鹿島アントラーズ前半戦採点(GK・DF・ボランチ)

公式戦に出場した選手を10点満点、平均は6.0で採点してみる。平等ではなく公平に、その選手が本来持つ能力や、立場も考慮した。

チーム 6.0
 2つのカップ戦は勝ち残り、リーグ戦も「ねーよ」とは言えない差に踏みとどまっている。もう少し早く立て直せた気もするが、必要だった紆余曲折なのかもしれない。その評価は今季終了後ではなく何年か後になるのだろう。

早川 ⒎0
 ビルドアップにおける顔の出し方と、パスの受け手を見つける能力で沖を上回り、ポジションを確保。飛び出しやパンチングの判断を間違えることもほとんど無い。こういう淡々と凄いGKがいるのが強いチーム。

沖 6.0
 シュートストップの能力は高い。しかし持ち味のはずのロングフィードの質が上がらない。リスクのあるところに蹴るのを怖がっている印象。様々な判断力も早川に劣る。しかし最近はパス回しに顔を出すことが増えるなど、試行錯誤の途中か。

常本 5.0
 攻撃時の有効性で広瀬に劣りポジションを失ったが、得意の守備も不調。縦に行かれてクロスを許す場面も多く、右サイドを支配する存在感がない。復調が待たれる。

広瀬 6.5
 袋小路に入ったチームを救う巧なプレー。守備面でも穴を開けることなく奮闘。強度不足を突かれることもあるが、サイドにビルドアップの出口があることは大きく、なかなか外せない存在に。

植田 7.5 (MVP)
 絶対的な存在感で前半戦のMVP。慌てず騒がず、ラフなロングボールもすべて跳ね返すのがいかに心強いか。ビルドアップの拙さはあるが、広瀬と関川がうまく補完している。

昌子 5.0
 残念ながら5年前とは違う。以前なら相手とボールの間に体を入れられたような局面でも、足だけで対応している。存在がもたらす好影響はあるのだろうが、やはりプレーで魅せてほしい。もちろん鹿島で。

関川 7.0
 あのタイミングでスタメンの座を奪われたのは理不尽とも言えたが、腐らなかった。これくらいやれるのは分かっていたが、ついにやりはじめた。

ミンテ 5.0
 外国人助っ人で、高年俸を受け取っているはずと考えると、今の状況で高評価になりようがない。

安西 6.5
 復活のシーズン。タイミングの良い上下動が戻り、縦に抜いて左で上げるクロスの精度も向上している。カットインからのシュートが枠にいけば尚良い。

溝口 6.0
 ルヴァンカップや天皇杯で持ち味を発揮。安西の復調により壁は高いが、ブレイクは近い。立ち位置やパス出しの素晴らしさを支える強度を高めたい。スローインがとても上手いのは2手3手先が見えるクレバーな選手の証拠。

佐野 7.0
 佐野海舟コールの熱狂がすべてを物語っている。ボールを奪うだけでなく、運べるし、空中戦も強い。ラストパスやシュートの改善は必要だが、その時は日本にいないであろう。

ピトゥカ 6.5
 熱ばかりが悪目立ちした序盤から、システム変更と役割の整理によりパス捌きと強度を兼ね備えた唯一無二の存在に。現代サッカーの司令塔を体現している。しかしもっとできる。つまりはキングとしてタイトルに導いてこそ。

樋口 6.5
 激情型が多いチームにあって、淡々とパスをつなぎ、必要な動きを必要なだけやってくれる彼の存在は貴重。チームの不調時はミスが目立ったが、徐々にパフォーマンスを上げてきた。

舩橋 5.0
 特長が見えない。高卒3年目でそれなりの戦力になっているのは評価すべきである一方、佐野やピトゥカからポジションを奪うほどの気概が見えないのも事実。

中村 5.0
 舩橋と同じく、それなりに留まっている。年齢を考慮するとより深刻。CBを経験したことによる強度の改善もさほどではなく、ゲームのイニシアチブを握る場面もない。

※攻撃的な選手たちの採点は後日。

 岩政監督についての懸念点のひとつが、選手を想うがあまり、切り捨てることをせず下手にチャンスを与えすぎるのでは、ということだった。
 しかしルヴァンどころか天皇杯のアマチュア相手でもベンチ入りさせない選手がいたりと、厳しさはちゃんとあった。その結果がルヴァンのプライムステージ進出だと思う。
 逆に言うと選手は、起用法から察するなり監督と議論するなりして、自らの職場を見極める必要がある。残酷だが、頑張るだけではだめなのがプロの世界だ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?