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【PickUpMatch】#018.狙いは結果に。赤黒に現れた覚醒間近のレフティー。

 代表ウィークを明け、Jリーグが帰ってきた。
 長いシーズンもはやいものでそろそろ折り返し地点だ。今節は前半戦から立て直しが必須な大分トリニータをホーム厚別に迎えたコンサドーレ札幌をピックアップしていく。

Topic①:リーグ中盤戦の難しさ

 まず、このゲームの内容に入る前にシーズン中盤戦の難しさについて取り上げておきたい。
 Jリーグは1シーズン、ホーム&アウェイを戦い抜き、今シーズンは下位4チームがJ2に降格となる。決勝トーナメントとは異なるため、負けたらすぐに終わりというわけではないが、負けが続くと順位表も気になり降格争いを見据えた戦いも必要になる。
 いわば、チームとしての理想と現実の間で最もジレンマが起き、悩みやすい時期と言える。シーズン終盤になれば、J1に残ることが至上命題となるため、どんなことをしてでも(ゴール前を10人で固めてでも)勝ち点を取りに行くことが求められるわけだが、中盤戦の時期ではそれはあまり有効ではない。(負けないことは一時的にできても、勝ち続けるクラブにはそれではなりづらいからだと僕は解釈している)

 前半戦大分トリニータは難しい戦いを強いられた。サッカーこそ魅力的なものをピッチ上で展開しているが、最後の決定的な場面での仕事や不用意なミスから失点など取りこぼしが多く、あっという間に降格圏に甘んじている。
 一方、コンサドーレ札幌も降格圏が見えているわけでこそないものの、充実したシーズンを送れているわけでなく、なかなか復調のきっかけを掴めずにいるといった状態だ。

 代表ウィークを明けて、チームとしての立て直し期間として活用できたかどうか。それが試される一戦が本ゲームの位置付けであった。

Topic②:金子拓郎の魅力。コンパクトな振りからミドルシュート。

 もともと力はあった。僕も何度かブログ内で取り上げているが、この日の彼は自信と共になにか一つサッカー選手としての凄みを掴んだように見えた。
 前半9分、金子拓郎の一撃でゲームは早々に動く。左サイドバックの福森の正確なロングボールから1発で最終ラインの背後をつくと、胸コントロールから切り返し、相手ボックス内で冷静に右足でシュートを沈めた。
 福森の滞空時間の少ないロングボールも見事の一言だが、そのボールを難なくコントロールし、相手の動きを読み切ったプレーは彼がオランダの英雄であるロッベンに擬えて語られる要因なのだろう。

 ただ、これだけでは終わらないのがこのゲームの金子拓郎だ。前半20分追加点が生まれる。
 チームとして左サイドの角を取ると、マイナスのボールがチャナティップへ。チャナティップは横で待ち構えていた金子へパスを送ると、ワンタッチコントロールから今度は得意の左足を振り抜いた。
 コンパクトな振りから放たれたボールはゴールキーパーホープウィリアムの左腕をかすめながら、ゴール右隅にすっぽりと収まった。
 簡単なシュートではない。ボールを受ける前に得意なポイントにボールをコントロールし、シュートのイメージまで持っていなければならず、さらに言えばそのイメージを寸分の狂いなく達成しなくてはならないのだ。

 まさにイメージ通りじゃないか。
 練習でおそらくこの形を意識してトレーニングしているのだろう。無駄なく身体をコントロールし思い通りの場所にシュートを沈めた彼は今後間違いなく注目の逸材だ。

Topic③:ドリブル成功回数がリーグトップ?

 金子拓郎の凄みはシュートだけではない、左足でボールを持ち独特のリズムでゴールに迫る。
 状況判断も良いため、厳しいと判断すればパスの選択肢を持っており、無理に突っ掛けるプレイヤーではない。
 久保建英とも堂安律とも坂元達裕とも違う、彼独特のアクセントが存在し、敵ディフェンダーをかわしていく。

 先日公開されたJリーグ公式の動画であるが、この中で金子拓郎は川崎フロンターレのドリブラー三苫薫を抑えて、ドリブル成功回数で1位を記録している。

 Jリーグの中で試合に出続け、自信を深めているレフティーは今後日本代表に食い込んで行く存在となるはずだ。
 「コンサドーレから世界へ」今後も赤黒のチームの主軸として大車輪の活躍を期待しよう。

 それでは。

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