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改善が失敗する理由 その伍

 本当は4記事で終わるつもりだったのですが、今一度振り返ってみると「あ、これがあった!」というのを思い出しましたので、その伍を追加することにしました。

 この事例はどちらかというと、成功・失敗という判断以前の話になります。

 ただ、多くの企業や組織がこれをやってしまっているのです。

 未だ、インストラクターとしてお伺いした企業様は片手で余りますが、その全てがこの改善をやっておられました。

 それに弊社もこれをやっています。

 そのことについてお伝えしたいと思います。


目標・到達地点がない『なんちゃって改善』

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 改善活動は続けているが、何のためにその改善活動をやっているのか?

 ゴールは設定されているのか?

 到達目標は何なのか?

 こういったことを決めずに、改善活動を続けている。

 これをやってしまっているのです。

 『ザ・ゴール』の中で、ジョナ(を使ってゴールドラット博士)はこう言っています。

「生産的であるということは、自己の目標と照らし合わせて何かを達成したということなんだよ」

 そしてこうも言っています。

「生産性とは目標に向かって会社を近づける、その行為そのものだ。会社の目標に少しでも会社を近づけることのできる行為は、全て生産的なんだよ。その反対に目標から遠ざける行為は非生産的だ」

 本来、会社の生産性を高めるために行っている改善活動ですが、その目標がもし設定されていないとしたらどうなるでしょうか。

 コストダウンしたから、生産性が上がったと言えるのでしょうか?

 L/T(リードタイム)を短縮したから、生産性が上がったと言えるのでしょうか?

 でもそれは『改善が失敗する理由 その肆』でお伝えした、非制約条件の改善かも知れないのです。

 だとしたら、改善で出た成果(コストダウンやL/T短縮)は、会社の利益には直結せず、いつの間にかどこかに消えてしまうことになります。

 そうなると、改善に費やしたエネルギーも時間も、そして手間(コスト)も全てが無駄になってしまい、水泡に帰することにはならないでしょうか。

 このように、そもそも目標設定がされておらず、何のために改善をしているのか分からない状態に陥っている改善のことを『なんちゃって改善』と言います。


質(たち)が悪い『なんちゃって改善』

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 この『なんちゃって改善』の特徴は、非常に質が悪いのです。

 それは、改善をしているつもりになってしまうからです。

 改善しているつもりになって、満足してしまうのです。

 目標を決めていないので、先のジョナの言葉を借りれば、生産性が上がったかどうかも判断できない状態にあります。

 しかし、改善はやっているように見えますし、発表内容を見ると成果も出ているように思えます。

 つまり『改善活動を続けている』=『生産性が上がっている』と勘違いしてしまうのです。

 この場合、企業や組織にとって有限であるリソースを、結果に結びつかないことで使い潰していることに、なりはしないでしょうか。

 時間もエネルギーもコストも、すべてを無駄に使っていることにならないでしょうか?

 改善活動を続けているからといって、目標設定ができていなければ、何のために改善しているか分からないだけでなく、有限であるリソースを使い潰してしまうことにもなりかねないのです。


会社の『ザ・ゴール』とは?

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 『ザ・ゴール』の解説書と言われる『The Race(日本語版未発売)』には、

Make MONEY in the present as well as in the future
(会社の目的は、現在から将来にわたってお金を作り続けること)

 と書かれています。

 お金の話をすると、日本人は違和感を感じると言いますが、ここは非常に重要なポイントですので、続けます。

 企業というのは、財務三票(損益計算書・貸借対照表・キャッシュフロー計算書)で経営判断されています。

 この事実に異論のある方はいないでしょう。

 この事実から導ける結論は、会社はお金を作り続けることで評価されているということです。

 だとしたら、本来は生産性を上げるために続けている改善活動も、会社の『ザ・ゴール』と同じように、【利益】という明確な成果を目指さなければならないのではないでしょうか?

 それも財務三票に現れるような、明確な成果でなければなりません。

 目標設定もなく、ただ何となく続けているような『なんちゃって改善』はリソースの無駄遣いにつながるだけでなく、場合によっては会社を危機に陥らせる可能性があるのですから、さっさとやめてしまった方が良いのです。


改善を成功に導くカギ

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 今日を含めて5記事、改善が失敗する理由としてお伝えしてきましたが、ただ失敗例をあげるだけでは片手落ちです。

 実際にインストラクターとして、また一人の改善メンバーとして、今までの経験や実例を交えながら、具体的な解決策をお伝えしていきたいと思っています。

 ただ、毎日アップできるかどうか、若干不安です。

 いろいろと資料や解決に導く手法等を用意しなければならないので、毎日アップは厳しいかもしれませんが、やれるだけやろうと思っています。

 どれだけの方に読んでいただけるか分かりませんが、満足してもらえるよう頑張ります。

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