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9/6ウェビナー:農業で地球を再生させる「リジェネラティブ・オーガニック」を学ぶ

こんにちは!SRA-J YOUTHメンバーの古瀬遥です。

こちらは9/6に、パタゴニア プロビジョンズの近藤勝宏さんをお招きし開催したウェビナー「農業で地球を再生させる『リジェネラティブ・オーガニック』を学ぶ」についてのイベントレポートです。

本ウェビナーの概要をお伝えできるのは、このNoteのみになりますので、是非最後まで読んでいただけると嬉しいです♪

SRAレーティングとのかかわり

今回は、パタゴニアの食品ラインアップであるパタゴニア プロビジョンズが推進する、リジェネラティブ・オーガニック*について、お話をいただきました。
SRAでは、有機農業、そして、リジェネラティブ・オーガニックを推進しています。その背景としては、環境・社会のという2つの側面から見ることができます。

まず環境面では、農薬や化学肥料等を使わない有機農法は、慣行農法と比べ土壌や水質の汚染が、少ないと言われています。また生物多様性を維持し、CO2の排出を抑えることにも効果的です。

そして、社会面では、農薬の多用による生産者の健康被害や、費用負担を減らすことができます。生産者を守ることは、食の持続可能性に繋がります。

このような点から、有機農業、そしてリジェネラティブ・オーガニックについてより深く学べるよう、今回のウェビナー開催に至りました。

*リジェネラティブ・オーガニック・・・農薬や化学肥料、遺伝子組み換えを用いないことに加え、土壌や働き手の環境の向上を考慮した新しい農法。詳細は後ほど!

自分たちの生活が豊かになるほど、大好きな自然がなくなっていく。パタゴニアの創業エピソード

ここから、パタゴニア プロビジョンズの近藤さんのお話に移っていきます。

「三度の飯より外で遊ぶのが好き」

そんな創業者のイヴォン・シュイナードとその仲間が集まり、アウトドアスポーツの道具やウェアの生産を始めたのがパタゴニアの起源。世界中を旅して気づいたのは、自分たちのビジネスが発展したり、生活が豊かになればなるほど、大好きな自然やアウトドアスポーツを楽しむ場が失われていくこと。

「死んだ地球からはビジネスは生まれない」by David Brower

この言葉から、パタゴニアは、できるだけ環境負荷の少ない生産方法をとり、ビジネスを手段として、環境危機に警鐘を鳴らしていくことを決めました。

オーガニックコットンや、フェアトレード認証の素材を使った、様々なアウトドアウェア、グッズを販売している事は良く知られておりますが、そんなパタゴニアが、なぜ食品ビジネスも始めたのでしょうか?

Sustainable から Regenerative へ

解決策は土にある。

パタゴニアが食品ビジネスに踏み込んだ理由は、創業者のイヴォン・シュイナードのこの言葉に集約されています。

「新しいジャケットを5年か10年に一度しか買わない人も、一日三度の食事をする。我々が本気で地球を守りたいのなら、それを始めるのは食べ物だ。」by Yvon Chouinard

これまでも、環境負荷をおさえ、責任ある方法で生産活動を行ってきましたが、それでは不十分。これまで人類が過剰に排出してしまってきた二酸化炭素を回収して、気候変動と闘い、さらには増加する人口を養っていくことが必要で、それができる可能性があるのが、リジェネラティブ・オーガニック農法。これを実践していくことが、本当に地球を修復することになると考えているそうです。

”土”は本来、炭素の貯蔵庫で、世界中の農家が、リジェネラティブ・オーガニックを実践すれば、人類が排出する二酸化炭素のすべてを回収できるポテンシャルさえあるそうです。これを支援し、拡大させるために始まったのが、パタゴニア プロビジョンズです。

リジェネラティブ・オーガニックの特長

では、リジェネラティブ・オーガニック農法は他の農法と何が異なるのでしょうか?慣行農法、リジェネラティブ農法、オーガニック農法、リジェネラティブ・オーガニック農法を比較して解説していただきました。

▷慣行農法・・・農薬、化学肥料、遺伝子組み換えを使用することが可能

▷リジェネラティブ農法・・・土壌をより豊かにすることを目指しつつも、概念的であり、農薬や化学肥料、遺伝子組み換えを利用することが可能(つまり、必ずしも有機栽培であるとは限らない)

▷オーガニック農法・・・農薬、化学肥料、遺伝子組み換えを用いずに、生物や生態系が持つ機能を生かして生産する農法

▷リジェネラティブ・オーガニック農法・・・農薬、化学肥料、遺伝子組み換えを用いないオーガニック農法に基いた上で、さらに土壌を豊かにする管理(不耕起管理や植生被覆、輪作など)を採用し、より多くの炭素を植物と土壌のなかに閉じ込め、土壌の機能を高める有機農法

この違いから、いかにリジェネラティブ・オーガニック農法が包括的か分かりますね!

商品ラインアップ

パタゴニア プロビジョンズで扱っている商品と、その生産背景もご紹介いただきました。どの商品も、オーガニック認証のとれた原材料を使用しているのはもちろん、「仲間のためのアウトドアグッズ」が始まりのパタゴニアらしく、簡単に食べられて、人にも勧めたいものを作っているそうです。

・多年性の穀物をつかったビール(多年生の穀物を15%使ったビール)

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多年生の穀物を、世界で初めて製品化したのがこのビール。一年草とは違い、3,4年かけて根が長く伸びていくので、地上の部分だけを収穫して、根の部分は残したまま、翌年もまた収穫できるそうです。すると、その根の周りに微生物が生息できる環境が整い、より多くの炭素を土壌中に隔離できるそうです。

詳しくは是非こちらをご覧ください。

https://www.patagoniaprovisions.jp/pages/why-beer 

他にも環境を修復するEUオーガニックムール貝を使った缶詰や、生態系への影響が少ない小型の魚であるサバのオリーブオイル漬けなど、多くのラインアップが揃えられています。

私自身は、オーガニック・レッドビーン・チリを試したことがありますが、とても美味しい上に、たった10分で完成。さらに環境にも良いと思うと、一石三鳥!素敵な商品で本当にお勧めです。

リジェネラティブ・オーガニック認証制度

製品の製造にとどまらず、よりリジェネラティブ・オーガニックを普及させるために、パタゴニアが志を共にする企業、団体と共同で認証機関の設立を行ない、制定されたのがリジェネラティブ・オーガニック認証。

土壌の健康、動物福祉、社会的公平性、を3つの柱とし、既存の認証がカバーしきれていない部分を要件化した、世界最高水準の包括的な有機認証だそうです。

日本には第三者認証機関はまだないものの、グローバルでは、アメリカに拠点を構え、この国際認証を監督しているリジェネラティブ・オーガニック・アライアンスへの申請が可能になっており、着実に広がりを見せています。

以下から2021年8月より公開中のフレームワークの日本語訳をご覧いただけますので、ご興味のある方は、是非ご覧ください。

https://issuu.com/patagoniajp/docs/framework_regenerativeorganiccertified 

最後に

本ウェビナーでは、リジェネラティブ・オーガニックについて、パタゴニアのこれまでとこれからの取組も併せてご紹介いただきました。

環境と社会が健全性を取り戻せるように、農業を通じて一石を投じていきたいという想いを、様々な取組に落とし込んでいるパタゴニア。志を同じくする者として、これからも応援していきたいですし、共に環境の問題に向き合っていきたいと思いました。

ウェビナーの最後に、パタゴニアのウェブサイトにて公開されている記事をご紹介いただきました。日本の農業をどのように変えていきたいのか、どのように貢献していきたいのか、そのような想いがこめられた文章です。こちらも是非あわせて、ご覧ください。

それでは長くなりましたが、以上、イベントレポートでした♪

読んでいただき、ありがとうございました。


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