オフラインのなくなる世界で、部分的にオフラインで居続ける料理人の価値
まず今回はこの本を参考にさせてもらっています。
前回、消費者の購買のスタイルが変わり料理人のビジネスの仕方も世界に合わせて変わっていかなければいけないという内容のnoteを書きました。
今回は視野をもっと広げてインターネット全体について考えていきます。
紹介したアフターデジタルでは日本が世界に対してデジタル化が全く進んでいないと言っています。
また今後世界に
オフラインが消える
とおっしゃっています。
つまり生活のすべてがオンライン状態となり、購買データや消費者の嗜好、行動パターンがデータとして蓄積されるということです。
また著者の藤井氏は
世界がオンライン状態になると、ビジネスの仕方や考え方、アプローチのすべてが180度変わってしまう。そんな状態を日本人は全く気付いていないのでヤバイぞって言ってくれています。
そして今まではリアル(現実)の補佐役としてデジタルが存在していたけど、今後オンライン状態に世界が当然のようにシフトしていくと
デジタルの中にリアルが存在するという、なかなか馴染みの薄い状態が当たり前になってくるとおっしゃっています。
こんな図のようにですね。
インターネット環境当たり前のネットネイティブ世代なら肌で感じて理解できるのかもしれませんが、オンラインチャットで友達ができることが良いたとえだと思います。
好きな共通点からの友達なので価値観が合い、きずなも深くなりやすい。
こういったネット環境での友達作りもネット上に現実世界を当てはめている形です。
さて、この本を読むと私が以前に投稿させていただいた店のビジネススタイルがまだまだビフォーデジタルな部分が多く、改善の余地があることを示してくれています。
飲食店を営む側として部分的なテクノロジーの導入ではもう世界に追いつくことができないのです。
そもそも世界に追いつこうと思って飲食店を営んでいる人はなかなかいないかと思いますが、世界にこの波が浸透していくこの世界ではビジネスの仕方はここに標準を合わせていかなければいけないと思います。
また合わせて読んでいただきたいのがこちらです。
この本ではAIが人間を追い越すシンギュラリティーは絶対に来ないとおっしゃっています。
理由は本書を読んでほしいのですが、これから先の飲食業界で考えると、
調理の火入れの技術や注文からの客層分析、購買パターンから時間帯別の商品の売れ行き分析など
AIが得意とする部分においては料理人でなくても勝機を見出すことはできなくなってきます。
ただ、AIの絶対にできない味の複雑な構成やペアリングの感性などは料理人がまだまだ未知の領域を発掘していく素敵な部分でもあります。
たとえデジタル上での現実が構成され現実の営みがデジタルの支配下から抜け出すことが出来なくなり、究極的な将来、味覚がデジタル信号としての側面を持ち始めても、本質的な感覚の構成をデジタルがつかさどることはできないし、新しい味や香りを探求するのはいつまでも料理人の特権といえるカテゴリーであると思います。
近未来映画のように脳の大部分が電気信号に置き換えられ、思考のプロセスもデジタル化した未来が訪れても
思考自体はデジタルにはできない。デジタル上に存在する現実だからこそ、
お客様はいつまでもアナログな、そして温かみのある飲食店を訪れる。
もしかしたらオーダーや会計、商品発注や納品はデジタルに置き換わり調理自体もハイテク機器が裏で行っているのかもしれないが、料理人が真に提供するのは「人」なのだと思う。
料理人がこれから提供していくのは「その場」という目に見えない概念が主流になり、テクノロジーの発達で調理技術の差別化はできにくくなってきている。
そもそもレシピに著作権がない以上AIがそれを模倣するのは時間の問題である。
「おふくろの味」を考えてみても、その言葉は調味料の配合ではなく、母が作ってくれて食事を食べるその空間にこそ愛情があったのかと思います。
そんな激動の世界を生きる私たち料理人だからこそ、愚直に真っすぐに自分の技術を高めていく人も僕はかっこいいと思うし、接客としてお客さんと笑いながら仕事をしていくカウンター業務の人もかっこいいと思う。
最後に矛盾している気持ちかもしれないが、やはり僕は料理人が世界の変化に沿って進化し、人の数だけ新しい飲食店のスタイルがある未来にわくわくするし、その一員であり続けたいと思う。
2020/2/6
オンラインにつながっている世界で、物事の考え方や背景の探索という思考回路がオフラインであり続ける世界での個人の価値観の輝き
働きたい飲食店を目指して目標に進んでいます。