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フードスコーレな人たち vol.2(こくぼひろし篇)

2020年に開校した食の学び舎「foodskole(フードスコーレ)」は、今年3月で2期を終えます。そして4月からは、これまでの授業体系を一新した「2021年度前期Basicカリキュラム」がスタートします。

foodskoleでは、食について「ともに学び合う」がモットーです。米屋、海苔屋、料理人、漁師、醤油職人、かつお節問屋、麹屋、農家、畜産家、編集人、廃棄コンサルタント、大学教授、大学生や高校生など。ここではたくさんの個性豊かな人たちが、それぞれの立場で過ごしていて、ともに学び合っています。その様子はもう本当の学校のようです。

ここで過ごす人たちのことを、もっとたくさんの人たちに知ってもらうことで、わたしたちがそうであるように、読まれた方それぞれの「食」のあり方に良い変化が起きるかもしれない。そんな期待を込めて、この不定期連載をお届けしていきたいと思います。

第1回SDGsクラスからクラス長を務めるこくぼひろしさん。こくぼさんがfoodskoleにコミットしたのはなぜなのか。どんなことに魅力を感じたのか。foodskoleにかける想いを熱烈インタビュー。生い立ちから紐解きます。

「自分が自分であり続けられる場所、それが僕にとってのfoodskoleなのかもしれない」

不定期連載、今回の担当はfoodskoleの佐藤一成です。

こくぼひろしのプロフィール
foodskoleのPR担当。
ひとしずく株式会社代表/一社)チャートプロジェクト理事/一社)RELEASE; ディレクター。1982 年、神奈川県生れ。PR コンダクター。後方支援ファーム「ひとしずく株式会社」代表。「脱 炭素(カーボンフリー)」の社会デザインに取り組む。

foodskoleとの出会いは突然に、共感が共感を生む人との出会い。

平井と出会ったのは、2019年の12月。孤独な経営者合宿をこくぼが主催した時に友人が連れてきてくれました。経営者は本当に孤独で悩みをなかなか打ち明けられない、その悩みを経営者同士でプレゼンしてディスカッションする合宿。合宿を通して平井の人としての在り方に魅力を感じていきます。

こくぼ
「第一印象はクールで斜に構えてるのかなと思っていました。話していることがすーと処理されているように感じ、そういう人なのかな?って。でも、クールな表情や相槌とは別にめちゃめちゃ響いてて共感されてる!って知ったときに、心地いい距離感を感じました。べたべたもしないんだけど決して蔑ろにされるわけではない。同じ匂いのする仲間を見つけたと思ったんです。とっても嬉しかった。」

こくぼは平井が主催する「ごはんフェス」や「サルベージ・パーティ」にも出会う前から興味を持って行っており、すぐに意気投合します。

こくぼ
「今の関係は、ふざけることもふざけるし、大げさではなく共感してくれる、無理しなくていい人なんですよね。一緒にディズニーランドにいって1時間45分待ちでも平気で平井といれますね笑。居心地が悪くなることが無いんです。否定から入るのではなく、意見として受け止め存在を肯定してくれる。その平井の考え方に魅力を感じます。」

こんな一面からもこくぼがどれだけ居心地が良いかを感じます。そんなこくぼは、平井からfoodskoleのプロジェクトを持ち掛けられます。

こくぼ
「広義のSDGsではなく、ライフスタイルに落とし込む身近なSDGsを授業としてやりたい!と平井の話を受け、僕も広義のSDGsに嫌気をさしていたので、面白そうという想いでお受けしました。高木超さん、ペオさん(エクベリ夫妻)の実践していることを伝えるのがいいのではと考え、早速お声がけしました。」

foodskoleへ関わりかたとコアメンバーの魅力。

こくぼが受け持ったSDGsのクラス第1期が好評に終わり、第2期も継続して授業を受け持つことに。2期の途中で3期のことを話していたところ、いつのまにかfoodskoleを主催するコアメンバーになることがトントン拍子で決まっていきます。こくぼはfoodskoleへの関わり方を人生の軸に取り入れることを決意します。

こくぼ
「ひとしずくとしてかかわるのではなく、honshokuのメンバーとして(個人として)関わりたかった。自分の会社を通してではなく、フラットに付き合いたい。それくらいの意気込みでfoodskoleと付き合わないと失礼だと思いました。どうしても自分の会社を背負うとその目線でしかアイデア出せなくなってしまうので。」

そこにはfoodskoleに関わる他のコアメンバーの存在も影響していました。平井の魅力に集まった他のメンバーとの出会いから、foodskoleの場としての価値をさらに感じていきます。

こくぼ
「オオモリとは同じ会社にいたので、彼を理解していると思ったんです。彼にとってコミュニティは鬱陶しい思っているだろうなと、群れない人なので。でも無碍にされると寂しいっていう厄介な人なんですけどね笑。けれど、foodskoleに関わっているのを見て楽しそうにしているんです。より積極的に楽しそうにコミュニティを増やそうと(拡大)しているのを見たときにプライベートを見たと感じました。特に文化祭のときですね。貢献する意識が強いので、自分を出さない彼が、自然体でこんなにコミットできる居場所が見つかって嬉しく思った。」

つづいて副校長、大森愛の印象についても語ってくれた。

こくぼ
「わかちゃん(大森愛)は磁石。N極とN極の時もあるし、N極S極もある。その独自の感性に惹かれました。一言でいったら自由奔放。
ここは共感するでしょう!と思ったら、え、ちがうの?!ってこともある。はっきりしている物言いがいいし、自分に置き換えて一個一個処理している=意思がある。その自分のベクトルを柔らかく伝えることができる、なかなかいない魅力的な人。もっと知りたくなりますね。飽きないです。」

foodskoleには変わり者、独特な感性を持っている人が多い。平井の大きな器が惹きつけているのかもしれません。

人生を見つめなおすきっかけと挫折

授業でも文化祭でもまわり全体を見て要所要所で役割を変えて立ち回るこくぼ、foodskoleに関わることで自身をもう一度見つめなおすきっかけになります。

こくぼ
「いままで食は重要なテーマとは思っていたが、避けてきた。サスティナビリティ、SDGsに密接な丁寧な暮らしは自分が大事にしてこなかった領域でした。仕事として広めているものの自分の暮らしを大事にしてこなかったのです。」

小さいころから自分なんて犠牲になればいい、自分がやればいい。そうすればみんな幸せになると思って疑わなかったこくぼ。「MUST」「SHOLD」のように「やるべき」という正義を貫いてきたが、あるとき、挫折したことを語ってくれました。

こくぼ
「大学4年のとき、過労で体を壊しました。卒業式は病室で、4月1日に退院するも就職先も決まっておらず、自宅療養1か月という放心状態のときがありましたね。原因は期待に応えたいがための正義感からくるものでした。NGOインターン、愛知万博の学生プロジェクト、早朝バイト、授業、サークル、時間さえあればなんでも詰め込みました。」

こうしたらもっといいという改善点に気が付いてしまうため、アイデアを出して自分で引き受けてしまうことが多かったこくぼ。最初はやりたかったはずなのに、事が進むとやらなきゃという義務感に変わっていってしまう日々。

こくぼ
「職人気質があるので現場に答えがある、それを自分の肌で感じたいと思って人に任せられないことが多かったのです。みんなの役に立ちたい、アイデアも出して引き受ける、でも自分で抱えられなくなってしまう。話してて恥ずかしいですけど、5歳児ですね笑。アンパンマンですよ、まさに。」

やりたいことと、できない事のギャップに葛藤が垣間見られます。社会課題にまじめに向き合いすぎている。1人で背負わなくていいんじゃないの?地球を背負ってるなんておこがましい!と奥様に言われたことも。

こくぼ
「体を壊して人には限界があるんだと学びました笑。いまは自分以外にタオルを投げてくれる人がいるので大丈夫ですが笑。foodskoleに関わることで自身の暮らしを改めて見つめ直しました。」

foodskoleで無茶しようにも、コアメンバーが引き留めてタオルを投げる役割も担っているので、改めて暮らしを見つめられそうですね。そんな周りに対して一生懸命フォローしてきたこくぼにもやりたいことがありました。

foodskoleでやりたかった事、向かうべき人生のテーマを共に悩むフィールドへ

こくぼは自身の経験から人生のテーマについても語ってくれました。

こくぼ
「フィリピンに大学のワークキャンプで行ったとき、雨が降らなくて野菜が取れない、ゴミの収集システムがなく砂浜に埋めているなど、環境問題は命の問題であると実感しました。植林しに行ったが過去戦争相手の日本人の僕を天使扱いする彼らに感激しました。そんな彼らに恩返しがしたい、自分の人生のテーマはこの環境を知らせることと少しずつ行動を起こすことでした。

人って、向き合うべき人生のテーマを見つけられれば8割ゴールは約束されていると思います。自分はなんのために生きているのか、自分の役割がこの社会にある、それを感じられたときにパワーを発揮すると思っています。」

だからこそ、foodskoleでやりたいことがあると言います。

「ぼくは、両親が教師なので、教育の大切さを感じている。僕がfoodskoleのゼミ(課外活動)にこだわっているのは、向かうべき人生のテーマが見えていない受講生の可能性を広げられるフィールドにfoodskoleがなるのではと感じたからです。授業で開花する人、農園部で開花する人、文化祭で開花する人、開花する場面はそれぞれ変わります。答えの出ないもやもやを一緒に半年間考えるだけでも大きくジャンプできる場を提供できるのではと思っています。自身の役割を見つけたい人と学び、役に立ちたい。そんな人が集まるfoodskoleをつくっていきたい。」

インタビューを終えて…

こくぼのやりたいことがたくさん語られ、また5歳児に向かって歩んでいる気がするがfoodskoleに関わるみんなで支えていきたいと思う。5歳児に戻れる場所、それがこくぼのfoodskole。

学び会う場を一緒につくりませんか?みなさまの入学お待ちしております!

ただいま、foodskole「2021年度前期Basicカリキュラム」の受講生を募集中です。ご興味お持ちの方は、ぜひこちらをご覧ください。


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