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Jubilo Diary【J2・1節ジュビロ磐田対モンテディオ山形】

さて、いきなりですが、今シーズンはレビューの内容を少し変えようと思います。時系列ではなく、気になった点についてそれぞれまとめてみようかと。レビューというより雑感に近いと思います。なので、タイトルもマッチレビューではなく、振り返りの意味も込めてJubilo Diaryとしてみました。
*一部GIF画像があります。

今回まとめたポイントは以下4点。

〇サイドの関係性とペナ角への侵入
〇ショートカウンター・ルキアン
△左サイドの守備
△試合運び
※〇はポジティブ要素、△はネガティブ要素

スタメン

まずはスタメンから。

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両チームともシステムは昨季からの継続。新戦力が2人ずつ先発に名を連ねました(磐田:大森選手、小川(航)選手。山形:小野田選手、渡邊選手)。移籍情報は下記をご覧ください!

小ネタ。今季、ジュビロの開幕戦スタメンの平均年齢は29.2歳。過去2シーズンと比較してみたのが下表です。

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MF、FWは若返っていますが、守備陣の高齢化が顕著に。新加入のフォルリン、大武選手がスタメンに食い込めるか、今シーズンの注目です。

ちなみに、2018~2020の3シーズン連続の開幕戦スタメンは③大井健太郎選手のみ!さすがキャプテン!そして2019, 2020年の2年連続は⑦上原力也選手!これは将来のキャプテン間違いなし!

祝 開幕戦勝利! 

各項目へ移る前に。

1年でのJ1復帰を目指す上で、何よりも欲しかった勝ち点3を獲得できたことが、この試合最大の収穫でしょう。

特に重要だったのが先制点。スコアレスの時間帯は、キーパー正面へのヘディングシュートがありました。先制点直前のCKでは、山形のデザインプレーにより、ファーサイドにフリーの選手を作られました。トラップミスにより事なきを得ましたが、山形に先制点が入っていても不思議ではありませんでした。

2得点は共にセットプレーから。昨季の得点の内、セットプレー関連(直接ないしは間接的)の得点割合は31% (9/29)。昇格にはセットプレーからの得点数がカギになると思うので、今季の数字に注目したいです。

また昨季のフベロ体制11試合のうち、無失点試合は0。その点を踏まえても、開幕戦を完封勝利できたことは、とても大きな意味があると思います。

また小ネタ。
以前、過去5シーズンの昇格クラブの勝ち点推移をまとめました。それを元に、過去5シーズンの昇格PO圏内クラブの開幕戦成績をまとめてみました。


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昇格クラブ:上位2クラブの開幕戦成績
PO圏内:上位6クラブの開幕戦成績

果たしてジュビロは…

〇サイドの関係性とペナ角への侵入

さて、ここから各項目に移ります。
まずは配置のお話。

セットプレーからの2発でリードを奪ったジュビロ。以下、大森選手の試合後コメントにもあるように、得点後はリスクを負う攻撃が少なく、今季はこうやって攻めるよ!という具体的な形はあまり見られませんでした(今後に期待)。しかしその中で、昨季にはあまりなかった配置(動き?)が少しあったのでまとめてみます。

大森選手試合後コメント
「先に2点を取ることが出来て、そこまで無理して攻めに行くような展開でもなかったというところで、監督のゲームプラン通りに出来たと思います。」

①サイドの関係性

これまでのレビューをご覧いただければと思いますが、昨季のボール保持時のジュビロは下図のような配置(神戸戦レビューより)。

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SHは内側に入り、幅を取るのはSBでした。

一方この試合では、左サイドの大森選手が宮崎選手と縦関係になることがしばしば(下図)。試合後コメントにもあるように、リスクを回避した結果なのかと推測していますが、大森選手の個人判断なのかは気になるところ。

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山形 石丸監督の試合後コメントでは、

「前半の途中で、立ち位置がうちの右サイドで大森選手と宮崎選手の縦関係を作られたところで、押し込まれる場面が増え、相手のボランチがフリーになって、ボランチの距離感がだいぶ遠くなりました。」

とあります。大森選手が起点となることで、山形としては奪いどころの設定が難しかったのかもしれません。

②ペナ角への侵入

もう1つ、左サイドで特徴的だったのがペナルティーエリアの角(ペナ角)への侵入を狙っていたように見えたことです。侵入経路は主に2パターン。

①山本選手(以下、こーすけ)が三角形の頂点を移動させる。
②航基が中央からペナ角へ移動

①こーすけが三角形の頂点を移動させる
(GIF画像)

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②航基が中央からペナ角へ移動

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今季はペナ角を狙うのかなと思わせる動きでした。

気になったのはこーすけと航基が被ってしまうシーンが多かったこと。また、ペナ角へ運んでも後ろに戻すシーンが多く、そこから崩す形は見られませんでした。ペナ角への侵入はたまたまなのか、意図的なのか。こちらも今後注目したいポイントとして挙げておきます。

〇ショートカウンター・ルキアン

続いての項目。
この日目立った攻撃1つは、ボール奪取後、右サイドの3バック脇に流れたルキアンを走らせる形(下図)。

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1人でも運べてしまうルキアンを活かした効率的な攻め方でした。足りなかったのはクロスの質。中の枚数が航基1人になるのは仕方がないとして、シュートに繋げられなかったのは今後の課題かと。

△左サイドの守備
マークの受け渡しとスペース管理

ここからは主に不安要素(?)について。
ジュビロから見て左サイドからの攻撃が目立った山形。理由はいくつかありますが、主な要因は
①三鬼選手の存在
②利き足

かなと。

右WBの三鬼選手はプレス耐性があり、攻撃の起点として機能。加えて、右利きの三鬼選手はトラップ時に前を向きやすいので、右シャドーの渡邊選手は縦に走るタイミングを図りやすかったと思います。それが、ジュビロの左サイドを押し下げる要因に(詳細は次のGIF画像)。

一方山形の左サイドは、左CB、左WBが共に右利き。右足でトラップすると視野(体の向き)が内側になりがちなので、左シャドーの山岸選手は縦に深さを作れず。その他諸々の要因も合わさり、山形の攻撃は右からの攻撃が目立ったのかなと解釈しています(下GIF)。

*パス成功数は、左WB山田選手の30に対し、右WB三鬼選手はほぼ倍の55

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*分かりやすいように誇張しています

続いて、ジュビロのボール非保持時について。

システム的に数的不利となる山形のビルドアップに対し(下図1枚目)、ジュビロは2トップがサイドへ誘導後、SHとSBが前へと迎撃に(下図2枚目)。これは昨季最終節の神戸戦の後半でも見られた形です。

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このように対応すると、藤田選手が渡邊選手をマークすることに。これを利用されて、決定機未遂を作られたのが前半16分頃のシーン。

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宮崎選手が三鬼選手を捕まえに行こうとした結果、藤田選手が渡邊選手と大槻選手の両方に対応する状況が生まれます。そして大槻選手に対応した結果、渡邊選手がフリーに(上図GIF)。

これに加えてもう1つ気になったのが、吊り出されたCBのカバーリング

上述したように前から奪いに行くと、渡邊選手に対して藤田選手が対応するので、CBが吊り出されスペースができます。このスペースの管理が曖昧だったなと。こーすけが戻るシーンがありましたが、はっきりとした約束事ではないように見えました。

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いずれの場面も失点には繋がりませんでしたが、今後は間違いなく狙われると思いますので、どう対応するかは要注目です。また、どう対応したらよいかを考えてみるのも面白いかもしれません!

△試合運び

①ロングボールの多さ

前半で2-0としたジュビロ。
ポゼッションにこだわることを強調するフベロ監督の割にはロングボールが多かった印象。(Sofa Scoreのスタッツがないので詳細な数は不明💦)

ボール保持時に力也がCBの間に下りる形は今季も継続。その場合、システム的に相手の前線と枚数が噛み合ってしまうので、嵌められて蹴らされるシーンが出るのは致し方ない。

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前半は前に出てくる相手を利用して裏を狙うなどの工夫も見られました(下図 GIF)。

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一方、後半は押し込まれる時間が増加。
実際のポゼッション率推移も以下のように。
(棒グラフ:シュート数、折れ線:ポゼッション)

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※データはFootball LAB参照

加えて、推進力のある加藤選手が左シャドーに入ったことで、ジュビロの右サイドも押し込まれる展開に。

結果だけ見れば完封した試合ですが、セーフティーに試合を進めるのであれば、ポゼッションを高めるという選択肢も欲しいなと感じたので記録として。これも1年でのJ1復帰とJ1昇格後を考えた場合には必要だと思うので。

開幕戦という緊張感もエクスキューズとしてはあると思うので、今後に期待です。

②守備ラインの高さ設定

続いて守備ラインについて。

ロングボールが多く、押し込まれる展開が続く後半。それにも関わらず、1stプレッシャーラインの高さが前半と変わらなかったのが疑問でした。

上述したように山形の最終ラインに対し、ジュビロの前線は数的不利なので、軽々と前進され、守備対応が後手(後ろ向き対応)になるシーンが。

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守りきるのであれば、守備ブロックを下げて運ばせないことを最優先にした方がいいのでは?とも思ってしまいました。

終わりに

ポイントでまとめてみる形式は如何だったでしょうか?この試合だけに限らず、シーズンを通して重要になりそうな項目についてまとめてみたつもりです。少しネガティブ要素が多めになってしまいましたが、勝って兜の緒を締めよ。ということで、選手たちは百も承知だと思いますが、僕たちも結果だけではなく、内容にも注目していければいいなと思っています。

解釈の仕方は様々だと思うので、こんな解釈もできるんじゃない?等があれば引用RT、リプ等でお気軽に!というかぜひ!
おそらく構成の変更により、昨シーズンのレビュー比で文字数が20%減なので読みやすくなってるといいな(笑)。

ちなみに、今シーズンからTwitterで始めた#サポーターが選ぶ今節のMVP の結果も発表しているので、そちらもご覧いただければ。

ナニワトモアレ、勝ち点3を掴んだジュビロ。コロナの影響で少しの間、試合の延期が発表されてしまいましたが、中断期間を経て、よりスケールアップしたジュビロが見られるのを心待ちにしています!皆さんも体調にはお気をつけて。この投稿が試合を見直すきっかけになれば、分配金がクラブに入り万々歳!!!

*GIF画像をたくさん使ってしまいましたが、見やすさや次の画像に移る間隔はどうですか?ご意見お気軽に!

ジュビロ磐田公式HP
モンテディオ山形公式HP

試合ハイライト