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#vol.7 ”ことば”をテーマにした小説3選

 今回はおすすめの小説をご紹介!
 ことばを軸に、「スピーチ」「手紙」「辞書」という3つの切り口で小説を選んでみました。ぜひこのブログとともに読んでいただけたら、うれしいです。

『本日は、お日柄もよく』ー原田マハ

「困難に向かい合ったとき、もうだめだ、と思ったとき、想像してみるといい。三時間後の君、涙がとまっている。二十四時間後の君、涙は乾いている。二日後の君、顔を上げている。三日後の君、歩き出している」(p.322)

 かわいい表紙と主人公こと葉の真っ直ぐな姿勢に心を打たれる素敵な小説。
 社会人として毎日はたらくみんなに読んでもらいたい一冊。

 特に好きな文章は上記の文。ことばには力があり、誰かを動かす力がある。
 それは時に誰かを傷つけるものにもなりうるけど、大切に言葉を使っていきたいと思わされる素敵な小説だった。(原田マハさんの本はいろいろと読んでみよう)

『ツバキ文具店』ー小川糸

秋は、誰かに手紙を出したくなる季節なのかもしれない。(p.84)
ただ、園田さんの優しさや言葉遣い、面影や匂いまで、彼のすべてを桜さんに届けたかった。手紙は、書く人の分身のようなものだから。(p.91)

 やさしい小説。
 手紙の代筆を請け負う文具店のおはなし。

 ラブレターから絶縁上までさまざまな依頼主がいて、その人たちへの想いを手紙にしたためるのだ。
 作者の小川さんの選ぶ言葉遣いにも、ゆったりとした時間が流れてくれるような感覚を覚え、小説の中の世界にワープしたかのような錯覚を与えてくれる。

 僕は読んでないけれど、公園のベンチとかに座ってこの小説を読んでいたら、優雅な時間を過ごせそうな気がする。とふと思った。

『舟を編む』ー三浦しをん

なにかを生みだすためには、言葉がいる。(p.268)

 新しい辞書「大渡海(だいとかい)」の完成に向けた、お仕事小説だ。
 日本語を巧みに定義し、世の中に出していく辞書作りという凄い仕事を垣間見た気がした。

 これまで辞書に特段興味こそなかったが、この小説に出会って、ことばの意味を深く考え、辞書を引いてみるようになった。
 誰かが真剣に『ことば』に向き合ってまとめた努力の結晶が辞書だと思うと、辞書の重みにいとしささえ感じられるようになる気がする。

 小説としてもとても楽しく、元気をもらえる一冊なので、ぜひ多くの人に手に取ってもらえるとうれしいかな。

 これからも、何かテーマを持って、小説を紹介できたら!
 それでは~!

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