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クロアチア戦_付け焼き刃の限界


クロアチア戦の敗因深掘り_ベスト8に必要だったこと

前回の記事で、クロアチアが狙いを持って日本の左サイドにボールを放り込んできたことに触れました。日本はその左サイドでマークがずれて失点し、敗戦することになります。

一つの対策として、後半頭から酒井選手をRWBとして入れていれば失点を防げたかもしれません。これは複数の方が指摘されています。酒井選手なら相手の放り込みにより対応できたでしょう。リードしていましたし、安全策を取って良かったような気がします。

放り込みを止めるためにDFラインが前に出る必要性

ただ、何より相手に簡単にボールを放り込ませたことが問題だったと思っています。あれだけ相手のDFラインが楽にボールを持てると簡単にボールを放り込めてしまいます。放り込みを防止するために、DFラインにプレッシャーをかけるべきだったと思います。

そして相手のDFラインからプレッシャーをかけるためには、日本のDFラインのマークの改善の仕方が必要と考えられます。

日本は3バック + 両WBで相手の3トップを見るような形になっており、DFラインで人が大分余っていました。そうなるとその分、相手の中盤やDFラインにフリーの選手が生まれ、プレッシャーをかけてもフリーの選手にパスを出されてしまい、プレッシャーがかけられません。

アルゼンチンからの学び


ベスト8で勝利したアルゼンチンは違っていました。4-3-3のオランダの攻撃に対し、アルゼンチンは日本と同じ5バック(5-3-2)で守備を行いました。

日本と大きく異なっていた点は下記です。

  • 左右のCBが相手のインサイドハーフを積極的に追いかけていた

    • その分、ボランチ(DH)が積極的にカバーに入る

  • インサイドハーフが相手のDFラインへ積極的にプレス

    • 相手のインサイドハーフがマークされているため前に出ることができる

  • 2人のCFも相手のDFラインにプレスをかける

    • メッシはサボり気味でしたが…

DFラインにプレッシャーをかけたアルゼンチンはオランダに押し込まれるようなことはありませんでした。そしてボールを奪えばWBを一気に前に走らせ力強いカウンターを見せました。ベスト8進出に必要だったのはこのように前からボールを奪いに行く戦い方だったのではと感じます。

なぜ前からのプレッシャーがかけられなかったか

日本の選手は海外で揉まれて成長しており、アルゼンチンと同じようなことができる能力はあったでしょう。それでも日本はDFラインからプレッシャーがかけられませんでした。

クロアチアの中盤のポジションチェンジ

一つにはクロアチアの中盤が流動的過ぎたのがあるかもしれません。彼らは中盤でポジションチェンジを繰り返しており、日本の左右のCBが追いかけにくい状況ではありました。

ただ、であれば日本の左右のCBは左右に広がり、左右のWBを前に押し出してDFラインにプレッシャーをかける選択肢もあったと思います。もちろんCB間にスペースができますが、それはボランチが埋めることもできます。

付け焼き刃の3バックの限界

上記のようにいくつかの選択肢がありますが、個人的にはそれができるほど3バックに習熟していなかったことが根本的な原因だと考えています。

アルゼンチンの事例でも分かるように、5バックで相手のDFラインにプレッシャーをかけるには何人もの選手が積極的にポジションを捨てて動く必要性があります。まずは左右のCBが前に出て、そのカバーにボランチが入り、それを受けてインサイドハーフも前に出る…1人でも連動できないとリスクが高まり、選手はリスクを恐れてポジションを捨てられなくなります。

この連動を高める時間が日本にはなかったのだと思います。日本は3バックでほとんど実践を経験していません。また、これまで3バックは守り切るためのオプションとして使われており、前から積極的にプレッシャーをかけるものでもありませんでした。

結局、付け焼き刃の3バックで本大会に挑んでしまい、その限界がクロアチア戦で露呈してしまったのだと考えています。


であれば、なぜ3バックを習熟できなかったのか、そもそもなぜ付け焼き刃の3バックを使わざるを得なかったのかなどの反省も必要だと思います。次の記事ではこのあたりを更に深掘りつつ、今後の4年に必要なことを考えます。


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