sebastian選手はスロバキア、Adrian選手はスロベニアの選手なので、Adrian選手は国外移籍となります。予備選と言えど、CL、ELに出ればやはり代表に選ばれやすいのでしょう。日本が参考にしにくいパターンです

国内の特別なアカデミーとそのトップチームで成長して代表選出

次も国内で成長して代表に選出されるパターンですが、少し毛色が違います。該当するのは以下の選手

ジョージアの選手です。今はスイスのバーゼル所属ですが、代表に選ばれたのは自国の強豪ディナモ・トビリシに居る時でした。しかもCL、ELの予選に出場する前に代表に選ばれています

実はこのディナモ・トビリシにはディナモ・アカデミーというアカデミーがあり、EURO2024で躍進したジョージアの23歳以下の選手は、半分(上記選手含む)がこのアカデミーの出身です。EURO2024で活躍した以下の選手もディナモ・アカデミー出身となります

このアカデミーでは有望な若手が無料で外国人コーチの指導を受けられるとのこと

https://www.vietnam.vn/ja/euro-2024-hanh-trinh-11-nam-cua-bong-da-georgia/

UEFAの支援も受けたアカデミーのようです(以下記事のRustaviのアカデミーが該当する模様)

このように特別なアカデミーで成長した若手が代表に選出される事例がありました。特殊な事例ではありますが、若手育成の事例としては見逃せないと感じています

ちなみにジョージアは欧州のアンダー世代の国際大会を複数主催し、徐々に成績を伸ばしています。育成インフラ強化の賜物だと思いますし、このような土台があったからEUROでも躍進したのでしょう

海外で育った選手を代表に選出

ジョージアについては面白そうだったのでu23まで範囲を広げて調査をしました。結果、EURO2024の代表の(23歳以下の選手の)半分弱が海外で育ったことが分かっています。例えばEURO2024で活躍した以下の選手

日本代表でも長田澪選手のような海外育ちのu21の有力選手が出てきています。早い段階からよりランキングが高いリーグで揉まれれば代表レベルまで成長しやすいのだと思います

日本代表の若手育成への示唆

5大リーグや海外リーグ所属の選手が増えつつある日本代表において、Jリーグ所属の選手はなかなか日本代表に選ばれなくなって来ています。国内で育った若手も必然的に選ばれにくく、結果10代では代表に選ばれない形に

日本と同様にCL、EL常連チームがない国においては、国内ではなく海外で育った若手が代表に選ばれる傾向がありました。海外で生まれた選手に加え、ユース年代で他国に買われて成長した選手が多く代表に選ばれています。日本にも高卒で即海外に移籍するというトレンドが生まれており、これらの選手の内、トップチームで活躍した選手は積極的に代表に呼んで良い気がします

またジョージアの例に倣って、国のアカデミーを強化するというのも一つだと思います。特にジョージアの事例では外国人コーチが指導しているという記事がありました。外国人に限らず、5大リーグなとで指導経験のあるコーチを登用し、若い段階で世界基準を植え付けることによって世界で戦える若手を育成するということも必要な気がします

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