小言幸兵衛的LGBTQ考察
食品を温めるために電子レンジを使う。
だいたいこのくらいの重さであれば600wで約2分も温めればOKかな?
ってんで電子レンジのタイマーを2分にセットしスタートボタンを押す。
誰の話かって?
誰って、私の妻の話に決まってンでしょうが。……決まってないか。まぁ、そんなことはどうでもいい。とにかく妻が電子レンジをかけるって話だ。
お膳の用意なんかをして、頃合いを見図って電子レンジの中を覗き込む。
残り18秒。電子レンジの前で待ち構え、妻は温め終わるのを待つわけだ。
まっ、これはわからないでもない。私でもそうする。たかだか18秒。他にやることがなければ100人中98人は電子レンジがチンッと鳴るのを待つ。世の常識というやつだ。
残りの2人?
そんなことはどうでもいいんだよ。細かいことを。出世しないよ。
でな、問題はここからだ。
電子レンジのタイマーが残り10秒を切った。さて、きみならどうする?
電子レンジが終わるまで待つ?
ほほぅ、きみはなかなかの常識人じゃあないか。
バカ、お世辞だよ。喜ぶんじゃないよ。
ところがだ。ところが私の妻ときたら、残り3秒で扉を開けるんだ。残り3秒でだよ。それも毎回。いやいや、必ず3秒ってわけじゃないの。4秒のときもあれば7秒のときもあるよ。細かいことはどうでもいいんだよ。要するに電子レンジが最後まで自分の仕事を全うする以前に扉を開けてしまうということなんだよ。
どう思うよ、きみ?
しかも、しかもだよ、電子レンジの扉を閉めないんだよ。全開オープンてわけじゃないんだ。ほんの少し開いたままにしておく。それに何の意味があるっていうんだ。信じられんよ。閉めなさいよ。
な、そうするとどうなると思う?
電気代がかかる?
はぁぁ~、きみも尻(けつ)の穴の小さい男だね。
締まりがいいって言われます?
あぁ、そうか、きみはあっちの方だったね。
時代が時代だからねぇ。ひと昔前なら誰に遠慮することなく、言いたいことを言えたが、今や時代は多様性だよ。ま、言いたいことはいろいろあるけど、ここはサラッと流そうじゃないの。
本題に戻ろう。ウチの電子レンジは、半ドア状態でも庫内の照明は点灯しない。つまり電気代の話じゃないってこと。
夕飯が終わり、私は晩酌をやって早々と床に就くだろ。
妻は後片付けをして、その後Youtubeの美容チャンネルなんかを流しながら束の間の自分の時間を楽しんでから、温めた豆乳を飲んで寝るわけだ。そう、ここで登場するんだ、電子レンジが。
それから数時間後だよ。草木も眠る、川の流れも止まるという丑三つの 刻。
私も年齢だよ。憚り(はばかり)に起きるわけだ。
はぁ? 憚りがわからん?!
きみは日本人かね?
ご不浄、手水場、雪隠、厠、便所、つまりトイレだ。
晩酌をやってるから喉も乾く。トイレのついでに水でも飲もうとキッチンに寄る。
トイレが憚りならキッチンは台所じゃないのかって?
つくづく細かい男だな、きみは。わかったよ、所帯場、厨房、勝手、炊事場、つまり台所に水を飲みに行くわけだ。
真夜中の、カウンター越しのリビングには遮光カーテンのひかれているキッチンなんてのは漆黒の闇だ。わかるだろ。
その闇にクッキリと浮かぶライトグリーンのデジタル文字の3(秒)!
信じられるかね? 闇に浮かぶ3の文字なんてのが。
それがどうしたのですかって?
かぁぁ、きみは何もわかっとらんな。
いいか、私は妻のチンッ完了3秒前に扉を開けることを問題にしているわけではなく、ましてや電気代も掛からない扉を閉めない問題を非難しているわけでもないんだよ。
私はね、妻のそれらの行為の後始末を何故しないかを言っているんだよ。何故3秒前で終えた電子レンジの残り秒数を0にしておかないかということを言っているんだよ。リセットボタンを1回押せばすむことじゃないか。
たったそれだけのことができないんだよ、私の妻は。
それはな、つまり、ただやればいいという、細やかな心遣いができてい
ないということなんだよ。
私は夫として、妻にもう少し几帳面であってほしいと願っているのだよ。
夫である私の男心を理解しない妻のことを嘆いているんだよ。
きみも男ならわかってくれると思っていたがな……。
何? ボクはネコですから?
そうか、そうだったな……。
私が間違っていたようだ。
きみに男心を理解しろといっても無理…………じゃないじゃない!
おー、危ない危ない。今はそういう言い方をするといろいろ厄介な問題になる。
え~、男心をきみに理解しろといっても……う~……女心ならきみはわかるのかな? あぁ、そういう言い方も拙いか。つまり、男心を理解しろったって……その、だから、男が男心をだ、理解するのも、なかなか難しい点があるかもしれないので……何故かというと……う~……男心というは個人差もあるし…………。
あ~、もぅ!
LGBTQ万歳!!
これでいいんだろ、これで!
お後がよろしいようで。
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