子どもの貧困と自己肯定感
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おはようございます。かとうひろあきです。
全国の飲食店による子ども食堂のプロジェクト『夢食堂』の運営をしています。
今日は、「子どもの貧困と自己肯定感」について書きたいなと思います。ど真ん中ストレートなテーマです。
こういうのはきちんとした正しい情報をもとに議論するべきだと思うので、公に発表されている論文を扱いながら、進めます
#ファクトフルネス
自己肯定感が低いと自覚している人が多い?
子どもの教育について議論をするとき、「自己肯定感」って真っ先に検討される項目ですよね。多くの方がご存知の通り、他の国と比べると比較的、日本人は自己肯定感が低い国民だと言われています。
これは子どもでも若者でも同じで、僕と同世代あるいは下の世代の人たちも、多くの場合「自分は自己肯定感が低い」とはっきり発言しています。
「自己肯定感が低い私はイケてる!」
と思ってくれてればいいんですけど、どうやらそうではなくて、本当は高くいたいのだけど、どうしても自分を認められないパターンが多いようですね。
それを言われてしまうと、何とかしてあげたいなぁと感じるわけですが、子どもの教育において「自己肯定感」がよく扱われるのも頷けます。
では、「自己肯定感」と「家庭のお金事情」には、何か関係性があるのでしょうか?
仮説は何でも立てられそうですが、既に報告されている調査を見てみましょう。
大阪子ども調査
今日取り扱うのは、2014年に大阪市内で行われた「大阪子ども調査」の結果です。
めちゃくちゃ分かりやすくて見やすくて、一般の方々にも理解していただけるような報告資料になっています。調査がなされたのは10年くらい前になっているので、古いといえば古いですが、大きな参考になる調査だと思っています。
リンク貼っておきますね👇👇👇
https://gpsw.doshisha.ac.jp/osaka-children/osaka-children.pdf
この調査では、大阪市内の小学5年生4154人と、中学2年生4199人、そしてそれぞれの保護者が対象になりました。なかなかの大規模調査ですよね。
100人に聞きました!
とは桁が違う。
ただ、調査はアンケートで行われたみたいなんですが、回答したものを提出してくれないパターンもあったようです。なので、分析で使用できたのは小学生が3152人、中学生が2880人だったと報告されています。
また、この調査ではそれぞれの対象者に世帯収入も聞いていて、その結果「相対的貧困家庭」に該当する子達も、13~14%くらいいました
#7人に一人です
この調査でデータの収集と検討がなされたのは、以下14項目についてです。
・将来の夢
・物品の所有状況
・放課後の過ごし方
・友だち
・会話
・食事
・学校生活
・子どもの自己肯定感
・クラブ活動と習い事
・就学援助費を受け取っていますか
・子どもの進学に対する意識
・家系と子どもへの支出
・子どもと親の関係
・医療サービスの受信状況
気になる項目もありましたでしょうか?
それぞれの項目について、検討してみるのが妥当だと思われた場合には、「貧困層」と「非貧困層」に分けた分析も行われています。
その結果、上に挙げたの項目の中で一番、「貧困であること」の影響を強く受けていたのが、
「子どもの自己肯定感」
でした。
#ここは赤線引いておきたい
貧困は自己肯定感に影響する
自己肯定感ってどうやって調べたん?
と思われた方もいらっしゃるかと思うので説明します。この調査では、「子ども自身が自分に対してどう思っているのかを」、アンケートで収集して、そのデータをもとに自己肯定感を計測しました。
その項目は以下の通りです。
・頑張れば、むくわれる
・自分は価値のある人間だと思う
・自分は家族に大事にされている
・自分は友だちに好かれている
・不安に感じることはない
・孤独を感じることはない
・自分の将来が楽しみだ
・毎日の生活が楽しい
子ども達は上の項目それぞれに対して、
☆とても思う
☆思う
☆あまり思わない
☆思わない
の4段階で回答して(「無回答」という選択肢もあります)、「とても思う」に近いほど「自己肯定感が高い」みたいな判断基準にしていったわけです。
もちろん、項目によって分析結果のバラツキはありましたが、とりわけ「自分は価値のある人間だと思う」については、小学生も中学生も約半数が「あまり思わない」、もしくは「思わない」と回答されていました。
で、
この結果には「家庭のお金事情」が結構影響していると、今回の調査で示されました。
というのも、「貧困家庭」で生活している子どもほど、上にあげた自己肯定感の各項目に対して「あまり思わない」、もしくは「思わない」と回答する傾向が強かったのです。
#ここは赤線
#添付した資料の16ページにそのグラフあります 。
ちょっと強引な話ですが、これを言い換えれば、貧困家庭で暮らしている子どもほど、
▽頑張っても、むくわれない
▽自分は価値のない人間だと思う
▽自分は家族に大事にされていない(ここは小学生の場合のみ)
▽自分は友だちに好かれていない
▽不安に感じることがある
▽孤独を感じることがある
▽自分の将来が楽しみではない
▽毎日の生活が楽しくない
という風に考える可能性が高くなっているんですよね。
今回「自己肯定感」として計測した上の項目が、妥当なものかどうかは置いておいて、この調査における結果からはそんなことが言えるんじゃないでしょうか。
おそらく、一般的に「自己肯定感」と聞いて連想する意味合いと一番合致しているのは、
「自分は価値のある人間だと思う」
だと思います。
にも関わらず、今回の結果で家庭のお金事情が最も影響を及ぼしてしまうのも、この項目でした。かなり如実に現れています。
子どもの成長環境を整えるのは大人
今回は「大阪子ども調査」を引用しましたが、実は「貧困と自己肯定感」の関係性を実証的に示している調査はあまり多くないように思われます。
僕のリサーチ不足もあると思うので、責任持って言うことはできないんですけど、思っていたよりも少ないなぁという印象です。
むしろ海外では、貧困と自己肯定感にはあまり関係がない、とする実証データも示されたりするんだとか。
今回紹介したデータも、「10年前の大阪市」のデータである事を念頭に置いた上で、知ってもらえたらと思います。もし「今」同じ調査をしても違う結果が出るかもしれません。「違う場所」で同じ調査をしたら違う結果が出るかも。
とはいえ、この調査が非常に示唆に富んだ有益なもので、価値が高いということは間違い無いんじゃないかと思っています。調査の実施に関わってくださった方々に感謝です。
僕は僕で客観的に、適切にデータを解釈して、健全な知識を身につけられるように努力して参ります。
子どもの環境づくりには、どうしても大人の力が必要です。人間の子どもは弱い状態で生まれ、自立するまでに大人のサポートが必要なわけですから、ここは大人の頑張りどころ。
本日もありがとうございました〜!
では、また!
参考資料:
「大阪子ども調査 (2014) 」
阿部彩(国立社会保障・人口問題研究所)
埋橋孝文(同志社大学社会学部)
矢野裕俊(武庫川女子大学文学部)
https://gpsw.doshisha.ac.jp/osaka-children/osaka-children.pdf
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