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JEF+FACTFULNESS(ジェファクトフルネス)

ジェフユナイテッド市原・千葉のアドベントカレンダー2019の記事です。

はじめに

ジェフサポーターの皆さん、こんにちは。

Twitterで『ジェフユナイテッド市原・千葉のアドベントカレンダー2019』なるものがあることを知り、アドベントカレンダーが何なのかも知らないまま思い切って参加してみました。noteはこれが初。どうか温かい目でお付き合いください。

突然ですが、皆さんはこの書籍を知っていますか?

まだ読んだことが無い方は是非手に取って読んでみてください(たぶんベストセラー)。

本記事は、ジェフユナイテッド市原・千葉のJ2生活10シーズンのデータを基に、ジェフを正しく見る習慣≒スキル『JEF+FACTFULNESS(ジェファクトフルネス)』について書いています。
そう、上記の著書「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」が元ネタです。

この記事を読むことで、ジェフサポーターの方も、そうでない方も、データを通してジェフを正しく見るスキル『ジェファクトフルネス』が少なからず身に付くはず。
熱狂的なサポーターほど囚われがちな”本能(バグ)”ともいうべきジェフに対する思い込みから解放されれば、毎週末フクアリに通うこともDAZNで試合を観ることも、いつしか“癒し”に変わることでしょう。
※効果には個人差があります。すべての方に効果を保証するものではありません。

自己紹介

改めまして、kankuraです。

当時小学生だったJリーグ開幕翌年の94年にサッカーを習い始め、その時のコーチがジェフリザーブズの選手だった縁でジェフを好きになりました。

最近は時間が取れず更新できていませんが、サッカーのデータを集めて集計、可視化するブログをやっています。

ジェフ活について述べておくと、ゴール裏民でもシーチケ民でもなくファンクラブ会員(GOLD)です。寧々さんのように対戦カードによってフクアリの席を替える勢で、遠征も琉球戦が初の遠方アウェイくらい(鹿児島との連戦は諸事情により断念)の入れ込み具合です。

本記事の構成

元ネタ本を読んだ方ならお分かりかと思いますが、本記事はジェフサポーターの思い込みに対して、データ=事実(ファクト)を提示し、ジェフの正しい見守り方をサジェストできればという考えのもとに綴っています。

本記事を書く前にTwitterを通じて事前にジェフサポーターの方向けに「ジェフユナイテッド検定」と称してクイズとアンケートを配信していました。 本記事の構成として、皆さんの検定の回答結果に対して正解(ファクト)とその解説(データ可視化)を被せるかたちで進行していきたいと思います。

長い記事になってしまったので、検定の結果だけ確認してもらうでもいいと思いますし、特に気になった項だけを読み込んでもらえれば。
記事の最後のパートではアンケートで皆さんが選んだ「マイMVP」の集計結果をもとに、「ジェフ千葉J2オールタイムベストイレブン」を組んだので、是非チェックしてみてください。

ネガティブ本能『ジェフはどんどん弱くなっている』という思い込み

ジェフ検定の答え合わせの前に、まずはJ2生活10年目を終えたジェフユナイテッド市原・千葉の現状について共有しておこうと思います。
まずは下記の可視化をご覧ください(可視化は今季アウェイユニの色調を意識)。

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ジェフはどんどん弱くなっている」は思い込みではなく”事実”です。  ※1シーズンの獲得勝ち点や最終順位を、ジェフの強さ/弱さを測るモノサシとするならば、ですが。
こればっかりはいくらデータをこねくり回しても覆しようがなかったです、すみません(俺が謝ることでもないが)。

上記可視化は、折れ線グラフの数値が勝ち点を、位置が順位を表し、棒グラフが自動昇格ライン(上側)/自動降格ライン(下側)との勝ち点差分を示しています。

J2がシーズン42節になった12年シーズン以降、最高位が3位で直近19シーズンが17位、自動昇格ラインの“壁”は高くなり、逆に以前は遥か後方にあった自動降格ラインの断崖は、今季僅か勝ち点3ポイント差まで迫ってしまいました(あっぶなかったー)。

この 『ジェフはどんどん弱くなっている』が絶対的なものか(ジェフ自身のクオリティが下がっているか)、相対的なものか(ジェフ以外のJ2チームのクオリティが上がっているか)は、また別の機会に考察したく存じます(メンタルが持たなくなるから)。

ジェファクトフルネス...それは、
超えてはいけない”限界”というものがあることを思い知ること

限界には、 限界はありません。 限界を超えれば 次の限界が生まれるのです。(by イビチャ・オシム)
(自由落下し続けると、途中から無重力状態になるらしいです)。

次項から「ジェフユナイテッド検定」の答え合わせです(切り替えろー)。

恐怖本能『対戦相手、みんな怖い』という思い込み

J2生活が10シーズンともなると、長く生活を共にした対戦相手との”相性”も皆さんの記憶に朧気ながら染み付いているのではないでしょうか。
北関東アウェイは気持ちよく勝てた記憶がないし、何故か北九州にはホームで負けまくるし、「反町」の2文字を見ると頭痛が起きるくらいには恐怖が染み付いているかと思います。
検定序盤の4問は、怖い怖い相手との対戦成績に関するデータから導き出した相性にまつわる設問。

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まずは、ジェフが最も苦手とする相手はどこなのかという問題。
正解は、「東京ヴェルディ」です。
それぞれ10シーズンで与えてしまった累計ポイント数は下記の通り。

 東京ヴェルディ    28pt
 京都サンガF.C.      27pt
 水戸ホーリーホック  24pt

対ヴェルディとのJ2における通算対戦成績は、4勝10分6敗。
同じ対戦相手に10引分けは10シーズンでもっとも多い数です。
与えてしまった勝ち点は、引分けで分け合った10ポイントを含めて28。ヴェルディ相手には15年シーズン第40節のホームゲームで勝利して以降、ここ4シーズンは5分3敗と勝てていません。
来季、ヴェルディ相手に勝ち点3を奪えるのか、ジェフの変化を測る上で注目の対戦相手になるのではないでしょうか。

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こちらは、とにかく(良くも悪くも)「ゴール」がたくさん見られる対戦相手についての問題。
この問題の正解はというと、「FC岐阜」でした。
17年シーズンの対FC岐阜戦はアウェイが6-4、ホームで1-3と、この年だけで互いに7点ずつ撃ち合いました(この試合はzu-ka-ki-さん企画の観戦会でプレビューをやらせていただきました)。

今季も第14節ホームで5−1、第22節アウェイで2−2と、まあまあゴールがたくさん飛び出したかと。
実は、この設問私が書き方をミスってまして、本当に言いたかったのは、「1試合あたりの”平均”ゴール数」だったのです。そのスタッツだと、正解は大分トリニータ

 町田ゼルビアFC 10試合 / 35点 / 平均3.5点 
 FC岐阜     20試合 / 61点 / 平均3.1点
 大分トリニータ    14試合 / 51点 / 平均3.6点

総ゴール数では、61点のFC岐阜なのですが、「1試合あたり」では、3.6点で大分トリニータが3.1点のFC岐阜を上回ります。
来る20年シーズン、大分は引き続きJ1、FC岐阜はJ3から再スタートと、たくさんゴールが見られる相手とカテゴリが異なるシーズンになるのもなんだか切ないですね。

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次はこの10シーズンで必ず勝ち負けがついた相手についての問題。
相手の巧みな戦術に嵌められて負ける、または跳ね除けて打ち負かすといった激しい攻防が見られる相手かと。
正解は、「ギラヴァンツ北九州と松本山雅FC」。
通算対戦成績は以下の通り。

ギラヴァンツ北九州 7勝0分7敗
松本山雅FC    4勝0分8敗


北九州は10シーズン中ホーム戦で最も多く敗戦を味わった相手(4敗)。
戦績は五分と五分。北九州は来季、昇格請負人・小林伸二監督と共にJ2に帰ってきます。対北九州戦は得点も失点もやや多い傾向(平均1.6得点/1.4失点)。小林監督はフクアリでもアグレッシブに勝ち点3を狙ってくるでしょう。

松本はこの10シーズンでジェフが最も多く敗戦を味わった相手

ジェフサポが反町監督を殊更憎む理由が数字でも証明されたかたちです。
ただ、そんな反町監督は今季限りで松本山雅の監督を退任。
後任には布啓一郎監督(高校時代、私の体育の授業の先生でした)が新たに就任。
来季、憎き天敵がいないのをどこか寂しく感じるのは私だけではないはず...(マジでもう来ないで)。

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この10シーズン中、ホーム・フクアリで無敗の相手はどこかという問題。
ファジアーノ岡山のフクアリ未勝利は広く知られているかなと思いますが、もうひとつの相手はデータを見るまで私も分からなかったです。
正解は、「アビスパ福岡とファジアーノ岡山」。
通算対戦成績は下記の通り。

アビスパ福岡   3勝5分0敗
ファジアーノ岡山 7勝3分0敗

意外に思われたかもしれませんが、降格以降福岡にはまだフクアリでは負けてないんですね。19年シーズン、岡山はフクアリで初めて勝利をあげたのですが、あれは天皇杯2回戦でしたからここではノーカウント。
来季以降、この2チーム相手にリーグ戦のホーム無敗をどこまで継続できるでしょうか(その前に昇格...)。

さて、ここで対戦相手との相性に関する可視化をひとつ紹介します。

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対戦相手毎、1試合あたりの平均得点(X軸)と平均失点(Y軸)の散布図です。エンブレムの収まりを考慮して、縦横各軸スケールが異なります。
プロットした対象は、J2生活10シーズン中5シーズン以上対戦があり、来季同じJ2生活を共にする相手。
右にいる相手に対しては得点が多く、逆に左にいる相手には得点が少ない傾向を、上にいる相手に対しては失点が多く、下にいる相手には失点が少ない傾向をそれぞれ表しています。

先述の東京ヴェルディ、松本山雅は得点<失点なので苦手とする相手
町田、愛媛は得点>失点なので比較的相性の良い相手。町田はアベレージで2得点超えです。
北九州、山形、京都などは、得失点が1.5近辺なのでスコアが動きやすい。逆に栃木、岡山、水戸相手にはロースコアで堅い試合が多い

苦手な相手との対戦カードは、変化を測る試金石として注目してみたり、
スコアが動きやすい対戦カードは、ご新規の家族、友人への誘い文句にしてみたり、緊迫した展開がお好みな玄人さん向けに1点を争うような堅い対戦カードをおすすめしてみたり、ご新規さんを誘う際など、これら傾向を参考にしてみてはいかがでしょう。

ジェファクトフルネス...それは、
不必要に相手を恐れすぎてはいけないということ(
反町は去った←重要)。
恐れる自分を恐れるな!(by イビチャ・オシム)』

この項、ジェフサポの正解数は4問中「2問」でした。

過大視本能『ゴール数が一番重要』という思い込み

サッカーはゴールを奪い合う競技。
ゴールを決めた選手は、得点者として記録にも人びとの記憶にもその名が刻まれ、誰にとっても分かりやすく勝利に貢献したヒーローとして光が当たり、注目を集めることと思います。
ただ、ゴール数という数字を真水のまますくい上げるだけでは、選手に対する評価というものは公平なものにはならないのではないか...
ゴール数は多ければ多い方が良いに決まっていますが、何に対して多いのかという視点を加えると見え方が変わってくる、という話をしたいと思います。
それと、意外に忘れられがちな「アシスト数」についても。

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この設問は「1シーズンあたりのアシスト数」というところと、選択肢にシーズン年を表記したところがポイント。
正解は、13アシストを記録した「兵働昭弘選手」。

中村太亮(2014シーズン) 10アシスト
米倉恒貴(2013シーズン) 11アシスト
兵働昭弘(2012シーズン) 13アシスト

皆さん、記憶に新しい14年シーズンに活躍した中村選手の方が印象に強く残っていたのかもしれません。彼が正確な左足を持つSBというポジションだったからか、クロスから得点を演出するという役割を想起して、アシスト王の印象を後押ししたのやも。
対して兵働選手は10番を背負う司令塔タイプ。ゲームを作るタイプと思いきや、アシストキングでもあったんですね、兵さん。

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ここではまず、「平均ゴール関与数」について軽く解説。
これは1試合あたりどの程度直接的、間接的にゴールに絡むのかを表す指標。在籍期間中の累計ゴール数、アシスト数を足してゴール関与数とし、ジェフでの通算出場試合数で割った値です。

この問題での0.50という閾値を簡単に説明します。
1シーズンの試合数42に0.50をかけると21という数字になるかと思います。これは得点とアシストを合わせてシーズン21得点以上に絡むということに相当します(凄いぞ、21得点だぞ)。
この1試合あたりの平均ゴール関与数0.50を超えるのは10シーズンで2人だけしかいません。
正解は、ケンペス選手とクレーベ選手
3人のスタッツは以下。

ケンペス  /71試合/35ゴール/5アシスト/ 1試合あたり0.56点
クレーベ /38試合/17ゴール/3アシスト/ 1試合あたり0.53点
ラリベイ/ 71試合/30ゴール/5アシスト/ 1試合あたり0.49点

ラリベイ選手、ほぼ0.5なんですけどねー
チームの得点源という意味において、この3選手は別格です
クレーベ選手の完全移籍はチームにとって、とてもとても大きなこと!)

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先ほどの平均ゴール関与数を1試合あたりではなく、出場時間あたりで算出しなおしてみると、0.50を超えてくる選手が日本人選手の中にもいたのです。
正解は「清武選手(平均0.54点)と藤田選手(平均0.50点)
3人のスタッツは以下の通り。

清武功輝 / 3,697分/14ゴール/8アシスト/時間あたり0.54点
藤田祥史 / 2,683分/ 15ゴール/0アシスト/時間あたり0.50点
船山貴之 / 12,485分/43ゴール/19アシスト/時間あたり0.45点

次点では指宿洋史選手(0.49)が控えておりました。
船山選手は0.45点で日本人4番目。
FWの藤田選手、船山選手ではなくSHやWGで起用されることが多かった清武選手がこの指標で最多をマークできたのは、ゴールを奪う決定力の高さに加えてFKやCKなどのキッカーを務め、「アシスト数」を稼いだ点が大きかったのだと思います。
そう、地味ながら「アシスト数」というスタッツは大事なのです(高精度のボールが蹴れるプレースキッカーは超大事という話)

ここで、選手に関するデータの可視化をご紹介。

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上記はJ2生活10シーズン累計ゴール関与数TOP10選手です。
10シーズン中、最も多くゴールに絡んだのは船山貴之選手で計62得点。
そんな中、6位に食い込んだのは田中佑昌選手。
彼のランクインを意外に思われた方もいると思います。
在籍4シーズンで121試合出場(先発71試合)、17得点7アシストをマーク。ちなみに田中佑昌選手の12年シーズンの出場時間あたりゴール関与数は、19年クレーベ選手の数値に匹敵していました(ケンペス弐号機?)。

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平均ゴール関与数の1試合あたり(X軸)、出場時間あたり(Y軸)の散布図です。バブルの大きさが出場試合数を表しています。見方の注意点として、横軸と縦軸でスケールが異なるということをお伝えしておきます。
それを踏まえ、横軸の1試合あたりの平均ゴール関与数0.5/0.4/0.3の各ライン毎3グループで選手を分けて見ていただくと彼らの活躍が想像しやすいと思います。

まず、右上にいる先述のBIG3、ケンペス、クレーベ、ラリベイの3選手はまさに最強の助っ人
散布図中央、0.4のラインにいる清武、藤田、船山ら日本人選手とエウトン、ネイツ両助っ人外国人らはBIG3に次ぐレベルの得点源。
そして、図の左にいる指宿、オナイウ両選手は少ない出場時間ながらゴールを決めてチームを救った証が縦軸の数値に表れています。

指宿選手は、時間あたりのゴール関与数が藤田選手やエウトン選手とほぼ同水準。オナイウ選手は通算62試合(先発12試合)、2,081分という短いプレー時間ながらリーグ通算10ゴール、90分あたりに換算すると平均ゴール関与数はネイツ選手や船山選手と同水準の値
2人ともジェフでの評価が低過ぎる!と思うのは私だけでしょうか...
「出場時間あたりの〇〇」という指標は、実は凄い活躍をしてた殊勲者を浮かび上がらせるモノサシとして機能します

ゴール数という絶対値にのみ注目すると、陰ながらゴールを演出した選手や、少ない出場機会の中で仕事をした選手を見落としたりしてしまうのではないでしょうか、というお話でした。

ジェファクトフルネス…それは、
ゴール数が表す意味を”複眼”で見ること(割り算をしたり、ゴールに間接貢献した人を忘れずに見ること)。
『サッカーの試合とは絶対に1人では成立しない。(by イビチャ・オシム)』
そのゴールは決めた選手だけのものか、チームのものか。
サッカーがチームスポーツであることを忘れないようにしたいです。

この項、ジェフサポの正解数は3問中「0問」でした。
サポーターの”本能”(バグ)、フルで発揮しちゃいましたね!

犯人捜し本能『監督が辞めれば解決する』という思い込み

さあ、おまたせしました!
みんな大好き(人によっちゃ大嫌いか)ジェフを率いた「監督」にまつわるデータです。
この項はクイズの正解よりも先に可視化を載せます。

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21試合以上、つまりシーズンの半分以上を指揮した監督を対象にジェフでの通算成績についてまとめました。
グラフは左側がホームの勝率と平均獲得勝ち点。
右がアウェイのそれです。
並び順は1試合あたりの平均獲得勝ち点の順(以下詳細)。

12年  木山監督(1.71pt)
11年  ドワイト・ローデヴェーヘス監督(1.56pt)
13~14年  鈴木監督(1.52pt)
17~19年  エスナイデル監督(1.49pt)、
14~16年  関塚監督(1.42pt)
10年、19年 江尻監督(1.38pt)

そして、この可視化にクイズの答えが出てしまっているんですが、お分かりいただけたでしょうか?

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この設問、「正しくないもの」をひとつ選ぶ問題。
つまり、残る2つは「正しい」ということ。
正解は、可視化にもある通り「ドワイト監督のホーム戦勝率は、エスナイデル監督よりも高い」です。

そう、エスナイデル監督のホーム戦勝率(50.0%)は、ドワイト監督(46.7%)よりも高いのです。
そんな馬鹿な!という声が聞こえてきそうですが、それ以上にそんな馬鹿な!なのが、「エスナイデル監督期の1試合あたり平均失点数は、木山監督期の2倍以上である」という事実。
可視化にはしませんでしたが、エスナイデル監督が1試合あたり平均1.56失点に対して、木山監督は0.78失点

そして、「江尻監督のホーム戦平均獲得勝点数は関塚監督、エスナイデル監督と同じである」という事実についてですが、3者いずれもホーム戦1.73ptで全く同じでした。

10シーズンで6人、代行監督を含めれば9人もの方が指揮を執ったことになるジェフ。POで負けたけど、木山さんがあのまま続けていたら...という意見はジェフサポの間でもよく聞かれると思いますが、良くなったかもしれないし、逆に悪くなったかもしれない。それはもうタラレバでしかない。

ただ、監督を替え続けた結果どんな因果関係かは分かりませんが、「どんどん弱くなっている」事実があるわけで、これは現場指揮官を選定する”上のレイヤーの意思決定者”には、「因果関係」とやらを是非分析、考察しておいてもらいたい...(パワポ、みんな待ってる)。

ジェファクトフルネス...それは、
優れた戦闘指揮官(監督)と優れた司令官(GM)が揃って初めて戦争(リーグ戦)に勝てるようになる、ということ。
誰か(監督)を責めると、本当の原因(偉い人)に目が向かなくなり、将来同じ間違いを防げなくなる。
『アイディアだ。監督にとって大事なのはアイディアだ。(by イビチャ・オシム)』
エスナイデル監督のアイデア、私は好きでしたよ。共通項の多かったマリノスが今季J1を制したのとか見てて、J2でもやりようはあったと思いますが、そのための別の”アイデア(サイエンス)”が足りなかったです。

この項、ジェフサポの正解数は1問中「0問」です。
みんな、エスナイデル監督のことを嫌いにならないでください。

パターン化本能『勝ち点を落とす時は”ワンパターン”』という思い込み

J2生活10シーズン。
繰り広げられた戦い、410試合
訪れた歓喜の瞬間、165
溜息をついた瞬間、106
肩を落とした瞬間、139
もぎ取った勝ち点、601
165勝106分139敗、勝ち点601、J2生活10年目、了。

これがJ2生活10シーズンの通算成績になります。
勝利にも、様々なかたちがありました。
完封勝利、1点差での辛勝、3点、5点と相手ゴールネットを揺らした圧勝や大勝。
引分けや敗戦にもさまざまなかたちがありました。
それら試合結果に「パターン」はあるかについてのお話。

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この問題は、ジェフの試合結果について知っているか、というよりもサッカーという競技における得点数がどのように発生する”事象”であるかを知っていれば当てられるのではないかと。
正解は、「1−1の引き分け」です。
ジェフの10シーズンの結果数は以下の通り。

 1-0の勝利    41試合
 1-1の引き分け  52試合
 0-1の敗戦      39試合

下記『サッカーマティクス〜数学が解明する強豪チーム『勝利の方程式』〜』という著書に、試合結果の統計についての記述があります。

”ポワソン分布は、過去の事象のタイミングが未来の事象に影響を及ぼさない場合に生じる。<中略>それまでのゴール数やプレイ時間は、次のゴールの発生確率に影響を及ぼさない。こうして生成されるポワソン分布は、ゴール数のヒストグラムの全体的な形状を驚くほど正確に再現している。”
出典:第1章ランダムおはじきサッカー・リーグ|サッカーマティクス
/デイヴィッド・サンプター著、千葉敏生【訳】

サッカーにおけるゴールは、ランダムに起き、いつ発生するのかが予測不可能な事象であり、だがしかし「ポワソン分布」に従うことが知られている、と。
ポワソン分布とは?の詳しい説明は他に譲ります

可視化があった方がイメージしやすいと思いますので、下記に引用で述べているゴール数のヒストグラムをジェフの10シーズンのデータで作成したものを載せます。

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上記は10シーズン全ての試合の総得点のヒストグラムです。
最も多いのが「2点」。
つまり、スコアは1-1か、2-0か、0-2ということ。
内訳は正解の項で記した通り。
上記のようなヒストグラムの形は、恐らくは他のJ2チームや、Jリーグ全体、あるいはブンデスリーガなんかの統計と比較してもほぼ同じ形になります。
サッカーの1試合の得点は、だいたい2点〜3点で収まる、ということが「ポワソン分布に従う」ということ、とニアリーイコールと思っていてください(たぶんあってる)。
ちなみに、ジェフの10シーズン410試合の1試合あたりの平均総得点数は2.6で、引用著書で用いられている12/13シーズンのプレミアリーグ平均得点数2.7とほとんど同じでした。

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ここでは「正しいもの」を問うているので、2つは間違い。
正解は「追いついたドローよりも、追い付かれたドローの方が多い」です。 それぞれの結果数は下記の通り。

 逆転負け(26試合)
 逆転勝ち(23試合)
 追い付いたドロー(33試合)
 追い付かれたドロー(47試合)  
 完封勝利した数(103試合)
 完封負けした数(66試合)

一応、追い付いた、追い付かれた、の定義は”最終的にジェフが追い付いたか”、”追い付かれたか”で分類しています(ジェフ先制、その後逆転されて、最後ジェフが追い付いたら、「追い付いたドロー」とカウント)。
この引き分けに関しての内訳を下記に。

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幸先よく先制するも、相手の猛攻にさらされ、やがて守備が決壊して追い付かれてしまう…ジェフの試合でよく見る光景かもしれません。
上記可視化、シーズンによってはそうしたイメージの通りかも。
直近シーズンはそうしたドローが減ってきているように見えるかもしれませんが、ここ2シーズンは追い付かれるだけで済まずに、さらに失点を重ねて逆転される試合が多かったが故かと(18年は逆転負けが7試合、19年は5試合ありました)。

スコアレスドローで終わった試合数は、10シーズン累計で26試合

今季そのスコアレスドローは、10シーズン中最多の6試合。
江尻さんが最初に指揮した10年シーズンはゼロでしたから、同じ監督でも時が経ち輩下のメンバーが変われば、まるで違う結果になるのだなぁと。

引き分けの内訳は、個人的には皆さんのイメージの通り私自身もスコアレスドローが少なく、追い付かれるパターンが多いだろうな、と思っていましたが、その通りでしたね。
得失点は1試合あたりランダムに発生しますが、特定のチームに着目した時、得点が先か失点が先か、次の1点はどちらか...のような順序パターンが存在するのでしょうか。
引き続きウォッチしたいテーマかと思います。

ジェファクトフルネス…それは、
先制した後また1点、または先制された後もう1点、とりあえず平均して2点はゴールが見られるということ(順序にはパターンがあるかも)。

『去年の結果は、去年の結果です。今年はまた、今年の結果が出るでしょう。(by イビチャ・オシム)』
20年シーズン、”追い付かれたドロー”が減るならそれは良い傾向と思うようにします。同じ引き分けでも中身は違う。でも、1試合で入る点数はたぶん、2〜3点です。

この項、ジェフサポの正解数は2問中「2問」です。
ジェフサポは、サッカーをよく知っている!

直線本能『ジェフの高齢化が止まらない』という思い込み

ちょうど今、契約更新や退団、移籍加入のリリースに一喜一憂する季節かと思いますが、J2生活におけるジェフの移籍関連の話題としてよく上がったのは、「出戻り移籍の多さ」ではないでしょうか。以下該当する選手を加入年毎にあげてみます。

2010年シーズン
 佐藤 勇人
 林 丈統
 村井 慎二
 茶野 隆行
2012年シーズン
 山口 智
 谷澤 達也
2015年シーズン
 水野 晃樹
 鈴木 隆行
2017年シーズン
 羽生 直剛
2018年シーズン
 工藤 浩平
2019年シーズン
 米倉 恒貴 

かつてジェフに在籍した選手が、再び戻ってきて力を貸してくれることに多くのサポーターが喜んだはず。私も素直に嬉しかった。
ただ、一方で私はこうも思ってしまいました。

出戻り組の加入で若手の出場機会が奪われ、結果チームは高齢化しているのでは?」と。
というわけで、データを見てみることに。

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まず初めに、チームの平均年齢を登録選手(開幕時)、主力選手(各シーズン21試合以上出場)、控え選手(出場20試合以下、出場ゼロも含む)の3つに分けて見ることに。
編成、そして主力選手の平均年齢は、右肩上がりの傾向のように見えますね。ご覧のように平均年齢で見る限りジェフにおける出場機会というのは、年功序列の傾向になっている事が分かります。
ただ、この年功序列的な傾向は、多くのJチームでそうなっていることが語られているかと思います(参考)。
そんな周辺情報をお伝えした上で、ここで唐突ながら問題の答え合わせに戻りたいと思います。

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答えはというと「生え抜き選手」でした。
以下にスタッツを。

生え抜き選手/933試合(65,289分)/ 計26人 / 22.3歳
レンタル選手/828試合(65,508分)/ 計39人 / 25.6歳
出戻り選手 /653試合(49,543分)/ 計12人 / 33.2歳

上記3つのグループに該当する選手の10シーズンの出場時間の推移を見てみました。

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そう、ジェフはちゃんと育てて”いた”んです、若手≒生え抜き選手を
ただ、それは一部の選手である、ということが真相だったりします。
可視化にもあるように生え抜き選手で各シーズン名前がクレジットされている選手というのは、レギュラーに定着しシーズンほとんどの試合で稼働していました。
一方の出戻り選手について言うと、10年ジェフに復帰したバンディエラ佐藤勇人選手、12年に加入した山口智選手、そして09年オフにFC東京に移籍して12年に出戻ってきた谷澤達也選手らが14年シーズン頃にかけて主力として稼働。
この時期は良い捉え方をするならば、彼らベテランの出戻り選手と生え抜き選手が補完し合っていたとも言えるのかもしれません。
16年の「レボリューション」以降、出戻り選手の稼働は急減しています。
このシーズンを境に稼働を大きくしているのが、「レンタル選手」です。
19年シーズン、チーム最多出場時間をマークしたのは、レンタル選手であったクレーベ選手でした。
経験と実力を備えていた出戻り選手が中軸となっていたジェフは既に過去のものとなり、代わりにレンタル選手(あと中途移籍選手)によってその穴を埋めている、と言えるのかもしれません。
サッカーは年齢ではない、と言われる一方で、スポーツ選手の”選手寿命”は確実に年齢という変数が大きく作用していたりします。

ジェファクトフルネス...それは、
若い選手は育っていた。そして、皆旅立っていく(何人かは戻ってくる)ということ。
『若い選手にはミスする権利がある。(by イビチャ・オシム)』
個人的にジェフが史上最強だったと思う頃(オシム監督が指揮したジェフ最後の試合≒ホームでその年優勝する浦和レッズに何もさせないまま倒した試合)のスタメン平均年齢が25歳くらいでした。

この項、ジェフサポの正解数は1問中「0問」。
出場時間はレンタル選手が最多なんで、正解にカウントしてもいいと思いますが。

単純化本能『J2だけどフクアリはお客さん入ってるじゃん』という思い込み


最後の問題はホーム・フクアリの観客動員にまつわるデータから。
J2生活10シーズンの間にホーム・フクダ電子アリーナで開催されたリーグ戦ホームゲームの開催数は、205試合を数えます

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上記図はJ2生活10シーズンに開催されたホームゲーム数のヒストグラムです。収容率30%から10%刻みでカウントしています。ちなみに、収容率はフクダ電子アリーナの座席数18,500を満員として計算しているため、緩衝帯分も含んでいるので、やや辛めな数値ではあります。

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数えていただければお分かりのように正解はというと「60%」です。

ホームゲーム平均してシーズン6割くらいは、スタジアムの半分が埋まっていた」という事実を知って、観客動員は多いと思いますか?少ないと思いますか?
次の可視化をご覧いただくと、また印象が変わるかもしれません。

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フクアリの収容率の平均値、最大値、最小値を10シーズンの変遷で。
棒グラフはリーグ戦開催数で、グレー色は収容率50%を下回った試合数を示します。
今季は約半分の試合が収容率50%以下だったという事実
遡ると、最も戦績が良かったはずの12年シーズンはなんと21試合中、13試合で収容率が50%を下回っていました
10シーズン通じて、平均収容率は50%を割ることはなかったものの、直近5シーズンを見ると、平均収容率は少しずつ下がってきている

クラブは毎年様々な企画で集客を増やそうと努力してくれていると思います。1年での昇格を逃した11年から13年にかけての落ち込みから見れば、動員数はかなり盛り返したようにも思えます。
勝敗や成績に左右されずにジェフの試合を楽しむサポーターは、きっと今も昔もこれからも居続けるはず。
このアドベントカレンダーでも多くのそうしたサポーターさんたちがいらっしゃって、楽しみ方を発信してくれたのはとても良いことだと思います。
それら先輩方の楽しみ方がライト層やまだジェフを知らぬ地域の方を惹き付けるフックとなって、フクアリの動員数押し上げに寄与するタネとなることを願っています(この記事も)。

ジェファクトフルネス...それは、
他所のチームよりは動員が多いかもだけど、席が埋まっているかというとそうでもないということ。でも、1万人前後入るってことは勝ち負け以外に価値を見出している人が一定数いるんだろうということ(要調査)。

普通ではないと思うんですよね。やはりこの順位でそれでもスタジアムに足を運んでくれたり、練習に来てくれるというのは普通ではないです。(by 佐藤勇人

最後の項、ジェフサポの正解数は1問中「1問」。
さあ、ジェフユナイテッド検定の結果は。。

12問中、5問正解!
チンパンジーに勝ちましたよ、ジェフサポの皆さん!!

ご回答頂いた皆さん、ありがとうございました。

回答者属性について

アンケートの結果をここで載せたいと思います。
お答えいただいたジェフサポの皆さんの属性分布です。

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30代がもっとも多く、20代、40代と合わせて85%を占めます。
Jリーグの観戦者調査に比べて20代の方の出現が多い気がします。

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聞くか迷ったんですが、集計軸に使おうと思って取ったのが「サポ歴」。
10年以上20年未満」が40%弱。
J1時代を知る方たちがもっとも多かった結果に。
年代、サポ歴でスライスした検定結果やクロス集計は、今回は見送らせていただきます(時間無かった)。

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これが一番驚いた結果でした。
千葉県外」住まいが最も多いって凄いな。
首都圏(都内)とかですかね。地方の方もいるのかな。
J2生活10年、それより以前から既に生活拠点が移った方もおおくいらっしゃるということでしょうか。。

J2オールタイムベストイレブン

大変長らくお待たせしました。
ジェフサポが選んだ、J2生活10シーズンを代表するジェフユナイテッド(J2)オールタイムベストイレブン。
382の投票の結果、選手以外の名前を含めて52人がノミネートしました。

もうここだけ読めばいいと思う!
これまで全部読んだという方、今度ぜひこの10年のデータを肴に酒でも呑みましょう(泪酒)。

イレブンなので、ポジション別に得票数の多かった選手から決めていく感じで選びました。システムは勝手ながら4−4−2で。
これは数えてないんですけど、たぶんこの10シーズンなんだかんだ4−4−2が1番多かったシステムなんじゃなかろうか、と(誰かデータくれ)。
では、参ります。

 佐藤優也(16年〜)/GK1位・全体12位
 山口智(12年〜14年)/DF1位/全体5位
 米倉恒貴(07年〜13年、19年〜)/DF2位・全体7位
 近藤直也(16年〜18年)/DF3位・全体19位
 下平匠(18年〜)/DF4位・全体20位
 町田也真人(12年〜18年)/MF1位・全体2位
 佐藤勇人(10年〜19年)/MF2位・全体3位
 谷澤達也(12年〜15年)/MF3位・全体8位
 兵働昭弘(12年〜14年)/MF4位・全体13位
 ケンペス(13年〜14年)/FW1位・全体1位
 ラリベイ(17年〜18年)/FW2位・全体4位

戦術ボードっぽく画像貼りたかったけど、やり方わからないから手出しません。この手のアンケートやるとDFの選手の票が少なすぎるということが分かりました。

おわりに

図らずも10年という区切りのいい年数分データが溜まってしまいましたが、ジェフユナイテッド市原・千葉を通してJ2リーグを分析する、という視点でもそこそこ説明力のある素材になっているかと思います。

このジェフ検定の残データ(特に属性とのクロス)などは、ブログの方で続編が書ければ。
とにかく、分析はデータ収集に負荷がかかりまくるので、ジェフにまつわることで興味がある方は率先してデータを集めましょう(今はフクアリで試合の日に流れるリクエスト曲のデータがほしい)。
今回、私はジェフのオフィシャルサイトやJリーグのデータサイトから、スクレイピングという方法を駆使して集めました(Python使ったりの詳しい方法についてはばぐーさん記事参照)。
Tech方面に詳しい方もそうでない方も、様々な方法を駆使してデータを集めましょう。
WIN BY ALLの精神、発揮していきましょう。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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