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「しっかり書く」

 新聞記者をしていると、取材対象の方からたまに「しっかり書いてくださいね」というふうなお言葉をいただくことがある。言い方は人によってそれぞれだが、大体それを口にする人の背後には、自分に関する記事は少しでもいいものを書いてもらえるよう念を押しておこうという熱が見え隠れする。
 メディアの一部である私に少しでも期待をしてくれていると思う反面、わざわざ念を押さなくても仕事はキッチリしますよとも思う。私にそれだけ信頼値がないという証明でもあるのだが、信頼は一朝一夕ではできない。今ようやっと2年目に突入したところだ。
 結局私はそう言われた時、「はい」と何事もなかったかのように淡々と振る舞う。そして記事を書く際、その人が私にプレッシャーをかけようとしたことを後悔したくなるくらいの気合いを込めて記事を書く。結局いつもより気合いを入れてしまっているので、私がいかに未熟であるかということはその点からも読み取れる。
 「しっかり書く」ということ。仕事としてすごく当たり前なことであり、かつどこまでいってもこれが難しい命題である。ただ、人の熱には熱で応えたいような気がしている。

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